破壊の灰の中から立ち上がるフェニックスという逆説

若者の中にはマルクス主義者もいた。彼らは、物質主義と資本主義によって腐敗し切っているイギリス・アメリカばかりでなく、自らの国をも破壊するために自分たちの命を献げる覚悟だと、自分たちを納得させようとしていた。彼らは古い日本が崩壊したその灰の中から、新しい日本が鳳凰のようによみがえることを切望したのだった。

(p7同書)

マルクス主義者とまでいえるのは例えば、佐々木八郎氏である。彼は1923年生まれ、一高東大、1943年12月に学徒兵として徴兵され45年2月特攻隊員へ志願、同年4月14日特攻隊任務中戦死。彼はマルクス、エンゲルス、クロポトキン、レーニン、トロツキーを読んだ。戦後有名なマルクシストになった大内力の親友だった。

佐々木に宛てた手紙の中で大内は、断固として戦争に反対し、日本の敗戦を願っている。大内にとって戦争は、日本の帝国主義と権力者のためのものであり、民衆のためのものではなかった。彼は大内に対し、戦死することなど考えるべきではないと論じている。(略)

 佐々木の意見は大内とは異なっていた。彼にとっての米国・英国は、資本主義の悪を象徴する存在であり、したがって戦争は正当化されうるものであった。佐々木は、非合理な精神主義の危険性を鋭く察知しながらも、日本人の保持する武士道などの封建的要素が、日本を資本主義の毒牙から守りうると信じていた。(同書p303)

一応新しき時代のエトスに近いものが見られ、物的基礎も出来つつある今日、なお旧資本主義態制の遺物の所々に残存するのを見逃すことはできない。急には払拭できぬほど根強いその力が戦敗を通じて叩きつぶされることでもあれば、かえって或いは禍を転じて福とするものであるかも知れない。フェニックスのように灰の中から立ち上がる新しいもの、我々は今それを求めている。一度や二度負けたって、日本人の生き残る限り、日本は滅びないのだ。はや我々は“俎上の鯉”であるらしい。悲観しているわけではないが、事実は認めなければならない。苦難の時代を超えて進まなければならぬ。(佐々木八郎)(同書p304から孫引き)

「破壊の灰の中から立ち上がるフェニックス」というのは、当時の若い知識人がしばしば用いた隠喩であり、佐々木も好んで用いたものである。彼にとってフェニックスとは、人類愛に溢れ、個人主義を利己主義に変えてしまった資本主義から解き放たれた、新しい日本のことであった。佐々木は戦死という行為を、若者が新たな世界の創造に参画する機会を与えるものであるという意味で、栄誉あることと考えていた。彼は、新生日本の創造にかかわるという己の義務と責任を果たし、死ぬことを望んでいた。(同書p304)

いよいよ12月1日入営と決まった。かくあることを予期して水泳、体操、銃剣術など充分に鍛えてあるから体力の心配はない。我々はいま第一線に立って一年でも長く敵を食いとめ、以て国家の悠久の生命を守る楯(たて)となることを求められているのだ。

(佐々木八郎)(同書p305から孫引き)

 わたしたち戦後の立場からは、一日でも早く降伏することがフェニックス(再生)につながる、一年でも長く敵を食いとめることに命を賭けることには何の意味もない、と断言される。

だが、私たちは「祖国への愛」から自己を切断し生きるべきなのか。「個人は歴史とその流れに逆らうことはできない。(林尹夫)」祖国が存亡の危機にあるとき戦いに動員されること、自己の生命を掛けようとすること、それは否定されるべきことなのか。彼らがその与えられた歪んだ磁場のなかで必死に生きようとした姿勢は感動的だ。ただそこで、「一年でも長く敵を食いとめ」ようとすることが「フェニックスのように灰の中から立ち上がる新しいもの」の生成につながるべきだとする祈り、それはその戦中の時点ですでに空疎な思想だった。と私は言いきりたい。戦争を遂行しているのは「われわれ」ではなく国家である。国家はわれわれの幻想を吸い取りそれを利用しそれと一体であるかに見せかけるが、それは嘘だ。国家は国家の基準に従ってゲームをしているのであり、学生や大衆の抱く祖国への夢といったものとは最初から位相が違うのだ。

六甲 第五章

 視線が地図の上を、表六甲から裏六甲へつき抜けて

いくと、奇妙な地名が山系の両側に、ひっそりと息づ

いている。カミカ、ハクサリ、ザグガ原、ボシ、マン

パイ、シル谷、カリマタ池、キスラシ山、シブレ山……

地図なしにそこを歩いたら、ここが、そんな地名をもつ

ことを予測しえないだろう、と考えるときの怖しさ。

 地図の上に舞い込んできたホコリを吹き払おうとして、よくみるとタンポポの綿毛だ。微かな筒状のかたちに含まれている〈生命〉を、異なった空間へ変移させるために、更に微かな白い毛が放射線状についている。十数本まではかぞえられるが、それ以上正確には綿毛と綿毛との間隙を区分できない。しかし、この放射線状の毛がいまもっている方向へどんどんのびていけば、六甲よりも巨大な空間を含んでしまうだろう。

 第四章の六項のメモたちが、相互の間隙へ直角に入り込み、みずから介入しつつとらえているヴィジョンは、次のようなものでもありうると想像してよい。

       〈       〉

 かならず、すべてのものは、感覚に、とらえる前に弯曲してしまうのだと思いこんで、やっと動き出すことが可能になり、動き始めて以来、いつでも、どこでも、強調しようとした感覚が、逆にかすんでしまうのを知ったと、波が揺れながら語る。街の東端で用もないのに途中下車し、つくりたての高速道路と、見すてられた住宅群を横断して、魚のとれないこの砂浜へやってきてたたずむ幻影よ。あなたの、うちよせては帰っていく運動の仕方は私のと同じだ。そして、ここからは見えないけれども、子午線の下あたりで、流れがいつものように方向を変えはじめていることも、あなたは知っていますね。

 そうだ知っている。雨あがりの川にかかっている橋である私は次のことも。六甲から性急に走り下る水勢を緩和するために、河床は数十メートル毎に段状につくり変えられている。吸いかけたタバコのフィルターの色をした泥水は滝を垂直に降下する度に速度を分断されている。泡立つ水の前線は、前線であることが分るほどほど孤立し、コンクリートに石をはめこんが河底が、歯をむきだして笑う。いくつにもとぎれた水の軍勢が左右不対称の前線を、たえずジグザグに変異されながら私の下をくぐっていく。ふりむくと河口のむこう、暗い巨船の上に暗い海が浮いている。

 時間が自律的に流れるにまかせ。圧力の少い空間へ自分が流れるにまかせている海が。海が……?

 ここは見なれた風景ではない、と思いこむとき、ひざにくいこむ坂の傾斜、背中を流れる冷たさだけを支持しよう。海が、そのままの重量でショーウィンドウのガラスを飾り、氷山が六甲の耳たぶをかむ冬をつくりだすために。

 〈かれら〉の恥ずかしさや、数字への不信や、肉親への哀れみを、デモ指揮者の唇をかむ恥かしさや、患者があたためる数字への不信や、娘たちが自分のリボンに触れるしぐさとつないでみよう。そのとき氷山に似たピラミッドの何本の稜線を越えていくことになるか。

 いく切れかの雪、いやタンポポの綿毛が降りはじめている。

 市電がそこで途絶える街の西端の街路樹の下で、だれも知らないだれかの墓をさがし疲れて休んでいる老人を語らせる声……埋葬や追悼は手にふれた途端にうそになる。それをたしかめにやってきたのが死者への思いやりというものだろう。

 ただ一つ残った海水浴場で貸ヨットを見ている失業者を語らせる声……わざと組合運動ができないようにとやっていったら、一ばんどんずまりのところで、案外できるようになってしまうかもしれないな。

 そのような声が、山系のこちら側と、海峡のこちら側をタンポポの綿毛を流す風のように流れるならば、次のような組織論が語られていても不思議ではない。

 さっきの声を聞いて、遠心=求心を一致させようとする時間と、それを泥の中に埋める時間とが対話している、という風なことを一瞬でも考えたものはここに集まってくれ。かんたんにいうと、この空間に〈ない〉全ての組織構成員に、めいめいが仮装するのだ。きみたちのめいめいはこの空間にも、所属する組織にも、〈 〉をつけていく。そして……

 仮装するとき。

 所属組織の論理で一切の対象を扱うとき。

 仮装者同志で会議・討論するとき。

 最大限一致と最低限一致のふくらみをもつ方針を一切の状況に投げつけ行動するとき。

 この投げつけや行動が、敵対者や無関心者から反射してくるとき。その反射が、仮装者をとおりぬけるのに、更に仮装し続けようとするとき。

 これらのすべてのときに生じる不安を階級関係と対応させて新しい組織をつくりだしていく。そのとき、同時にきみたちの仮装そのものをはぎとりながら。

 仮装組織論……とよんでもいいが、この組織論がひらめくめくのは、六甲が、これらすべての異和感と、最も無縁な組織空間にあるからだ。それを逆用して、ここに存在しない組織からの派遣者に仮装し、自己の所属する組織をも〈 〉へ入れていく。

 ここに存在しない組織といっても分派闘争系列図を調べればいいわけではない。そのような図は、もっと深い位相での分派闘争を一枚の紙で切りとってきたものにすぎないのだから。

 条件……一人でもやれるか? 舞台へではなく、場外へ出られるか? 政治組織以外のα・β・γ系を、自在に昇降できるか? 仮装が不要になったとき仮装の罪で処刑されてもよいか?

 遠くからの訪問者があれば胸の谷間と首すじにある目印しをたどって山上の平原へ行こう。しかし、霧につつまれて夕方に最終バスがなくなると、タンポポをさがすひまもなく空腹がやってくる。

 同じ頃、いつか、ひらめきが訪れたらいくつか論文がかけるだろう、と自足して研究会を開いているものたち、と絶縁しているものの前にタンポポの切手をつけた〈第n論文〉をめぐる諸註が送られてくる。……

 第n論文に〈 〉をつけたのは、それを強調するためでもなく、いつか未来にかく予定だという意味でもない。第n論文が、永遠に仮構の位相にあることを示すのである。

 またnというのは、いままでかいてきた論文の順序であるが、第n論文では、他者の作品の分析をするのではない。たとえ結果としてそうなっても、主眼は、この仮構の論文をかかせる何ものかの力を追求することである。諸註とは、このことを示している。

 いま、ここで第(n-1)論文までの文章を構想すると共に、第(n+1)論文以後の文章に註をつけていくとすればどうなるか。

 この仮定をするとき、第n論文以外のすぺての論文が〈 〉に入ってしまう。逆にいえば、こののことは、第n論文が意識的に、また必然的に〈 〉に入り、論文系列の位相から逸脱した結果として可能になっている。

 〈 〉をめぐる諸註が、既成の研究論文の枠内に、どんな影をおとすか。枠をこえて発散するか、枠の中で収束するか、枠をつくっていくのか、よく見るがいい。ただし、きみたちの頭蓋が影の実体に触れたとき破裂しても、それはこの論文の知ったことではない。

       〈       〉

 私が知らない間に、映画をつくっている映像たち。この街で一ばん見はらしのいいといわれる大学への階段をのぼっていくものの比重は風景に対して稀薄になり、まだ一人の観客も登場してていない試写会には、フィルムの回転音だけが白昼の闇に対抗している。

 映像たちよ。撮影される前の自分に会いにでかけても無駄だ。六甲はいつも、そこにあると思われているところにあるとは限らない。いちばん必要なときと、いちばん必要でないとき、不意に現われてきただけなのだ。タンポポの綿毛を流すほどの風があれば、六甲は揺れる。そして、だれかが疲れて手を放せば、いつでも背景や小道具はくずれ落ちる。

 複数の焦点と、隆起するフィルムのために生じた断層、そこには、撮影意図からの変移を示すための映像の他に……。

 六甲は美しくて住みよいという満足感も、やがて未来はこのようになるだろうという計算も、腕時計の肌ざわりから手錠を感じとらない心も、反革命を革命と判断するのに、いつも遅れてくる発想法も、すべて映しだす映像がうごいていなければならない。

       〈       〉

 ペン先を入れた小さなケースをとりだそうとすると、ペン先が語る。

 楽にかいてみたら? 軽くとんでみたら? そのとき、かえって重い字のおとす影が、何百ものロマンの影であることが、はっきりしてくるでしょう。

 ペンを持つ手が答える。その誘惑はだれよりも自分がよく惑じている。同時に、はじめから楽にかこうとしても解決はしない。かきおわったときに、やはり、このかきかたが一ばん楽だったのだと、世界が一瞬でも感じるように……と祈るだけなのだ。

 どこらも風信のとどかなくなったこの季節を逆回転するように、無人の丘でさかさまに倒れると、憂愁の重力が〈 〉のまぶたにかかり、黄色い花びらをはさみこむ。

 臨時工であることを示す黄札が、作業服の上で立ちすくんでいる。……海底から水面を見上げると、のこぎり状の葉が浮く。……崖下を走る電車をみつめているときにも視界に侵入してくる斜面にはりついたタンポポの根。牢獄でのわずかな散歩時間中に、くつ下をずり上げるふりをして、たった一本の黄色い花を、すばやくむしりとる囚人。

 油コブシが見ている坂道で花びらを押しひろげ、花芯から放たれる香りをさぐろうとすれば、遠くの路上で遊ぶ幼児が、ふと手をとめるだろう。それでも、花芯のむこうの綿毛がとりだされ、その綿毛のむこうの花びらがとりだされ……とりだされた何ものかは決意する。あの幼児の運命を、こんどは自分がになうことになる。になうときにせまってくる力をすべて花開かせよう。

