11 ヨム・サンソプ 『驟雨』

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  • #1917 返信
    noharra
    キーマスター



    田坂氏からお手紙いただいた。感謝。

    #1934 返信
    noharra
    キーマスター

    Tさま

    4/20付けで「驟雨感想」をいただいていたのに、返事がひどく遅くなりました。

    まず、ひさしぶりに「驟雨」(第11回作品)を思い出してみました。

    ヨンシクのように恋愛関係になることへの田坂さんの苦手意識が書かれていますね。
    この小説はヨンシクがスンジェに誘惑される話ですね。男は誘惑されれば意外とそうなっちゃう可能性はあるだろうとわりと思います。私は不器用なのですが、あやういところはあります。(不倫したことはないです 残念ながら)
    スンジェはなぜ誘惑するのか? 彼女は家柄も悪いわけでないのに、能力と魅力とフェミニズム的反発力がありすぎたために、儒教的にはもっとも貶められるべき「妾」になってしまった。彼女は極限状態で、そのような境遇を跳ね返すゲームがしたかった。妾ではなく自由であると、彼女は自己規定していた。社会がどう見るかはまったく重要ではなく、自分としてどうふるまうかだけを考えていた。
    作者はなぜスンジェに自由を与えたか?隠れ家を探し出してまで人を追い詰める北と南の体制に対して、作者は人間は自由だと書きたかった。そのために、スンジェの恋愛というストーリーを作った。
    ということかなと思いました。

    最後になぜ、明信の逆襲があって、物語は中途半端に終わるのか?
    単に家制度の中でヨンシクと婚約しただけと思われていた明信だが、新時代の女性として強くヨンシクを選択しているのだと告げる。パクワンソの兄への思いと少しだけ似ている。
    スンジェと明信のどちらにも勝たせなかったのは、作家が北にも南にも加担すると書きたくなかったということではないか?一見ポップな風俗小説のようだがやはり読者が好むような分かりやすいストーリーにはしていない。作家の願いは「驟雨」という表題、民族にとってはこの内部対立はごく一過的なもので終わるはずだという祈りに込められている。それは70年後の今日も裏切られたままだ。(金正恩は、統一という国家目的を捨て、核大国自国だけ独立を目指すと表明した。日韓の保守政権はこのままでは3国核武装の方向に行くしかないのではないか。)

    えーと意見の違いになりますが、「古今東西永久に続く」ものなど世界史にはありません。
    世界中で戦争or内戦は必ず発生する、「いかに拡大を防ぐか」が最大の問題だ、と言われていますが、そんなことはないと思います。

    国際法違反のプーチンロシアによるウクライナ侵攻に続き、イスラエルによるガザ侵攻。ガザ侵攻事態はこれまでも繰り返し行われてきたものです。しかし今までは死者合計が2000人程度を越えると攻撃を停止していました。
    しかし今回はあっという間に死者は数万人に達し、戦争の終わりは見えません。戦後78年間、私たちがよく知らないだけで、もっとむごたらしい殺戮とかはいろいろあったかもしれません。しかし白昼堂々行われた攻撃である、ガザ全土のほぼすべての住居、病院、大学、学校などなどの一切破壊している、現地の残虐な映像がSNSで広く拡散されているという点で弁護の余地がないものです。にも関わらず、バイデンはじめG7各国は最近もイスラエル支持を表明しました(岸田を含む)。あからさまなジェノサイドをG7が支持するとは国際平和体制の危機です。これは今回だけの出来事です。

    なぜそうなったのか?その答えは今度の戦争が、AI化された戦争という点で画期的なものだからだと思います。AI化は正義であり、したがって戦争のAI化は正義であるという論理です。また我々がやらなければ、プーチンや中国がやってしまうという論理もあります。
    参考 “AI兵器”が戦場に 第3の軍事革命・その先に何が

    話がそれましたが、現在戦争についての一般論を口にするのは、現状に対する危機感がなさすぎだと私は思います。

    ところで、スンジェが夫などの左翼活動家のグループに、ロシア語を学ぶほど深入りしていたのに、ある時から急にきっぱり距離を置き始める。これはパクワンソの左翼との別れ方に似ているのかもと思いました。「一度も異性を感じたことはなかった。心理的中性化現象 まるで干からびてしまう感じだった。」p224
    夫との間には感情が残っていたようですが。

    イムイルソクにこだわるのは田坂さんらしいかもしれない。他の作家ならイムイルソクをもっと悪意ある人物として精一杯の悪意を込めて書いたでしょう。反共派の作家ならば。

    とりとめない返事になりました。遅くなってすみませんでした。
    野原燐

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