 まどろみの間に、どこかで着地していることば……

 飛び上ろうとするとき、いままで殆んど意識しなかった条件から、いちばん強く規制される。

 

 風に乗って舞うのは、関係のあるすべてのものに許しを乞うため。

 岩の肌や、茨のふところに落ちたときは、いま創りつつあるのだと思いこまなければ、とても忍耐できない。

 まどろみが、〈 〉のまぶたから、はみ出し、その直前、小さなケースの中のペン先は、綿毛に変移している。

       〈       〉

 首都へ、群衆がビルディングに吸いこまれる時間に到着するため、深夜に六甲を通りすぎていくものたちよ。ここは、ネオンの棲息する海、テレビ・アンテナの群生する荒野ではない。いま、プラットフォームで鳴るベルを、発車の合図だと思っている限り、きみたちはどこへも行けはしない。

 この列車をレールから逸脱させて六甲を横断して走らせるには、どれだけの労力が必要か計算しよう。風のような非人称の苦しみを〈 〉のかたちをした貨車に積みこめ。ゼネストの前夜すわりこむときに持っているものの他は出発に不要だ。

 そのようにささやきかけても、たじろがないものたち……足のくみかたや、字のかきかた、胸にとびこんでしまったタンポポの綿毛があれば、そっと微笑してつれて行け。

 いつ、どこへ出発しようとも、すべての風景と交換しつくしてしまっているという抒情からの出発を。今日、最後にあの大衆浴場で会ったきみも。

     〈 〉〈 〉〈 〉〈 〉〈 〉〈 〉

 六項のメモたちのとらえるヴィジョンは、このようなものでありうると想像してよいか。ここまで書いてきたとき、いわば表六甲を分水嶺にまで登りつめたとき、不意に裏六甲が姿をみせるように、不安としか表現のしようのないものがみえてくる。

 第四章の六項のメモたちの間へ降下する六項のメモの過程をいままでかいてきたのに……

 一つの過程をかいているとき他の過程を空間的に排除してしまう不安と、一つの過程をかいているとき他の過程が時間的に変移してしまう不安がみえてくる。

 これらの不安は〈六甲〉をかこうとする試みが、そのために見えない領域をつくりだしてしまうことから生れているのだろう。

 このようにかきつけるとき、すでに無意識のうちに〈六甲〉の道は、分水嶺をすぎて表六甲から裏六甲へ入りこんでいたのかもしれない。不安がみえてきたとき、山系の全体も、おぼろげにみえてくるのか。

 そういえば、序章から第二章をへて第三章までが表六甲の道であり、第四章以後が、すでに裏六甲へ通じていたのだろう。だから第五章は、第二章と同位相にあり、第五章の六項のメモたちは、第二章の〈私〉たちと対応している。

 ちがう点は、希望に似た不安がみえてきたことで、不安は、原告団のように告発する。

 ……

 その通りだ、と認めつつも、何ものかが私に語らせて、不安の告発の時間を短縮しようとするのである。

 おお、その告発を聞くために、ここまで書いてきたのだ!

 告発の時間を早くおわらせたい……がしかし、いままで〈六甲〉をかいてきた時間は、どんな流れかたをしてきたのだろうか。

 いままで、どの章をかいているときでも、できるだけ早くかきおわり、解放されようとねがってきた。けれども、分裂し、からみ合う構想を、できる限り時間の方へ投げつけてきたとき、いつもその極限で、全く意外な表現が可能になった。

 とくに第四章をかいている最終過程で、メモ相互の間隙へ直角に降下する方向全体を一つの表現として提出しうるのに気付いたとき、汚い文字、抹殺し、捨てることが、そこから与えられる最後で唯一の快楽になっていたメモ群が、突然、光を放ちはじめたのを忘れることができない。この光は、ほんとうは、徴かながらも序章からずっと〈六甲〉の道を照らしていたはずである。

 けれども、私は、この光を十分にとらえ切ってはいない。なぜなら、どの章をかきおわったときにも、とくに第四章をかきおわったとき、切迫した時間から、安らかなおののきの空間へ投げこまれてしまったから。

 そればかりではない。その安らかなおののき。その空間も、ゆっくりと、しかし確実に変移しはじめ、次の切迫した時間へ進んでいくから。そのことに、いま気付いたから。

 長距離コースを泳ぎ切ったものが、ゴールの後でもなおプールの端でターンするように、切迫した時間に触れて、安らかなおののきの空間へもどっていく。……もどっていく? 何ものかに投げかえされているのだ。

 この断絶、この苦しみは、何かに似ていないか。そうだ! 切迫した時間を付着させている首都から、まどろんでいる空間、六甲への漂着。時間に咲くタンポポとのすれちがいから、空間に咲くタンポポヘの陶酔。

 これらは罪の拡大再生産だろうか。……ここからは、もう、私だけのために語ろう。

 切迫した時間から、安らかなおののきの空間への無意識的な断絶……というかたちは、逆転させることができるのではないか。安らかなおののきの空間から、切迫した時間への意識的な飛躍。

 そのとき、時間との接しかたに関する罪の深さが逆の意味をもちはじめてくるだろう。

 いかにして逆転させるか。いまは一つの予感しかない。α・β・γの構造とその時間的な根拠をさぐること。

 〈六甲〉からはみだそうとする油コブシで、こんなことをかいた記憶がある……

 〈 〉が生まれてくる契機は、ほぼ次の三種類に分けられる。

 α、〈 〉の変移を徹底化しようとするとき。

 β、α の運動に対する表現内からの不安を放置するとき。

 γ、αやβの運動に対する表現外からの不安を放置するとき。

 α・β・γというのは、この湾曲した世界における何ものかを区分しようとする力(ピラミッドをつくっている力といってもよい)が、〈六甲〉におとしている影のような境界線ではないだろうか。

 もし、そうであるとすれば、いや、必ず、そうであるようにさせなければならないのだが……切迫した時間から、安らかなまどろみの空間へ、という変移は、激しければ激しいほどよいのだ。また、このかたちとa・β・γ系のかたちとの比較できる領域が、広ければ広いほどよいのだ。

 〈六甲〉から、すべての不安の占拠がはじまる。いまは、一点でのみ時間の構造と接しているにすぎない空間としての〈六甲〉から。

 不安をこの世界に深化拡大することによって告発し、占拠する、関係としての原告団をつくろう。

 はるかな時間=空間から、〈六甲〉へのささやきがやってくる。これから占拠される不安たちのささやきが。

 私はいま、序章に対応する位相にあると感じている。……すると私は、第五章を表現しようとしているうちに第六章=終章まで表現してしまったのであろうか。あるいは、序章から第五章までを表現することが第六章=終章を表現することになるのであろうか。

 断言できること……この瞬間から〈六甲〉をかき続ける主体は、私だけではなく、私たちである。

 関係としての原告団よ、〈六甲〉を吹き抜ける風にのって、当然の比喩だが、タンポポの綿毛のように、弯曲した世界へ突入していけ。

 私たちのであうたたかいが、〈六甲〉第六章=終章を表現することである。

えふしそのFAQ など

★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

7 97/03/14 えふしそのFAQ(C,D) (99/1/13 最終更新)

C:「著作権について」をめぐって

【質問】

 「著作権について」によれば自分の発言の他の媒体への転載は自由ということ

ですが、他人の発言でも発言者の許可が得られれば転載は可なのでしょうか。

【回答】

 はい、そうです。ただし一切ご自分で責任を負われてください。また一つのコ

メントツリーまるごと転載するというような場合には、NIFTY-Serveの主張する

編集著作権に抵触する場合がありえますので、NIFTY-Serveの許可が必要です

(「二フティからのお知らせ」5参照)。

 またフォーラム内発言の引用は自由ですが、被引用者との間でトラブルが生じ

ないよう著作権法を遵守してください。

【質問】

 このフォーラムは面白いので友人にも薦めるためLOGをプリントアウトして見

せたいのですが、これはいけないことなんですか。

【回答】

 私的使用のための複製は可なので、小人数の方に見せるだけでしたらかまいま

せん。

【質問】

 絶版になった学術書をコピーしたいのですが、会議室で持っている方を探して

もよいでしょうか。

【回答】

 絶版・品切れの本といえどもその全部あるいは主要部分をコピーすることは著

作権を侵害する可能性が極めて強いです。ですから会議室あるいは掲示板でコピ

ー目的を明記した文章はUPなさらないでください。「****を持ってらっしゃ

る方がおりましたらメールください」というような書き方にしてください。後は

あなたの自己責任でお願いします。テープ、CDなども同様です。

D:運営慣行・議論の進め方etc.

【質問】

 スタッフになるにはどうしたらいいのですか。

【回答】

 FSHISOではスタッフ選出はすべて立候補制を採っていますので、スタッフにな

りたい方は運営会議室(10番)で立候補してください。一週間前後会員の意見を聴

取した上でSYSOPによって採否が決められます。

 会議室のボードリーダー(BL)は当該会議室または関連会議室での発言実績があ

ること、RT担当者は、RTでの発言実績があり、定期的にRTの司会をする時間的余

裕があること。メンテナンス担当のSUBSYSはコンピューターにある程度通じてい

ることなどが条件になります。またSUBSYSはSYSOPとほぼ同等のコマンドを行使

しますのでコマンドを行使しないBLやRT担当よりも採用基準がやや厳格になりま

す。さらにその仕事が他のスタッフとの密接な協力を要するものである場合は相

役の意見も採否判断の重要な要素となります。

 仕事の内容の打ち合わせ等は会議室上でなされますが、システム上の守秘義務

に触れることやプライバシーに関わることは電子メールで処理されます。

【質問】

 あるスタッフを辞めさせたいのですがどうすればいいですか。

【回答】

 そのスタッフと単に意見が合わないとか不快だということでしたら、会議室上

で抗議・批判してください。ルール違反とか職務怠慢などの具体的な落度がない

かぎりSYSOPがスタッフを解任することはありません。

【質問】

 新しい会議室を作って欲しいのですがどうすればいですか。

【回答】

 会員であれば誰もが運営会議室で会議室の新設(廃止)を提案できます。会議室

の新設・廃止はSYSOPが会員の意見を聴取して決定します。

【質問】

 データライブラリ(DL)に論文をUPLOADしたのですが、まだ登録されてません。

どうしてですか。

【回答】

 DLの内容物には運営が会議室や掲示板などよりも重い責任を負いますので、論

文については内容のチェック、プログラムついてはウイルスチェックなどを行わ

なければなりません。登録までもう少しお時間をください。

【質問】

 BLの方から、全角35~38桁程度で行末改行するように言われたのですが、どう

してですか。ディスプレイ上では自動的に折り返しになるから必要ないような気

がするのですが。

【回答】

 書式は原則自由です。行末改行はNIFTY-Serve内での現段階での慣行にすぎま

せん。

 ただNIFTY-Serveでは、1行がShift-JISで数えて80の倍数バイト+改行という長

さになった時に、最後の改行が欠落するという欠陥があります。また、1行の長

さに1024文字以内という制限があります。全角40桁未満で行末改行すれば、その

危険を回避できます。

 そしてかつては、行末改行を入れないと文字化けを生じやすく、読者のハード

やソフトによってはLOGそのものの閲覧に不自由するということも珍しくありま

せんでした。

 行末改行はそのような事情からやむをえず始まり、慣習化したものです。

 しかし今日では、機器の進歩によって、文字化けや閲覧不能などの障害はほと

んどなくなりました。むしろこれからのNIFTY-Serveの進化は、上記の制約をな

くし、改行をホスト側で自動的に調節するという方向に向かっていくものと思わ

れます。それに行末改行がないほうがファイルの再利用などで便利ということも

ありますので、あえて改行なしで書き込みをなさることを当フォーラムでは否定

しません。

 しかしなおほとんどのNIFTY-Sereve内のエリアで行末改行が強制ないし推奨さ

れているのにも理由があります。まず上記のような技術的制約による不都合が能

力の低い端末などではまれに生じうること、そして引用慣行の問題です。

 パソコン通信での引用は、左端に「>」や「|」などの記号を付けて引用部分を

表すのが慣習です。多くのエディターや通信ソフトも一行が40桁未満で改行され

ていることを前提として「引用符付ペースト」などの機能を標準で備えています。

ですから行末改行がなされていないと整形のための手間をとらせ相手に不便な思

いをさせることになります。また整形なしで引用・再引用が続けば、全体で一行

40桁を超えてしまい読みにくくなります。ですから今日多くのエリアでは、行末

改行もぎりぎり全角39桁目ではなく、35~38桁目あたりで改行することを推奨し

ています。

 以上のことをよくお考えになってあなたの書式をお決めになってください。

【質問】

 会議室での議論が険悪になってきたので、一旦電子メールに議論を移して互い

の誤解を解き、その上で会議室での議論を再開したいのですがいかがでしょうか。

【回答】

 危険です。最悪の場合あなたは相手の方に「会議室と私信とで二枚舌を使って

いる」「会議室の議論から手を引けという脅迫メールを送ってきた」などと誤解

されてしまいます。会議室での議論はあくまでも会議室で決着を付けるようにし

ましょう。

【質問】

 議論が白熱して私宛の発言がたくさんあって頭が混乱してしまいます。でもみ

なさんすぐに返事(レス)を返してくるのでこちらもすぐにお返ししないと失礼に

なるような気がします。どうしたらいいでしょうか。

【回答】

 パソコン通信のメリットは時間と空間に縛られずに議論を展開できることにあ

ります。それに誰もが私生活上の都合を抱えているわけですから、一般的にはレ

スが多少遅れても失礼にはなりません。それに時間に追われていいかげんなレス

を書くとかえって相手に失礼にあたるばかりか、思わぬトラブルの元になります。

むしろ議論が白熱してきた時こそじっくりと考えてレスを書かなければなりませ

ん。

 なお同一発言で多数の人にレスすること(マルチレス・マトレス)は、コメント

リンクが乱れて議論がたどりにくくなるので嫌われますが、同一コメントツリー

内の同一主題の発言に対してならその心配はないので、同趣旨の質問がたくさん

よせられた時はまとめて返事するのも一つの手です。

 (98/10/28削除)

9

【質問】

 ハンドル設定を怠って、意に反しIDの登録名(本名)のまま発言してしまった

のですが、どうすればいいでしょうか。

【回答】

 すぐに自己削除なさってください。ただそれですと操作によっては登録名が

第三者に読みとれますので、完全にあなたの登録名を消すためにはSYSOP削除

が必要です。メールでSYSOP削除をご依頼なされば応じる用意があります。

 ただ本フォーラムではどの会議室でも一昼夜に最低100人の会員がアクセス

しております。ですからご発言直後に気づくのでなければでなければ事実上登録

名の保護は不可能とお考えください。24時間以上放置された後でのSYSOP削除の

依頼には応じかねます。

10

【質問】

 書き込みをアップした時にリンクを間違えてタイトルも意図と違うものになってし

まいました。翌日の巡回で気が付いて、直そうと思ったのですが、すでにコメントが

付いていて自分では直せません。SYSOPは修正に応じてくれるのでしょうか?

【回答】

 なんらかの事情で、リンクやタイトルが意図どおり表示されなかった場合、そ

の原因となる発言が発言者本人に削除出来ない場合でしたら、その発言のタイム

スタンプから10日以内に、リンクの修正を要請なさってください。原則として応

じますし、それにともなうタイトルの修正もいたします。なお発言者ご自身が修

正可能な場合は当フォーラムの自己責任の原則からして、発言者にやっていただ

きます。しかしフォーラムの仕様に不案内な方もいらっしゃるでしょうから、要

請に対して門前払いするようなことはいたしません。また10日を過ぎた発言やで

も、相談に応じますのでおっしゃってください。

 なおSYSOPやSUBSYSは【質問】のようなことが生じた場合、可能な限り、一般

会員としてのコマンドを使用し、SYSOPコマンドを必要最小限しか行使しないよ

うによく考えて行動します。

                  FSHISO SYSOP tty(SDI01015)

8 97/03/14 ふしそのFAQ(A,B) (99/2/27 最終更新)

A:FSHISOの基本原則

【質問】

 NIFTY-Serve会員規約の17条では、「公序良俗に反する行為」や「他の会員又

は第三者を誹謗中傷する行為」が禁止されています。それなのに「えふしそのル

ール」に従えば会員規約違反の発言でも削除されずに残されてしまう結果となる

ことがありえます。会員規約の方がローカルルールよりも上位の規範のはずです

からこれはおかしいのではありませんか。

【回答】

会員規約に反する発言の削除については、28条でニフティによって「削除するこ

とがあります。」と定められており削除が義務づけられているのではありません。

また現実問題として「公序良俗」や「誹謗中傷」の客観的な認定は不可能です。

多くのフォーラムではその設立目的に沿って許される発言の範囲が定められてい

ますが、FSHISOは社会科学と思想を扱うフォーラムである以上、発言の自由を最

大限保障することがフォーラムの目的に適ったことです。それゆえプライバシー

侵害発言に対する以外は規約15条の削除権を自制することにしているのです。こ

れは会員規約の一つの応用形態でありなんら会員規約に反するものではありませ

ん。「えふしそのルール」はNIFTY-Serveの慎重な審査をへて承認されています。

【質問】

 自己責任を掲げながら匿名を積極的に推奨しているのは矛盾していませんか。

【回答】

 実名制を採用すれば、大きな組織や強力な組織に属しかつその組織の意向を代

弁する発言者が有利になり、実社会において無力な者や組織に属していながらそ

の組織の意向に沿わない者は私生活において様々な不利益に晒されることになり

かねません。また何らかの手段で実名以外で発言することが出来る者も不当に有

利な地位を占めることになります。ネットでの議論を実生活に直結させることを

目的としているエリアならともかく、思想をテーマとする場においては、実名制

の弊害は大きすぎます。

 また匿名=無責任では決してありません。ネット上にも「名誉」「評価」が存

在し、劣悪な言動を続ける者の発言の効果・影響力は確実に低下します。

【質問】

 運営に関して会員の意見を聴取するといいながら最終的な決定権はSYSOPにあ

るようですね。これは発言の自由を最大限尊重するFSHISOらしからぬ非民主的な

ことではありませんか。会員による投票制などを採用することは出来ないのです

か。

【回答】

 フォーラムはSYSOP個人がNIFTY-Serveと契約を結んで設立されたもので、全責

任・権限はSYSOP個人にあります。もちろん「えふしそのルール」によってSYSOP

がフォーラムの目的達成のためその権限行使を自制しているように、理論的には

会員の投票にSYSOPの権限の一部を委ねることも可能でありましょう。しかし

FSHISOの会員は二万人をはるかに超えてますし、現実にアクセスされてる方だけ

でも数千人もいます。それだけの人数の投票を受入れることは現在の仕様では不

可能です。また仮に受入れ可能な数十程度の投票しかなかった場合には、今度は

投票の正当性自体が疑わしくなります。

 現段階では会員総体の意思を確認する手段はなく、公開の運営会議室で会員の

意見を聴取した上でSYSOPが決定するというのがもっとも民主的な方法と言わざ

るをえません。

【質問】

 「えふしそのルール」前文には「かつて、FSHISOでも、会議室での議論から争

いになり、その争いがフォーラム運営問題・ニフティの規約問題となりついには

法律問題にまで「展開」してしまったことがあります。」とありますが、どんな

事件なのですか。教えてください。

【回答】

以下の過去LOGをお読みください。

 nifty:FSHISO/LIB/1/469  えふしそ運営/企画室 MES10#4000-4249ログ

 nifty:FSHISO/LIB/1/436  えふしそ運営/企画室 MES10 #3750-3999ログ

 nifty:FSHISO/LIB/1/400 えふしそ運営/企画室 MES10 #3500-3749

 nifty:FSHISO/LIB/1/388 パソコン通信と表現の自由 #1000-1136

 nifty:FSHISO/LIB/1/339 パソコン通信と表現の自由 MES18#500-999

 nifty:FSHISO/LIB/1/335 えふしそ運営/企画室 MES10#3000-3499 Log

 nifty:FSHISO/LIB/1/331 えふしそ運営/企画室 MES10#2500-2999LOG

 nifty:FSHISO/LIB/1/328 FSHISO WHY・HOW・WHAT MES8#2000-2283LOG

 nifty:FSHISO/LIB/1/312 FSHISO WHY・HOW・WHAT MES08#1500-1999LOG

 nifty:FSHISO/LIB/1/303 ウンエイ__A5.LZH えふしそ運営#2000-2499

 nifty:FSHISO/LIB/1/301 WHY___B3.LZH FSHISO WHY…#1000-1499

 nifty:FSHISO/LIB/1/297 パソツウ__1.LZH パソコン通信と・・・#1-499

 nifty:FSHISO/LIB/1/293 WHY___B2.LZH FSHISO WHY・HOW・WHAT#501-999

 nifty:FSHISO/LIB/1/291 WHY___B1.LZH FSHISO WHY・HOW・WHAT#1-500

 nifty:FSHISO/LIB/1/289 WHY____1.LZH WHY HOW WHAT(1)#1-999

 nifty:FSHISO/LIB/1/287 ウンエイ__A4.TIT えふしそ運営/企画室#1501-1

 nifty:FSHISO/LIB/1/285 Between the Sexes MES(6) #1-499

 nifty:FSHISO/LIB/1/263 ウンエイ__A3.LZH 運営会議室(#1001-1500)

 nifty:FSHISO/LIB/1/234 feminism室(4) #1-499

 nifty:FSHISO/LIB/1/233 feminism室(4) #500-999

 nifty:FSHISO/LIB/1/231 運営会議室 #500-999

 nifty:FSHISO/LIB/1/223 feminism(3) #501-933

 nifty:FSHISO/LIB/1/217 feminism(3) #1-500

 これ以外にも関連するLOGがありますが断片的なので割愛しました。またこの

事件は当フォーラムだけで完結しておりません。他エリアの情報はあえてここで

は提示しませんが、上記LOGをお読みなればどこを探せばよいかお分かりいただ

けるはずです。

 現在この話題は4番会議室で扱うことになっています。意見や質問は4番にお

願いします。

B:「えふしそのルール」をめぐって

【質問】

 削除要求はコメント形式ではなくメッセージでといわれましたがなぜですか。

【回答】

 発言削除は原則として発言者自身が行うものです。しかしNIFTY-Serveの仕様

上コメントがついてしまった発言は発言者による削除が出来なくなってしまいま

す。そこでSYSOPによってリンクを解除する作業が必要になります。ですから削

除要求している発言にまだコメントがついてない場合は、当該発言へのコメント

ではなく独立したメッセージとして削除要求を行ってください。

【質問】

 自己発言の削除はどうすればいいのですか。

【回答】

 プロンプトから「rd ****」(****は発言番号)と打ち込みます。

 以下の例はttyが自己発言を誤字訂正のために削除した時のLOGです。

>CCS(N)>rd 7077

><発言削除>

>07077/07077 BXE01052 tty 代理削除について>re:7068

>(10) 97/02/20 19:55 07018へのコメント

>削除メッセージの入力 (漢字で14文字まで 改行のみ :省略)

>:誤字訂正m(..)m

>確認 誤字訂正m(..)m (1:OK 2:NG)

>:1

>削除 (1:削除する 2:しない)

>:1

>-削除完了-

 削除の後はrtコマンドでご確認ください(特に他人より削除要請を受けて削除

される方)。以下のようになっていれば大丈夫です。

>CCS(N)>rt 7076

><タイトル一覧>

>番号 ID 登録日 TO CO 題名

>7076 BXE01052 02/20 19:54 07062 1 RE:他人へのメール要請問題

>7077 BXE01052 02/20 19:55 07018 0 発言者削除 :誤字訂正m(..)m

>7078 BXE01052 02/20 19:57 07018 1 代理削除について>re:7068

 以上はメニューが表示されないエキスパートモードを例にしてます。通常モー

ドの方のプロンプトは、

>電子会議 (1:発言 改行のみ: 読む) 通常モード

>>rd 7077

のように表示されます。

なおニフティマネージャをご利用の方は、ヘルプの「フォーラム→電子会議室

→電子会議室でできること→会議室の発言を削除する」をごらんになってくださ

い。(ver4.7 for Windowsの場合)

【質問】

 私に対するひどい発言があったのですが、削除よりも謝罪を求め、発言そのも

のは残して晒しものにしたいと思います。削除要求なしの抗議にも「えふしその

ルール」が適用されるのですか。

【回答】

 はい。「えふしそのルール」Bの「抗議・削除要求」は、削除要求を伴わない

抗議も含むと解釈されています。

【質問】

 都合によりIDを変更したのですが、変更前の発言を削除したいのですがどうす

ればいいですか。

【回答】

 その場合は、念のため変更前のIDで削除要求なさってください。また「えふし

そのルール」に基づいた抗議・削除要求に対する反論も、対象発言のIDで反論な

さってください。

 以上のような問題が生じることがありえますし、またSEArchやSCAnなどの検索

コマンドや、閲覧ソフトの検索機能を使う上でも不便が生じますので、なるべく

IDの変更は避けてください。

【質問】

 プライバシー侵害発言はSYSOP削除されるということですが、発言中の個人情

報が他エリアでの公開情報だったらどうするのですか。

【回答】

 プライバシー侵害発言は一刻の遅れが取り返しのつかない被害をもたらしかね

ないため、灰色も含めてSYSOP削除することになっています。個人情報について

はとりあえず、FSHISOで公開されてないものを含む発言は削除します。ですから

それが公開情報である場合には、その所在場所を明示して運営に申し出てくださ

い。公開の事実が確認されれば、再UPいたします。また被言及者本人の了承を得

ていらっしゃる場合、あるいは事後承諾があった場合もその旨申し出てください。

ただその場合でも住所に関しては特に保護が必要ですので、本人自身よる書き込

みでしか住所の公開は認めません。

 「議論のための心得」にもありますように、公開情報だからと言ってみだりに

個人情報に言及するのは好ましいことでありません。その必然性があるのかどう

かよくお考えの上で書き込みをお願いいたします。

 また他のエリアでの公開情報であっても、そのFSHISOにおける再公開によって

実害が生じる恐れが切迫している、という申し出が被言及者からなされた時は、

削除することもありえます。また実名制フォーラムでの実名や会員情報での氏名

や居住地など公開が自由な意思によるものかどうか疑わしい情報や当該エリアが

閉鎖的な場でありそれを前提にして書き込まれた情報である場合にはプライバシ

ーとして保護いたします。

 ただ原則としてネットで一旦書き込まれた情報は公開情報として扱われますの

で、個人情報の管理にはくれぐれも注意なさってください。

【質問】

 MESXの#****発言は、確かに私の本名や住所・職業などの個人情報が暴露され

ているわけではないのですが、あのまま電子会議(会議室)に公開されて大勢の人

に読まれるとちょっと私生活に差し障りが出そうです。何とかならないでしょう

か。

【回答】

 そのような場合はSYSOPに電子メールで事情を説明してください。もし当該発

言によって、ネット外でのあなたの私生活に単なる不快感を超えた実害が発生し

ている、あるいは発生の可能性が極めて切迫しているならば、SYSOP削除いたし

ます。もしそこまでいたらないようでしたら、リンクをはずして削除可能状態に

しますので、発言者に自己削除を要請してください。

 当フォーラムのスタッフは、プライバシー侵害発言がないかどうか、普段から

注意していますが、何がプライバシー侵害かどうかは難しい点もあり、見逃して

しまうことがあると思います。自分のプライバシーが侵害されている発言があっ

たら、SYSOPに連絡してください。FSHISOでは運営に関する議論はすべて公開の

運営会議室で行うことになっておりますが、プライバシー侵害に対する対処要請

は、「えふしそのルール」B-3の「止むを得ない場合」にあたりますので、会議

室とは限らず、SYSOP宛メールでなさってくださって構いません。

 そのメールに基づいて、保留措置を行う場合にはその理由の要旨をSUBSYSに報

告させていただきます。SYSOPの判断をチェックするためとその後のSUBSYS業務

の参考にするためです。また保留発言の発言者にも最低限度の保留理由を添えて

保留を行うことと、その反論はプライバシーに関わることなのでSYSOP宛メール

で行って欲しい旨をメールで通知いたします。発言者の権利を守るためと無通告

で発言保留を行った結果発言者が公開の場で保留に抗議し、秘匿すべき情報がか

えって広まってしまうのを防止するためです。ですから「SYSOP以外には絶対に

極秘にしてほしい」という情報をSYSOP宛メールにお書きになる場合にはその旨

を特に明記してください。

 なお、その時交換されたメールは、被害の恐れがなくなった時点において、同

種事件の再発防止の参考資料とするために公開することが出来るよう、あらかじ

めご承諾いただけたら幸いです。もちろんその時は、個人情報部分は完全に伏せ

字にさせていただきます。ネットワークの発展のためなにとぞご協力をお願い申

し上げます。

【質問】

 友人がある学会の幹事をやっているので、ネットでの広報を頼まれました。

その案文に「お問い合わせはtel 01-2345-6789:毛利元就まで」とありますが、

このフォーラムはプライバシー保護には大変厳しいようですね。このままUPして

大丈夫でしょうか。(ABC01234:豊臣秀吉)

【回答】

 SYSOP削除はいたしませんが、あまり好ましくありません。「tel 01-2345-6789

**学会事務局まで」などと個人名と電話番号を結び付けないやり方の方がいい

と思います。あるいは「お問い合わせはABCD01234:豊臣秀吉まで電子メールで」

というように紹介者のあなた自身の責任で毛利さんに伝えるという方法を採られ

ればなおよいと思います。

 たいへん失礼なことを申し上げるようですが、当方としては提供していただい

た情報の真偽を確認することが全く出来ません。万が一電話番号やIDその他個人

情報にミスがあった場合多くの方にご迷惑をかけてしまうことになります。出来

るだけ発言者本人以外の電話番号やIDは書き込まないでいただきたいのです。そ

して発言者のIDへのメールなどによって問い合わせなどの処理していただきたい

のです。

 当然住所も出来るだけ書き込まないでください。(発言者本人以外の)個人の住

所が書き込んである場合はSYSOP削除させていただきます。団体の住所なら削除

はいたしませんが、出来る限り避けてください。

【質問】

「えふしそのルール」が適用されるのは会議室での発言だけですか。

【回答】

 いえ、掲示板やリアルタイム会議(RT)での発言にも適用されます。RTの場合は

削除要求はありえませんが、10日間の期限を設けた抗議をすることが出来ます。

 くわしくは「リアルタイム会議についてのルール」をお読みください。

【質問】

 ルール違反者には退会勧告が出されることがあるそうですが、それに従わなか

った場合はどうなるのですか。

【回答】

 除名や会員権の一時停止などの処置がとられます。

FSHISO SYSOP tty(SDI010115)

9 97/03/14 えふしそのFAQ(前文)

 えふしそのFAQ

 FAQ(Frequently Asked Questions)とは頻繁に寄せられる質問とその答えをあ

らかじめ用意したものです。この「えふしそのFAQ」はこれまで様々な問題を解

決する中で確立されてきたルールの解釈や運営慣行、ネット生活の実践的な知恵

などを集積しました。利用者の皆様の参考になれば幸いです。

 なお初歩的なコマンドの用法や通信技術、NIFTY-Serveの仕様などについては、

過去にこのフォーラムで問題になった若干のことがらを除いて原則として省かせ

ていただきました。その種のことは、ビギナーズコーナー(go begin)でお尋ね

ください。またハード・ソフトについての専門的なご相談もそれぞれ担当のフォ

ーラム・ステーションでお願いいたします。

 全体は A:FSHISOの基本原則

     B:「えふしそのルール」をめぐって

     C:「著作権について」をめぐって

     D:運営慣行・議論の進め方etc

の4つにわけられています。「お知らせ」には、AB、CDと2分割して収録して

います。

 今後も常時改訂・補充に努める所存ですので皆様のご協力をお願いいたします。

※ なおこのFAQでは「電子会議→会議室」「リアルタイム会議→RT」

「データライブラリ→DL」という略語を使用することがあります。

                   FSHISO SYSOP tty(SDI01015)

10 97/02/23 会員への言葉(後)

 ☆★ ☆☆ ☆☆ ☆★  【FSHISO会員への言葉】  ☆★ ☆☆ ☆☆ ☆★

 ☆☆ ☆☆ ☆☆ ★☆     【後半】      ★☆ ☆☆ ☆☆ ☆☆

◇◆「前文」

 本文書は強制力を有するルールではなく

 会員各位に対する助言・注意文書です。

◇◆「承前」

◇◆ 2.「発言自己責任原則」と発言に際しての表現・言葉・態度

 本フォーラムの憲法に該当します『えふしそのルール』を参照されましたら、そ

こにおいて、FSHISOフォーラムの「発言自己責任原則」と云うものが謳われており

ます。

 「自己責任原則」とは、会議室などの公開の場で、発言を登録したりする場合に

は、発言した会員は自分の発言に対し、責任を持たねばならないと云う自明なこと

です。

 会員は自己の発言に責任を持たねばならないのですが、そのことには、当然、会

議室などに「発言する権利・義務」「一旦発言した自己の発言を削除する権利・義

務」などが含まれています。手続き的な詳細は『えふしそのルール』を参照してい

ただくとして、以下では具体的場面での、この「自己責任原則」の意味などを説明

します。

☆★ 2.1)発言は事実に基づき、論理的かつ首尾一貫したもので、対話相手

       や会議室会員に対し、誠実さを持って行ってください。

 さて、本フォーラムは思想フォーラムですので、当然、発言が議論となり、やが

て論争に発展して行くことが、しばしばあります。その際、本フォーラムにおいて

は、事実に基づかないいい加減なことを述べる発言や、論理構成が明らかにおかし

い発言や、「レス」と云って、誰かの発言に対しコメントを付ける場合、コメント

先の発言の内容意図を的確に把握しないで、独りよがりな発言をコメント付けした

りした場合、発言者には、その発言の責任が大きく問われます。

 これは何も、未熟な思想しか持たない者は発言してはならないとか、素人は黙っ

ていよと云うことではなく、事実に基づき、論理的に首尾一貫した主張を発言で行

うのが望ましいと云うことです。またレスに際しては、レスする相手に対し、言説

者としてあくまで誠実であることが望ましいと云うことです。事実に基づかないこ

とや、論理的におかしいことや、またレスする相手に対し非礼と取られるような発

言を繰り返していますと、発言の責任者である貴方の「思想探求者・言説者」とし

ての評価が下落します。信用されなくなります。

☆★ 2.2)誹謗中傷的・罵倒的・差別的な「不愉快な発言」がありますが、

       そのような発言は避け、相手が挑発する時は無視されるように。

 また、発言のなかに他者に対するいわれない誹謗中傷的な内容とか、現実世界で

は罵倒とか呼ばれているような表現や差別的な言い方のある場合、このような発言

は、相手に対し不愉快であり、また誰かへのレスでない独立した発言であったとし

ても、誹謗中傷的内容や罵倒的・差別的表現が含まれるのは、読者一般にとっても

不愉快なことです。また、言葉や表現では丁寧であったとしても、他者を馬鹿にし

ているような意図が透かし見える発言なども、レスされた者や、また他の関係読者

や、それを読む多くのROMの人たちにとっても不愉快なものです。

 なかには、意図的に、このような不愉快な内容の発言を会議室で行い、他の人を

嘲笑したり、差別語を乱発して挑発したり、または愉快犯的に、かような不愉快な

ことを延々と書き連ねてやまないと云うような方もおられるようです。しかし、そ

のような嘲笑的な発言や不愉快な発言、挑発や愉快犯の発言などは、可能なら、無

視されるのが、会員であられる貴方にとっては得策です。

☆★ 2.3)発言の自由と自己責任。中傷誹謗発言や罵倒発言とは何かについ

       ての価値観・倫理観の相違などによる共通了解の困難さ。

 本フォーラムでは、すべての発言は、会員一人一人が自己の責任において行って

いるのであり、その発言がどのようなものであっても、或る特別な場合、つまり、

『えふしそのルール』に規定されている「プライヴァシー侵害」発言及び、「日本

国の法律」や『NIFTY-Serve 会員規約』に違反することが明白な発言など以外、何

をどの会議室に発言してもよいことになっています。例えば、仮に、貴方自身が誹

謗中傷的発言や、罵倒的発言などをされても、運営者はそれについて「発言削除」

などは一切行わないことになっております。

 これは、実に、何が中傷誹謗的発言で、何が罵倒的発言か、このような判断を、

「客観的に」行うことがきわめて難しく、結局、判断の規準(criteria)は、各自

が持つ、主観的な「倫理観・価値観」であるためです。そして、本フォーラムにお

いては、様々な問題と絡み合いつつ、まさしく、その各自の「価値観・倫理観」な

どが、論議され、論争の対象となっている事実を鑑みれば、本フォーラムにおいて

は、誹謗中傷とか罵倒とか悪口雑言とかを、明確に「線引き」する規準について、

全員の意見の一致を得ることは困難であると云うことが判明します。また、思想表

現の様式の一つとして、パロディとか罵倒的表現がまた、様々な思想の歴史を見れ

ば存在する訳で、本フォーラムにおいては、かような価値観・倫理観の多様性や、

思想表現方法としての罵倒的表現なども勘案した上で、消極的にこれらを否定しな

い、即ちそのような発言であっても、「削除」対象とはしないと云うことです。

☆★ 2.4)FSHISOフォーラム運営者は、罵倒表現や誹謗中傷・差別的発言を

       決して容認し是としている訳ではありません。

 このように、誹謗中傷的発言・罵倒的発言・悪口雑言的発言・名誉毀損的発言な

どなどについて、運営の側において、「発言削除」処置を講じないと云うことは、

運営がそのようなものを肯定して認めていると云うことを意味する訳では断じてな

いと云うことを、会員であられる貴方はよく心してください。そして貴方自身につ

いては、このような種類の発言は、相手が云って来ても無視する、そして自分自身

としても基本的に行わないと云うのが、賢明な発言態度と云えます。

 貴方とは関係のない場所で、別の人がまた別の人に、かなりに酷い誹謗中傷的・

罵倒的・差別的発言などをしている場合、貴方が「止めよ」と、罵倒的発言を行っ

ている人に対し批判・抗議することは、運営側としては、大いに望ましいことでは

あります。しかし、その結果、貴方の方に罵倒的攻撃が向けられる場合、責任は貴

方にあると云うことを自覚してください。運営は、かような事態となっても、貴方

を救済も支援もいたしません。そして、これが「発言自己責任原則」の一つの具体

的な意味です。

☆★ 2.5)「バトル」と呼ばれる、特殊なネット上罵倒戦争があり、こ

       れはゲームの一種のようなものかも知れません。

 ただ、例外として、「バトル」(flame war)と 通称される、外部から見ると悪

口雑言・罵倒の言い合いのような、ネット上の個人対個人・または個人/グループ

対個人/グループの一種の「論争試合」が存在します。これを何と解釈するか、そ

れを評価する立場によって色々であり、愉快犯が罵倒を楽しんでいるのだとも云え

ますし、議論が激昂して遂に誹謗中傷・罵詈雑言・個人攻撃の域にまで達したのだ

とも云えますし、一つの様式化された「罵倒試合と云うゲームの一種」だと云う解

釈もあります。会員である貴方も、この「バトル」を試みられるのは自由ですが、

バトルの結果、引き起こされるかも知れない、貴方に関する一切のことは、言説者

としての信用失墜の可能性なども含め、貴方の自己責任原則で行うものです。

☆★ 2.6)終わりに。言説の基本的なマナーは、事実・論理・一貫性・誠

       実さです。また、よく場の雰囲気を把握して発言願います。

 再度、繰り返しとなりますが、発言においては、「事実」に基づき、「論理的」

で、「首尾一貫」し、また対話相手がいる場合、あるいは会議室の会員に対し意見

声明する場合など、相手に対し「誠実」で「真面目な」態度で行うのが基本の心が

けです。発言の実際は、様々な人の発言の仕方を参考にして、自分のスタイルや様

式・スタンスを決められることです。

 最後に、どの会議室に発言を登録されるにせよ、新入会員の自己紹介会議室とも

云える「2番会議室・フランソワ」を除いて、当該会議室では「何が」話されてい

るか、「どういう人」が発言しているのか、ある程度、把握し、「場の雰囲気」に

多少なりとも馴染んだ後で、発言するよう努めてください。

◇◆

  以上、フォーラムの会議室などで発言を行われるに際しての、基本的な事柄に

ついて説明しました。本フォーラムの基本成文法である『えふしそのルール』及び

「お知らせ」に含まれる、その他関係文書を参照され、十分に内容を了解された上

で、FSHISOフォーラム会員としての様々な活動を行ってください。

  FSHISO SYSOP WAKEI(SDI00729) 97/02/23(登録)

         FSHISO SYSOP tty(SDI01015) 97/08/01(追認)

         (文書起案・起草責任者:Miranda,BXD03020)

 ☆★ ☆☆ ☆☆ ★☆  【FSHISO会員への言葉】 ★☆ ☆☆ ☆☆ ☆★

 ☆☆ ☆☆ ☆☆ ☆★      La Fin      ☆★ ☆☆ ☆☆ ☆☆

11 97/02/23 会員への言葉(前)

 ☆★ ☆☆ ☆☆ ☆★  【FSHISO会員への言葉】  ☆★ ☆☆ ☆☆ ☆★

 ☆☆ ☆☆ ☆☆ ★☆     【前半】      ★☆ ☆☆ ☆☆ ☆☆

◇◆「前文」

 本文書は強制力を有するルールではなく

 会員各位に対する助言・注意文書です。

◇◆

  現代思想フォーラム(FSHISO)へようこそ。

  本フォーラムは、現代社会と思想についてのフォーラムで、会員相互の自由な

思想的討議などの場であると同時に、個人の意見を発表したり、他の人の発言を読

んで、啓発を受けたりと、多様な目的に利用できるフォーラムです。

  本フォーラムの会員の皆様には、本フォーラムの「憲法」とも云えます『えふ

しそのルール』を、『NIFTY-Serve 会員規約』や「日本国の諸制定法」同様に、遵

守していただくこととなっております。しかし、フォーラム憲法『えふしそのルー

ル』前文及び本文だけでは、本フォーラムに参加していただくに当たり、些か、説

明不足の感が否めませんので、ここに、『FSHISO会員への言葉』及び、『FSHISO会

員への注意』と云う、二つの文書を準備いたしました。

  これら二文書は、会員に対し強制力あるルールと云うようなものではありませ

んが、本フォーラムは「思想フォーラム」であり、些かに特殊な性格を持ちますの

で、会員の皆様には、これらの文書を熟読され、その述べている処をよくよく了解

された上で、フォーラムの諸活動に参加されますようお願いいたします。

  なお、『えふしそのルール』及び「お知らせ」に掲載されております、その他

複数の文書については、FSHISO会員はすべて、これらの文書を読み、内容了解した

上で、会員であることを了承しているものと運営者は見なしております。これらの

文書の述べている内容について、承服できない方は、本フォーラムへの参加を辞退

されますよう。入会されておられる限り、上記文書の内容に、同意しておられるも

のとなりますので、注意を願います。        (Miranda,BXD03020)◇◆

◇◆

  FSHISOフォーラム会員として、以下のことに心してください。

1.会員各自の個人情報の管理

    1.A 補遺:FSHISOフォーラムの「匿名性」の利点

2.「発言自己責任原則」と発言に際しての表現・言葉・態度

◇◆「具体的説明」

◇◆ 1.会員各自の個人情報の管理

 個人情報は非常に重要なものです。

 ここで云う「個人情報」とは、例えば、本名・住所・電話番号・職業・職場・年

齢・性別・国籍・マリタル-ステート(marital state)その他、通常「プライヴァ

シー情報」と呼ばれているものを指します。

 また以上に列挙しました「個人情報」は、迂闊に、個人的な経験談とか個人的事

情などを、公開の場(電子会議・リアルタイム会議・データライブラリ[以下、各

々を、会議室・RT・DLと略称します]乃至掲示板)で発言し、開示したりして

おりますと、情報の蓄積によって、他者に推定可能な場合が時にありえます。

 従って、会員の皆様個人に関わる一切のことは、公開の場においては、注意深く

「情報管理」をしていませんと、「プライヴァシー情報」が何時の間にか、どこの

誰とも知れない不特定多数の人に筒抜けになってしまうことがあります。

☆★ 1.1)では何故、個人情報・プライヴァシー情報を管理し、公開の場で

       それらを知られないよう努めねばならないのか。

 それは、パソコン通信 NIFTY-Serveは、原則的に、IDだけによってネットワー

クに参加できる通信世界で、非常に多数の人が、本名ではなく、いわゆる「ハンド

ル」と呼ばれる通称で、会議室などで発言し議論などを行っているからです。また

これらの人々の他に、表面には出ないで、会議室などの発言をただ読むだけで、一

般の会員には、そんな人が本当にいるのかいないのか分からないROM(リード・

オンリー・メンバー)と呼ばれる、非常に多数の人が、例えば会議室などに現実に

アクセスしているからです。

 従って、例えば貴方が、自分の本名や住所または職場などをネット上の公開の場

(会議室など)で明かしたり、また上に述べたように、そういう個人のプライヴァ

シー情報が推論で判明するようなことを、迂闊に公開しますと、どういう人が何を

するか分からないと云う「危険性」があると云うことです。

☆★ 1.2)FSHISOフォーラムは思想フォーラムとして、他のフォーラムとか

        なり異なり、「個人情報」の管理がとりわけ必要です。

 無論、このことは、一般のフォーラムにおいても云えることですが、FSHISOは、

思想フォーラムであり、時として激烈な思想的論争が展開されることがあり、そう

いう議論に巻き込まれますと、当然ながら、論敵とも云える相手を持つことになり

ます。また、そういうことでなくとも、何かの・ちょっとした発言や言葉であって

も、それに対し反感を抱いたり、また遺恨を抱くような人も(表に出ている人たち

以外に、ROMの人たちにおいても)存在する可能性があります。

 議論の論敵や、ちょっとしたことに反感・遺恨を抱く人が、誠実な人で、パソコ

ン通信上でのことと、現実の・つまりオフ世界のことをきちんと厳格に区別される

人であれば、問題はないのです。しかし、ネット上での論敵に対し、オフ世界で一

矢報いようとか、反感・遺恨から、オフ世界つまり現実世界で、誰がそれをしたか

が分からないような形で、卑劣にも、嫌がらせなどの攻撃を、会員に対し加える可

能性が存在するのです。

☆★ 1.3)ネットワークは、「仮想世界」とも云え、現実世界とは、人間

       関係なども勝手の違ったものとなります。

 考えてみれば、ネットワーク上では、相手の顔も見えず、声も聞こえず、ただ、

画面に流れる文字だけで、互いのコミュニケーションが行われている訳です。この

場合、発言する人も、現実世界ではないのだ、と云う感覚で、つい普段は云わない

ことを云ったり、また、オフ世界では見せない態度なども示してしまうことがある

訳です。

 これは、またよく知られていることですが、現実のオフ世界で示す人格と、ネッ

トワーク上で示す人格が余りに食い違うので、別人ではないかとも思える人が現実

に存在します。こういう事態を広く表す言葉として、「ネット人格」と云う言葉が

あります。パソコン通信で話し合った「立派な人」が、現実世界では、とんでもな

い「悪意ある非常識人」だったと云う例は多くあり、その反対の例も、多数ありま

す。こう云ったことも、よく承知しておいてください。

☆★ 1.4)「仮想世界」であるネット世界と、現実世界をきちんと区別して

       いない場合、危険なことがありえます。

 通信で築いた・得た関係が、あくまでネットの上だけのこととして、始まり終わ

れば、「危険性」もない訳です。しかし、オフ世界での、貴方の実体を示すような

プライヴァシー情報を、迂闊にネット上で公開してしまいますと、上述のように、

ネット世界とオフ世界のあいだで区別を付けない人などが、どのような卑劣な攻撃

や嫌がらせを、オフ世界つまり現実世界での生活者である貴方に加えて来るか知れ

ないと云う危険性があります。

 個人体験や個人事情などを話すことにより、会議室などでの発言に、より生き生

きした背景が構成され、内容に重層性などが出て来て、有意味なコミュニケーショ

ンが出来ると云うような利点もありますが、逆に、プライヴァシー情報が公開され

ることになり、それによって、貴方がどこの誰かと云うことまで判明してしまう可

能性もあります。

☆★ 1.5)「個人情報」の管理は、単に、貴方一人の情報だけではなく、友

       人・関係者の個人情報にも配慮せねばなりません。

 また、貴方だけではなく、時には、貴方が話のなかで言及した貴方の友人・知人

や、貴方と縁のない人のプライヴァシーまで、結果的に公開してしまうことがあり

ます。これは大きな責任がかかる事態であり、それ故、ただ自分のプライヴァシー

を守ると云う観点だけではなく、自分に関係する人々のプライヴァシーも守ると云

うことを考え、発言などは慎重に行ってください。

 貴方が、貴方のプライヴァシーを、自分の不注意で公開してしまうことは、貴方

の問題ですが、他人のプライヴァシーを、縱令善意のつもりであろうと公開するこ

とは、重大な事態であり、場合によっては、「発言削除」「会員削除」などの制裁

処置もありえますので、くれぐれも注意してください。

☆★ 1.6)FSHISOでは、匿名ハンドルを推奨しております。実名ハンドルを

       使わねばならない義務は、まったくありません。

 様々な会員のなかには、実名公開と云う人もおりますが、この NIFTY-Serveにお

いては、IDが実名に当たるものでして、IDやハンドル以外、何も明らかにする

義務を皆様は負っておりません。フォーラムによっては、「実名登録制」を取って

いる処もありますが、本FSHISOフォーラムでは、会員に「完全匿名性=ハンドルと

IDのみでの公開の場への参加システム」を、以上述べたような理由から採択して

おり、皆様に、推奨しております。

☆★ 1.7)IDは新しいものを入手でき、ハンドルも簡単に変更できますが、

       個人情報の変更は非常に難しいです。

 フォーラムの人々に好感を持たれたいとか、対話相手を印象付けようとか、オフ

世界の気分で、自己紹介などをして、個人情報をあまりに公開し過ぎてしまいます

と、取り返しのつかないことになります。IDは、必要な場合、新しいものを数千

円程度のお金で、 NIFTY-Serve社から入手でき、ハンドルも「オプション」機能を

使うと、簡単に変更できますが、「本名・住所・職業」などなどの「本当に重要な

個人情報」は、一旦、公開の場で知られてしまいますと、これらを変更すると云う

のは非常に難しく、経済的負担なども底が知れません。

  それ故に、個人情報の管理と云うものは、非常に重要なことです。

  運営者も、一旦、公開されてしまったものを旧に復することはできません。

◇◆ 1.A 補遺:FSHISOフォーラムの「匿名性」の利点

 上にFSHISOフォーラムは「匿名性フォーラム」であると述べましたが、このこ

とには実は大きな利点があります。

 すなわち、本フォーラムは「思想について論じ語る」フォーラムであるのです

が、「思想」においては、重要なことは「どこの誰が云っているか」ではなく、

「何についてどう云っているか」の方が、当然、意味がある訳です。

 本フォーラムには、明らかに思想のプロと云える、大学や、また在野の研究家

・専門家の方々も会員として参加されておられるようで、その一方で、一般の大

都市/地方ビジネスパーソンの方や、また家庭に住む人々、学生を含む様々な職

業の人などなども参加されておられるようです。本フォーラムは、実に、参加者

の社会的地位や・身分・職業・年齢・性別・門地・学歴・国籍・思想的立場等々

に関係なく、「匿名ハンドル」において、対等に思想を語り論じ合うことのでき

る場であると云うことです。

◇◆【後半】に続きます

 ☆★ ☆☆ ☆☆ ★☆  【FSHISO会員への言葉】 ★☆ ☆☆ ☆☆ ☆★

 ☆☆ ☆☆ ☆☆ ☆★              ☆★ ☆☆ ☆☆ ☆☆

12 97/02/23 会員への注意

 ☆☆ ☆☆ ☆☆ ★☆              ★☆ ☆☆ ☆☆ ☆☆

 ☆★ ☆☆ ☆☆ ☆★  【FSHISO会員への注意】  ☆★ ☆☆ ☆☆ ☆★

◇◆「前文」

 本文書は強制力を有するルールではなく

 会員各位に対する助言・注意文書です。

◇◆

  FSHISO会員の皆様

  本FSHISO(現代社会と思想)フォーラムは、思想フォーラムとして、「言論と

思想の自由な表現」の保証を根本の理念として立てております。

  この理想・理念を立てている結果として、本フォーラムでは、NIFTY-Serve で

の他フォーラムでは、しばしば存在します、会員に対する運営側からの様々な干渉

や制限が、ほとんど存在しておりません。

  ただ、その代わりにとでも云いますか、ある意味で「不愉快な」事態や、会員

の皆様の感覚にとって、「非常識ではないか」などとも思える事態が存在しており

ます。以下の文章は、どういうネガティヴな事態があり得るのか、皆様に予めにお

伝えし、こういった事態の存在を承知された上で、皆様が、会員として、本フォー

ラムに参加されますよう、ここに記すものでございます。

  皆様、「自由」を守ろうとする時、それには対価が必要であると云うことを思

い起こしつつ、以下の説明・注意・警告を読まれ、趣旨を了解された上でフォーラ

ムに参加するようお願いいたします。「自由は、自らの努力で手に入れるもので、

不愉快な事にも耐えねば手には入らない」と云うことを、考えてください。

                         (Miranda,BXD03020)◇◆

◇◆

  FSHISO会員として、以下の場合に出会う事態について注意を述べます。

1.会議室での発言を読んだり、過去ログを読んだりする場合

    2.自分の発言に対し他者のレスが来た場合

3.問題のフォーラム外への持ち出し

    4.提訴するなどと云う主張が行われた場合

◇◆「具体的説明」

☆★ 注意1)会議室での発言を読んだり、過去ログを読んだりする場合

 本フォーラムは、「ローカル・ルール前文」に記していますように、「自由な言

説・思想の討議の場」を会員に提供することを、その最大目的としております。そ

れ故、「誹謗中傷的言説」「罵倒的言説」「侮辱的言説」「差別的言説」や、その

他、一般の方が読まれると、あるいは不愉快さを感じるような、刺激的な言葉や表

現・文章なども、ローカル・ルールの精神において「許容」しております。

 こういう次第で、会議室発言や過去ログなどを読んでおります際、上述のような

「不愉快な・刺激的な・差別的な」言説などに出会う可能性があります。また可能

性だけではなく、かような事態が、実際に起こり得ます。それ故、予めに、このよ

うな罵倒・誹謗中傷・刺激的文章・差別的発言が、会議室ログや、進行中の会議室

での議論などで存在し得ることを、会員の皆様は、よく承知しておいてください。

 そして、運営がやむを得ず「許容」しております、上述のごとき言説・文章・表

現が、あまりに不愉快で、我慢できないと思われる場合は、各位は、本フォーラム

へのアクセスを差し控え、またはFSHISOを退会されますようお願いいたします。

☆★ 注意2)自分の発言に対し他者のレスが来た場合

 上の注意1)でも述べましたが、このフォーラムでは、誹謗中傷や罵倒や悪口雑

言の類としか思えないような酷い言説が現実に存在しております。

 フォーラム運営陣は、このようなものに、「賛同している訳では断じてありませ

ん」が、フォーラムが掲げております上述の「思想・言説表現の自由」と云う理念

の実現のためにも、罵倒とか誹謗中傷と云った、具体的に定義し「線引き」するこ

とがきわめて難しいものにつきましては、これを「一律排除しない」と云う方針を

維持しているのであって、かような刺激的表現や文章を、決して「良し」としてい

る訳ではございません。

 そこで、このフォーラムにおいて、会議室への発言登録などの具体的行為を貴方

が行われる場合、その発言に対し、野次罵倒的・誹謗中傷的・侮辱的レスなどが行

われる危険性が現実に存在しています。こういうレスが付けられるのは、当事者に

とって、たいへん不愉快なこととは思います。しかし、フォーラム運営者は上述の

通り、このようなレスをも排除いたしません。

 会員である貴方が、仮に発言を行うとしますと、そこから、かような不愉快なレ

スが付いたり、もっと困った色々な問題に、貴方が逢着したりする可能性が現実に

あり得る云うことを、十分に了解・納得された上で、会議室発言などを行ってくだ

さい。「言説・思想の自由」を保障し、互いにこの原則を維持すると云うのは、た

いへん難しいことであり、そのためには色々な、困難や不愉快な事態をも、敢えて

覚悟せねばならないと云うことを、会員である貴方にはよくよく了解願います。

 不愉快なレスなどについては、「ローカル・ルール」で、「反論権」が一応保障

されてはいますが、「言説・思想の表現の自由」原則の維持において、「反論権」

行使だけで、かような不愉快なレスなどに完全には対処できません。そのことをよ

く理解され、発言をなさいますよう。

 自分の意志で発言して、そこから生じる、例えば不愉快なレスなどは、発言者で

ある貴方自身が「責任」を持って引き受けねばならないことで、フォーラム運営陣

及び NIFTY-Serve社は、責任を負わないと云うことを、予めに承知しておいてくだ

さい(このような「原則」を、本フォーラムでは「発言自己責任原則」とも呼んで

おります)。

 補遺:「プライヴァシー侵害」発言だけは、例外であり、本フォーラムでは、運

営がそれに対し、直ちに対処し、基本的に「SYSOP削除」などを実行します。

☆★ 注意3)問題のフォーラム外への持ち出し

 本フォーラムでは、上述の通り、「言説・思想表現の自由の維持」を最大の理念

として立てております。議論ないし発言はすべて、フォーラムの電子会議・リアル

タイム会議・データライブラリ(以下、各々を会議室・RT・DLと呼びます)及

び掲示板で行われます。

 これらの議論や発言などなどの過程において、上に述べたような誹謗中傷的・侮

辱的・罵倒的・差別的言説やレスや、明らかに悪質な個人攻撃とも思えるような事

態に逢着する可能性もあることは、上の注意2)で述べた通りです。このような色

々なことが、本フォーラムにおいては発生し得ます。しかし、フォーラムの会議室

などでの議論や発言はすべて「言論」です。従って、このフォーラムでは、『言論

に対しては言論で応じるべし』との「原則」もまた、ここに明言して宣言いたしま

すが、立てられております。

 それ故、フォーラム内部での言説などを通じて行われた交渉・議論・名誉毀損的

発言・個人攻撃・団体罵倒・差別発言・その他色々なネガティヴとも思える発言を

通じて、誰かが、「不道徳な事柄・反倫理的な事柄」乃至「法律に反しているよう

に思える事柄」を行っているように、会員の皆様が感じられたとしても、もし、か

ような「問題」をNIFTY-Serve内の他のフォーラムや、NIFTY-Serveの外に持ち出し

て・論じようとなされる場合は、フォーラム運営者の許可を得た上でそのような行

為を行ってください。

 (許可されない場合があることも、予め了承しておいてください)。

 また、本フォーラム外への問題持ち出しとは別に、発言などが「日本国の法律」

などに違反していると会員が判断された場合にも、まずフォーラム運営者に相談を

願います。フォーラム内で言論によって発生した事態は、その言論が日本国の法律

に違反しているように思えた場合にも、あくまで、フォーラム内において、「言論

によって」解決や決着を図ると云うのが、本フォーラムの基本原則です(これはま

た、実は、NIFTY-Serveの原則でもあります。『フォーラム自治』がNIFTY-Serveに

おいては原則となっています)。

 ただし、個人情報を、自己の意志で開示した結果として、会議室での論敵などに

よって、オフの・つまり「実世界」にあって、暴行・脅迫・嫌がらせなどの被害を

受けたなどと云うのは、無論、フォーラムとしてかような暴行・脅迫・嫌がらせな

どを行った人物は、IDが判明次第、「会員削除」処分にしますが、この事態の責

任は、まず個人情報を開示してしまった「本人にある」と云うことを、予めに承知

願います。「個人情報の管理の重要性」を、よくよく自覚してください。

☆★ 注意4)提訴するなどと云う主張が行われた場合

 別文書である『FSHISO会員への言葉』や、上記の注意3)でも述べましたが、色

々な価値観や倫理観、また法律意識を持った人が、このFSHISOフォーラムに入会し

ている訳です。

 そのため、議論や発言を通じて、色々な摩擦が生じ、その結果として、罵倒・名

誉毀損発言非難・誹謗中傷批判などから始まって、何が正しく・何が間違っている

のか、誰が法律違反を犯していて、その違反した法律とは何か等々。そのような、

非常にきな臭い方向に話が進んで行き、或る人が、別の単数または複数の人、また

はフォーラムの最高責任者であるSYSOPや、スタッフ、更には、NIFTY-Serve社を相

手として「提訴・告訴」すると云うような、主張が行われることがありえます。

 このような、特定の対象・人物に対する「提訴する」などと云う発言、または外

部の「何かの権威」に訴えるなどと云うがごとき主張は、公開の場でそれが行われ

ると、本フォーラムの基本理念である「言論・思想・表現の自由」に対する脅威と

なりえます。

 それ故、そのような言説を、もしどなたかが行った場合は、運営者の側より、か

ような発言の「真意」を確認させていただくことになります。そして、そのような

発言、これを「提訴恫喝発言」とでも呼べばよいと思いますが、かようなことの主

張者に対し、『言論に対しては言論で応じる』と云う、このフォーラムの「原則」

を守っていただいて、そのような問題を外部に流出させ、「言論以外の方法」で決

着を付けようとする意図表明について、調停を試み、会議室等の場で、言論によっ

て「問題」を解決していただくべく説得いたします。

◇◆

 このような「提訴恫喝」の対象者に、どういう人・会員がなりえるのか、実は、

見当も付きません。公開の場で発言を一切しないROMである場合には、このよう

な恫喝は発生しないとも云えますが、「提訴すると云う恫喝」は、そのような主張

を行う人の「価値観・倫理観・法律意識」に基づいている訳で、これはまことに各

人各様であり、どのような人が、どのような主張を行うか、フォーラム運営者とし

ても、まったく予想がつきません。

 提訴主張によって恫喝される立場に会員がなった場合、または、もはや恫喝では

なく、以下のように現実に提訴が行われ、それが受理され、何かの裁判の被告とな

ってしまった会員につきましては、その「提訴主張」または「受理され成立した提

訴」の「内容」に、あくまで依りますが、時によっては、自己の迂闊な・不明な発

言などが、まさに提訴恫喝や提訴を招来させた可能性があるのです。

 この場合、やはり「発言の自己責任原則」を当該会員は担うと云うことになりま

す。FSHISOフォーラムで発言等を行うと云うことは、時として、訴訟の被告人にも

なる可能性があると云うことを、意味します。会員の皆様を脅す訳ではありません

が、発言は相手を考え、よくよく注意を怠らないでください。

◇◆

 運営者は「言論による話し合いの決着」を望みますが、提訴を、いかんせん望む

方は、「訴訟」は「権利」でありますから、もし「本気で提訴する意志があられる

場合」は、直ちに自己の権利を行使して、提訴を実行してください。

 ただし、運営は「ローカル・ルール」に従って説得を行いますから、提訴が現実

に行われた場合、または、提訴恫喝発言が反復して行われた場合、これは「えふし

そのルール」違反となっている可能性が、非常に高く、「会員削除」の可能性が、

かような恫喝者・提訴者に対してはありえるとは承知しておいてください。

◇◆

 悪質なのは、提訴成立の見込みもないままに、提訴するなどと称して、「恫喝発

言」を会議室で繰り返したり、恫喝しつつ材料を集めて判断するなどの行為です。

これらは、実に卑劣この上もなく、「言論・思想・表現の自由」原則に対し、正面

から敵対・挑戦する者の所行としか解釈できません。そして、そのような者のため

に、FSHISOフォーラムの「言論・思想・表現の自由」理念を、私たちは立て、守ろ

うとしている訳ではないと云うことを、此処に明言いたします。

  FSHISO SYSOP WAKEI(SDI00729) 97/02/23(登録)

         FSHISO SYSOP tty(SDI01015) 97/08/01(追認)

         (文書起案・起草責任者:Miranda,BXD03020)

 ☆★ ☆☆ ☆☆ ☆★  【FSHISO会員への注意】  ☆★ ☆☆ ☆☆ ☆★

 ☆☆ ☆☆ ☆☆ ★☆      La Fin     ★☆ ☆☆ ☆☆ ☆☆

13 97/02/23 議論のための心得

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

FSHISO 議論のための心得

 1. 個人情報は各自で管理をお願いします。  

  2. 発言は「自己責任原則」で。

 3. 「刺戟的な言葉遣い」にはお互いに注意しましょう。

 この「心得」は、現代思想フォーラム(FSHISO)における議論(対話や意見交換

を含む)を円滑に行なうために設けたものです。ネットワークにおける議論は、そ

の特性から、通常の議論とは若干異質な「注意」が必要です。それを心得た上で議

論されるならば、その議論は非常に意義深いものとなるでしょう。われわれはそれ

を願ってやみません。「心得」をここに定める所以です。

【説明】

 思想は、既成のさまざまな価値観や常識を根源から問いなおすことがその生命

です。また、文体や表現もまた「思想」の重要な要素です。ですから、思想を巡

る議論は、表現上の「タブー」や言論に対する規制とはもともと相容れない性格

を持っています。

 けれどもまたネットワークでは、ちょっとした注意や認識が足りないばかりに、

議論が紛糾したり錯綜したり、議論の中身以外のことに思わぬエネルギーを費や

すような事態を招くことも少なくありません。これらを避けるためには、それな

りの配慮が必要とされます。

 この「心得」は、これまで FSHISO が経験した事例を参考に、クォリティの高

い議論ができるよう、会員の皆様に配慮をお願いするものです。

 1.個人情報について

 個人情報は各自の責任でしっかりと管理をお願いします。

 フォーラムは誰もが出入り可能な場です。うっかりプライバシーを公開の場で明

かしてしまうことは、大変危険なこととご承知下さい。

 「生きる場の思想」とでもいうべき課題が論じられることがあります。自分や知

人・友人の経験が子細に語られ、様々な発見があったり、具体的な悩みの解決が模

索されたりします。しかし、こういった議論には「覚悟」が必要です。個人情報に

関する脅迫的な言葉と繋がったり、予想外の第三者が、個人の経験をあげつらった

りすることが起こり得るからです。ある人の情報を書き込んでしまったことが、そ

の人の迷惑になることもあります。

 公開の場で発言するということは、その発言が意図とは別の形で受け取られ、流

れ、利用される可能性をも引き受けるということに他なりません。「覚悟」が求め

られる所以です。

 SYSOP宛メールを送る場合も、それが私信ではなく運営グループという機関への文

書だということに留意し、自己が管理すべき個人情報等に言及することのないよう

にして下さい。他人のプライバシーなどは勿論言及すべきではありません。

 繰り返しますが、個人情報の管理については細心の注意を払うようにしてください。

一旦漏れてしまった情報については、対応のしようが殆どありません。

 悪質なプライバシー暴露発言は、ネットでは最低・最悪の行為です。これは運営

として断固削除致します。

 しかし、このことは銘記して頂きたいものです。安易に個人情報を公開したり漏

したりすることは、ある意味では無責任な行為なのだということです。

 FSHISOでは、個人情報を全く明かすことなく、かつハンドルネームで参加できる

ようになっています。これは所謂広義の「匿名」での発言が可能だということです。

われわれは思想のフォーラムとして、これに積極的な意義を認めています。

 「匿名」は発言についての無責任に必ずしも結びつきません。ことに思想のフォー

ラムであるFSHISOの議論は、「どこの誰の発言であるか?」ではなく「いかなる発

言であるか?」が重視されますから、発言の「責任」とは、内容のある発言をする

ことにより果されるものとして厳しく問われざるを得ません。言い換えれば、「匿

名」であるからこそ、有名な学者であろうと無名の会社員であろうと、FSHISOでは

一発言者として対等で自由な議論ができるのであり、それ故にこそ内容についての

責任が強く問われるのです。

 議論内容を離れて、発言者の性別・門地・社会的身分等々を畏れたり侮ったりす

る態度は、思想と最も遠いものであると言わざるを得ません。実生活で何者であろ

うと、FSHISOでの議論には関係がないのです。

 2.「自己責任原則」について。

 FSHISOでは、発言について「自己責任原則」を採用しています。発言を登録する

のも、削除するのも、全て発言者自身の責任において行なって下さい。

 コメントの付いた発言については自己削除が不可能ですが、自己削除の希望が表

明され次第、運営は削除可能な状態にすることが定められています(詳しくは「え

ふしそのルール」を参照して下さい)。

 原則として、「えふしそのルール」に明記されている場合以外は、運営としては

発言削除を致しません。

 「誹謗中傷」と思われる発言については、できる限り会議室上で、抗議・反論を

しましょう。FSHISOでは、反論権の行使が完全に保証されていますから、存分に当

該発言の愚昧さや無意味さを明らかにすることができます。発言者による自己削除

に追い込むことも十分可能です。

 削除要求は、止むを得ない場合はSYSOP宛メールでも受け付けますが、会議室で

の抗議・反論が最上の効果をもたらすことは言うまでもありません。

 又、自分が当事者でなくとも、明らかに不当で議論の場を破壊するような行為に

対しては、毅然と抗議・反論することが求められるでしょう。議論の場がわれわれ

自身の手によって守られないとしたら、そのような場での議論そのものに如何な

る意義があるでしょうか?「沈黙の共犯」ではなく、「反論する知性」であって頂

きたいのです。

 抗議・反論が正当なものであり、「誹謗中傷」がいわれのないものであることが

明らかなら、発言者が自己削除せずとも、発言者自身のIDの信用度が格段に下が

りますし、当該発言も何等の影響力を持たないでしょう。又、発言者自身が非を認

め、潔く自己削除するなら、発言者は自己の信用度の低下を最小に止められること

になります。とはいえ、自己削除を繰り返せば、やはり信用度は低下するでしょう。

これは、問題の有る発言に限らず、やたらと自分の書いたものを削除する行為にも

当てはまります。

 「自己責任原則」とは、発言すること、削除すること、共に自らの信用に大きく

関わることを自覚することでもあるのです。

 3.言葉遣いについて

 フォーラムは言葉だけで成り立っている世界です。参加者は全て言葉で自ら表現

する以外にありません。議論を重ねていくうちに、ともすると刺戟的な言葉を使い

たくなることもあるでしょう。罵倒や、激しい言葉での非難も生じてきます。

 FSHISOでは、「刺戟的な言葉遣い」一般を否定していません。しかし、言う側に

も、言われた側にも、そのようなときには特に注意深さが求められます。

 罵倒や刺戟的な言葉遣いをする側は、その「効果」を十分に考えるべきでしょう。

議論そのものの深化や方向付けを阻害しないか、相手だけではなく、自分たちの議

論を読んでいる多くのひとたちの共感は得られるか、「誹謗中傷」として自己削除

へと追い込まれないか、等々、普段発言するときの何倍もの注意が必要なのです。

 特に注意を要するのは、個人属性への言及です。個人の職業、性別、社会的地位、

エスニシティー、等々への言及は、書いた人間にはプライバシーの暴露・攻撃や差

別という意識はなくとも、書かれた人間にとってはそのように受けとられることが

あります。このような事項に言及する場合には慎重な配慮が必要です。

 刺戟的な言葉での批判や罵倒をされた側は、つい感情的になってしまいがちです。

そして、より激しい言葉で応酬したり、議論を一方的に打ち切ってしまったりする

場合があります。相手が明らかに悪意のみの場合は、無理もないところです。しか

し、ここで注意深く対応すれば、自己の品位を保つことができるのみならず、自説

の説得力が増すことにもなるでしょう。

 不必要な罵倒的表現や、必要な論点をめぐる意見表明を回避して罵倒的表現に逃

げるような書きぶりがもたらすのは、軽蔑のみです。このことを、むしろ対応する

側が十分に認識しておくことが、「有効な対応」繋がります。完全に黙殺し、冷た

い無視の中で相手の愚昧さや品位の無さを「晒しもの」にするというのも「有効な

対応」たり得ますし、議論の中での挑発或いは罠の場合、挑発に乗ったふりをして

『バトル』に持ち込み、自らの言説によって相手を完膚なきまで叩きのめすのもい

いでしょう。

 いずれにせよ、罵倒や刺戟的な言葉遣いは、両刃の剣です。それらに「使われる」

のではなく、使いこなすには、十分な注意が必要なのです。

 以上の3項目の「心得」に留意され、よい議論をされますよう。

  FSHISO SYSOP WAKEI(SDI00729) 97/02/23(登録)

         FSHISO SYSOP tty(SDI01015) 97/08/01(追認)

(文責 GCH01430 醒火)

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

14 97/02/23 議論のための文書掲載について

  「討論の参考とするための文書の掲載について」

 現代思想フォーラム(FSHISO)は、さまざまな立場の人が集まって議論をするため

の「場」です。参加している人の中には、専門家から、素人まで、いろいろな職業、

年齢、地域の方々がいます。

 考え方や立場、そして、議論に関する感じ方まで、多様です。

 日本では徹底した議論は避けられる傾向が強く、多くの人は、FSHISOで行われてい

るような議論に違和感を感じているのも事実です。些細なことから、罵倒や中傷にな

ってしまうこともあります。

 FSHISOでは、最大限、発言の自由を確保し、運営が表現スタイルなどを統制しない

ようにしていますが、まだ議論になれていない人や、FSHISOのスタイルを理解してい

ないまま、罵倒されたり、不快な思いをすることがあり、そうしたことをできるだけ

無くすために、拘束力のない指針のようなものが必要ではないか、という意見もあり

ます。

 そのために、会員が自由に参加する議論の中から、いくかつの「心得」や「注意」

が提案されました。

 これらは、あくまでも拘束力のない指針で、原則は自己責任による自由な発言を保

障することですから、ひとつの指針として「統一」はせず、文責を付して、すべて、

「お知らせ」に掲載することにしました。

 運営会議室での討議を経て、内容を吟味し、sysopが、「お知らせ」に掲載するこ

とを承認した文書です。

 これらの文書を参考にし、よく消化して、自分なりの議論スタイルを形成されるよ

う希望します。

  FSHISO SYSOP WAKEI(SDI00729) 97/02/23(登録)

         FSHISO SYSOP tty(SDI01015) 97/08/01(追認)

15 95/03/17 著作権について

 ●著作権について

 

  著作権については次の点に留意してください。

  ○音楽データの転載・引用はできません。

  ○新聞や雑誌などの他の出版物や他者のファイルからの引用に際しては、次

 の基準に配慮してください。

   (1)著作物の引用が必要であること

  (2)自分の文章と引用の文章の「主」と「従」の関係が明確であること

  (3)引用元の著者、書名、発行所などが明示されていること

  ○書いた人の権利について

 FSHISOに著作物を公表した人はそれにより著作権を取得することになります。

著作者はFSHISOに書込むことによっていかなる権利の制限も受けません。著作

者は自分の原稿を自分の判断により、雑誌原稿として利用したり、書込みを他

のネットに再掲載したりすることができます。(プログラム、データ、画像等

も同様です)

  ○会議室のLOGのデータライブラリーへの登録

 会議室にアップされたファイルは、会議室終了後にデータライブラリーに登

録いたします。これは実質的に会議室の著作物の複製にあたりますが、その度

 に著作権者すべてに許可を得ることはいたしません。この点、ご了解の上、会

 議室へのご参加をお願いいたします。

  (参考)著作権法32条1項

 公表された著作物は、引用して利用することができる。この場合において、

その引用は、公正な慣行に合致するものであり、かつ、報道、批評、研究その

他の引用の目的上正当な範囲内で行なわれるものでなければならない。

16 94/06/22 参考資料:旧えふしそのルール

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

「えふしそのルール」

(前文)

 現代思想フォーラム(FSHISO)は、会議室での議論・発言について、考え方は勿論、

発言のスタイルについても、予め規制することは致しません。

 自由に発言し、議論し、そしてその責任を個々の会員が自己責任として担う、この

原則を我々は何よりも大事なことと考えているからです。

 かつて、FSHISOでも、会議室での議論から争いになり、その争いがフォーラム運営

問題・ニフティの規約問題となりついには法律問題にまで「展開」してしまったこと

があります。この経験から我々が学んだのは、自己責任原則・論争の「当事者原則」

を徹底させること、これでした。

 ニフティのフォーラムでは、一般に発言の削除はSYSOPが行なっています。また、コ

メントの付いた発言は発言者の自己削除が不可能な仕様になっているため、その発言

を巡って争いが生じたときなどは特に、本来の争いが削除を巡る運営問題へとたやす

く変質してしまい、当事者はカヤの外に置かれがちです。これが争いをフォーラムの

外部へと「流出」させる契機となるのは見易いところです。

 発言の登録や掲載の継続については、現行のニフティの仕様で十分に自由であり、

また責任も発言者のID併記により明確になっていますが、削除については十分に自

己責任を保証し「当事者」原則を貫く仕様になっておりません。

 これを解消し、発言に関する責任と権利を完全に発言者本人へと明確に付与するル

ールが必要だと、我々は考え、ここに「えふしそのルール」を制定しました。

 この「ルール」は全てのFSHISO会員が同意し遵守を約するものです。

<ルール本文>

A 会議室に発言すること、また、掲載を継続すること、削除することは、会員の

権利である。その発言によって生じる事態に対しては、発言者自身が責任を負う。

A-1.

 コメントがついた自分の発言を削除したい場合、発言者は、発言番号を明示して、

削除したい旨を会議室で表明する。その際、理由を記すことが望ましい。

 SYSOPは、その理由のいかんに拘らず、ただちにコメント・リンクを外す。

B ある発言内容について、自分に不利益になると考える会員は、原則として、会

議室で直接、発言者に向けて、抗議の意思を表明すること。

 B-1.

会議室での、発言者に向けての抗議・削除要求は、当然の反論権の行使であって、

これは完全に保証される。

 B-2.

会議室で表明があった場合、SYSOPはその理由のいかんにかかわらずコメント・リン

クをはずして当の発言を「削除可」とし、削除を発言者の手に委ねる。

 

 B-3

上記の抗議・削除要求は、止むを得ない場合はSYSOP宛てメールでも受け付けるも

のとする。SYSOP宛てメールでの抗議・削除要求に対しては、SYSOP及び運営陣は、直

ちにコメント・リンクを外すこととあわせて、抗議者・要求者に、会議室で論議する

ように説得するとともに、会議室に報告し議論を喚起することとする。

C SYSOPによる発言削除は、以下の場合に行う。

 C-1.

 ある発言が、プライバシーの侵害であり、発言削除が緊急に必要であると判断さ

れるとき。

この場合、SYSOPは会議室に報告するものとする。

 C-2.

 FSHISOの会員ではない

トマサ・サリノグ、日本兵に幽閉されて。

〔ビデオ証言(英語によるナレーションつき)〕

トマサ・サリノグ証人

 私はトマサ・サリノグです。一九二八年一二月八日アンティケ州パンダンに生まれました。一九四二年、日本軍が上陸したとき、父と私は、サンレミギオ山に避難しました。当時の知事、アルベルト・ヴィラヴェルトは避難した人々に家に戻るよう呼びかけました。夜になって、日本の偵察隊がキャンプに戻ってきました。キャンプはイシハラ〔石原産業倉庫〕にあり、そこへ四人の日本兵がやってきました。父と私はもう眠っていました。日本兵が呼びますと、父はこういいました。「気にするな、返事をしてはならない。静かにしているのだ。もう遅いから、彼らはしばらく立ち去らないだろう」。私たちはまた寝ようとしましたが、眠らずに耳を澄ませていました。日本兵は怒って扉をたたきました。扉は破られ、父は立ち上がって戸口へ行きました。私も立っていました。一人の日本兵が入ってきて私の腕をつかみ、言いました。「子供か、いっしょにこい。おまえはわれわれとくるんだ」。父は、「一緒に行ってはならない、もう夜も遅い、行ってどうするのだ」、といいました。日本兵は父の言葉を耳にすると、走ってきて刀で父を打ちました。父は倒れ、私はかけよって父を抱きおこしました。父がまだ生きていると思ったのです。他の兵士たちもやって来ました。私を蹴りました。私は立ち上がりました。彼らは私を連れだし階段のほうへ行きました。私は引きずられながら父のほうを見ていました。その時父の頭が体から切り碓*1されているのを見たのです。私は父から目を離すことができませんでした。私は泣きじやくりました。

 彼らは私を大きな家に連れて行きました。「子供、泣くんじやないよ」と日本兵は言いました。私は小柄でしたが、ぽっちやりしていました。その時一三歳でした。父は私に良くしてくれたのです。兵士は私の体を持ち上げて床に落としました。起きあがろうとしましたができませんでした。まるでピンで留められたようでした。抵抗しようとしましたが、彼は固いもので頭を殴りました。ここが殴られたところです。そうして彼らは部屋から出て行きました。

 彼らはまたやってくると、水を持ってきて、私の体を洗いました。その晩私はレイプされました。その兵士はまた戻ってきて、私にこういいました。「私はおまえの父を知っている。私とおまえの父親は友達なのだ」。「友達なら、なぜ殺したのか」と私は尋ねました。すると、「おまえをよこすように言ったとき、おまえの父は言うことをきかなかった。それで頭にきた」。だから男は腹を立てたのだというのです。

 私はそこに一年いました。ときには二人、あるいは三人の男にレイプされました。四人のことさえありました。彼らはかわるがわる私をレイプしました。いったいどうしてこんなふうにレイプされるのに耐えられるでしょう。ただ泣くだけでした。

 しかし私は彼らから逃げることができたのです。日本兵たちは山で活動して帰ってくると、酒をたくさん飲みました。酒を飲んで遅くまで起きていました。そのため翌朝大慌てで、鍵を置いて行きました。私はその鍵でドアを開け、調理場に衛兵がいないかどうか急いで確かめました。逃げるなら今だと決心しました。毎晩兵隊たちが部屋にやってきて、つらい目にあわされたことを思いました。鍵をつかみ、衣類の入った箱を持って下へ降りました。家の外に見張りはおらず、私は塀の外に出ました。精一杯走りました。とても怖かった。私はある老夫婦に助けを求めました。「おじいさん、私をここにおいてください、水も運びますし、薪も集めますから」と。

泣きながら頼みました。その老夫婦は行くところのない私を哀れに思い、受け入れてくれました。

 三日後、オクムラがイロイロからから車で来ました。私を見ると、車をとめ、老夫婦に、水汲みをしている若い女をよこすように求めました。「女はどこだ、かくまうと、おまえたち二人とも首を切るぞ」、といいました。彼らは怖くなって、私を引き渡しました。

 私は泣きながらこの将校に連れられていきました。すると彼は、「怖がるな、私はいい男だ。私のために働いてくれれば、お金を払おう。床を掃き、私のものを洗濯し、干すのだ、いいな」、こういいました。私は承諾しました。オクムラとの暮らしは楽でした。というのも彼は一週間に一度、ときには二週間に一度戻るだけだったからです。ほとんど彼はイロイロにいました。戻ってくると、私をレイプし、彼の友達も私をレイプしました。

 一九四四年から四五年にかけて、私はオクムラのもとにおり、一九四五年にアメリカが上陸しました。オクムラと一緒だったのは、半年ほどでした。その後、私は家に帰りましたが、私の家は壊されていたので、テイタ・アタロを訪ね、彼女のもとにいました。受けた傷は深く、とても耐えられないと思いましたが、私は生き抜くために、耐えなければなりませんでした。結婚は一度もしませんでした。あらゆる求婚を断ってきました。結婚したくありません。もし結婚すればあらゆることが再び起きるような気がするのです。もし夫が私を傷つけたら、私はどうしたらよいのでしょう。誰が守ってくれるでしょう。誰のものへ行けばよいのでしょう。誰が面倒を見てくれるでしょう。私は、日本兵の使い古し、といわれるのです。

 わたしは正義を求めます。私は正義を求めます。

p132-134『女性国際戦犯法廷の全記録・ 第5巻 日本軍性奴隷制を裁く-2000年女性国際戦犯法廷の記録』isbn:4846102068 より

*1:noharraがテキスト化したときに誤字を作っているようだ。いま本が手元にないので確認できません。

中道右派 『それでは、まず、永井和論文の構成を示し、次に、それに対してどのように反論していくかと言う構成を示し、最後に、その構成の各項目をなす具体的反論を行います。

最後の段階はまだ途中ですが、それ以前まではできる限り示しましょう。

ただし、あなたの上記回答及び最後のコメントには、間違いや印象操作が多数含まれているため、承服できない点が多々あります。この件にカタがついたら、その点について私が指摘し、あなたのコメントを求めます。

まず、永井論文の構成中、批判検討に必要な部分を抜粋要約し、順次検討を加えます。各項目は、永井論文の構成を前提に、議論の整理のため、私がつけたものです。

第一、はじめに

一、永井論文の背景および視点

1996 年の末に新たに発見された内務省の警察資料が『政府調査「従軍慰安婦」関係資料集成』1、1997年)』に収録されているのを知り、慰安婦論争において、その史料解釈が論議の的となった陸軍のある文書の背景を説明してくれると思われた、一連の資料に出くわしたため、史料実証主義的検討を試みた。

二、軍慰安所の施設としての性格

慰安所は軍の施設であるにもかかわらず、軍隊制度についての知識を欠いたまま議論しており、軍隊の基礎的な知識があれば、公娼施設論は成り立たない。

三、永井論文の原型となる2000年発表論文の視点

政治的な言説にのっかった史料の恣意的解釈が横行するいっぽうで、言語論的展開を持ち出して史料実証主義の終焉を宣言する言説1)が出されたあと、史料実証主義の立場からささやかな抵抗。

第二、問題の所在

一、永井論文の骨子

本報告では、1996年末に新たに発掘された警察資料を用いて、「従軍慰安婦論争」で、その解釈が争点のひとつとなった陸軍の一文書、すなわち陸軍省副官発北支那方面軍及中支派遣軍参謀長宛通牒、陸支密第745号「軍慰安所従業婦等募集ニ関スル件」(1938年3月4日付-以下、『陸支副官通牒』という。)の意味を再検討する。

支那事変地ニ於ケル慰安所設置ノ為内地ニ於テ之カ従業婦等ヲ募集スルニ当リ、故サラニ軍部諒解等ノ名儀ヲ利用シ為ニ軍ノ威信ヲ傷ツケ且ツ一般民ノ誤解ヲ招ク虞アルモノ或ハ従軍記者、慰問者等ヲ介シテ不統制ニ募集シ社会問題ヲ惹起スル虞アルモノ或ハ募集ニ任スル者ノ人選適切ヲ欠キ為ニ募集ノ方法、誘拐ニ類シ警察当局ニ検挙取調ヲ受クルモノアル等注意ヲ要スルモノ少ナカラサルニ就テハ将来是等ノ募集等ニ当リテハ派遣軍ニ於イテ統制シ之ニ任スル人物ノ選定ヲ周到適切ニシ其実地ニ当リテハ関係地方ノ憲兵及警察当局トノ連携ヲ密ニシ次テ軍ノ威信保持上並ニ社会問題上遺漏ナキ様配慮相成度依命通牒ス2)

二、陸支副官通牒が議論の対象となった背景

この文書は吉見義明の発見にかかるもので、軍が女性の募集も含めて慰安所の統制・監督にあたったことを示す動かぬ証拠として、1992年に朝日新聞紙上で大きく報道された。

中道右派の注:秦氏によると、慰安婦問題研究者の間では、当時既に広く知られていた資料であり、この文書から国家責任を基礎付け得ると考える人はいなかったため、誰も問題としなかったのを、後発の研究者である吉見氏が朝日新聞と協調して、あたかも国家責任の根拠となる文書であるかのような恣意的解釈を広めてしまったため、問題が大きくなったとのことである。

三、陸支副官通達についての解釈論の整理

(略)あなたには釈迦に説法でしょう。私も大筋で異論はありません。

四、軍慰安所の施設としての性格からの検討(永井の新視点?以下『慰安所兵站施設論』という。)

慰安所と軍の関係については、慰安所とは将兵の性欲を処理させるために軍が設置した兵站付属施設であったと理解するため、これを民間業者の経営する一般の公娼施設と同じかそれに準ずるものとして、軍および政府の関与と責任を否定する自由主義史観派には与しない。もっぱら「強制連行」の有無をもって慰安所問題に対する軍および政府の責任を否定せんとする彼らの言説は、それ以外の形態であれば、軍と政府の関与は何ら問題にならないし、問題とすべきではないとの主張を暗黙のうちに含んでいるのであり、慰安所と軍および政府の関係を隠蔽し、慰安所の存在を正当化するもので、妥当でない。

五、陸支副官通達の関連文書からの背景事情の考察

最近になって警察関係の公文書が発掘され、問題の副官通牒と密接に関連する1938年2月23日付の内務省警保局長通牒(内務省発警第5号)「支那渡航婦女ノ取扱ニ関スル件」(以下、『内務省警保局長通牒』という。)の起案・決裁文書とそれに付随するいくつかの県警察部長からの内務省宛報告書(以下、『各種県警部長内務省宛報告書』という。)が見つかった。

この警察資料の分析から、この二つの通牒が出されるにいたった経緯と背景を考察し、従来の解釈論争が想定していたものと異なる背景事情を考察する。

婦女誘拐容疑事件が一件報告されてはいるが、それ以外には「強制連行」「強制徴集」を思わせる事件の報告は発見していない。

発見された警察資料は、山県、宮城、群馬、茨城、和歌山、高知の各県警察部報告と神戸や大阪での慰安婦募集についての内偵報告にすぎず、その他の内地・朝鮮・台湾など募集がおこなわれた全地域を網羅するものではなく、それらの地域で「強制連行」や「強制徴集」がおこなわれた可能性を全面的に否定するものではない。

陸支副官通牒で言及されている「募集ノ方法、誘拐ニ類シ警察当局ニ検挙取調ヲ受クルモノアル」という事件は、和歌山県警察部から一件報告されており、そのような事件が現におこっていたことが、この警察報告により証明され、警察報告と副官通牒との間には強い関連性が存在する。

そこで、今後さらに新しい警察資料が発見され、それによって必要な変更を施す必要が生じるまでは、もっぱら以下に述べる作業仮説(以下、『永井作業仮説』という。)を採用し、その上で考察を進める。

六、永井作業仮説

『内務省は主として現在知られている警察資料に含まれている諸報告をもとに、前記内務省警保局長通牒を作成・発令し、さらにそれを受けて問題の陸支副官通牒が陸軍省から出先軍司令部へ出されたのである』

七、永井考察(ロジック)

1、永井作業仮説を前提におき、和歌山の婦女誘拐容疑事件一件を除き、警察は「強制連行」や「強制徴集」の事例を一件もつかんでいなかったと結論づける。

2、すると、陸支副官通牒から「強制連行」や「強制徴集」の事実があったと断定ないし推測する解釈は成り立たない。

3、また、これをもって「強制連行を業者がすることを禁じた文書」とする自由主義史観派の主張も誤り。なぜなら、存在しないものを取締ったりはできないからである。

4、では、陸支副官通牒や内務省警保局長通牒は何を取締まろうとしたのか、これらの通達はいったい何を目的として出されたのかを新たな視点から分析検討すべきである。以下は、その点について永井が分析した結果の解釈(以下、『2通牒の永井解釈』という。)

① 内務省警保局長通牒は、軍の依頼を受けた業者による慰安婦の募集活動に疑念を発した地方警察に対して、慰安所開設は国家の方針であるとの内務省の意向を徹底し、警察の意思統一をはかることを目的として出されたものであり、慰安婦の募集と渡航を合法化すると同時に、軍と慰安所の関係を隠蔽化するべく、募集行為を規制するよう指示した文書にほかならぬ。

②陸支副官通牒は、そのような警察の措置に応じるべく、内務省の規制方針にそうよう慰安婦の募集にあたる業者の選定に注意をはらい、地元警察・憲兵隊との連絡を密にとるように命じた、出先軍司令部向けの指示文書であり、そもそもが「強制連行を業者がすることを禁じた」取締文書などではない。

(続く)』

「再入国禁止法案」反対

勉強不足なんですけど、

http://www.sukuukai.jp/houkoku/log/200401/20040121.htm

例えば上記「救う会ニュース」には、3つの法案が連記されていた。

1)外国為替及び外国貿易法の一部を改正する法律案要綱

2)我が国の平和及び安全の維持等のための入港制限措置に関する法律案

3)日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法の一部を改正する法律案

1)は1月29日に衆院本会議を通過した。とのこと。

で、3)については 

http://www.asiavoice.net/nkorea/bbs/wforum.cgi?no=360&reno=358&oya=351&mode=msgview&page=0 で、Mさんが強調しておられるように、排外主義的なものであり、絶対許してはならない、と思います。

<動物化>と創造的反抗

「歴史の終焉」というコジェーヴの議論についてバタイユが解説してる文章を読んだので、ちょっとまとめてみよう。

 前提としては、「人間とは否定を行う存在である」ということ(ヘーゲルのテーゼ)がある。であれば「もしも創造的反抗がなく所与がそのまま受け入れられるなら」そういった存在は果たして「人間」と言いうるのか?人間の姿をしているが動物の特徴をもってると言えるのじゃないか。*1

 わたしたちがみな同質的である社会の到来が、歴史の終焉の条件である。つまり「人々が相互に対立し、様々な人間的な様態を次々に実現していた活動が停止する」ということ。*2

 ヘーゲル、マルクスにおいては人間たちは承認のために互いに闘争し(階級闘争)、また労働を通して<自然>と闘争する。しかしいまや<自然>は決定的に制御されてしまっている、人間と調和してしまっている、闘争は必要ない。……戦争と流血の革命の消滅。<人間>はもはや自分自身を本質的には変化させない。認識の根底にある原則も変わらない。芸術、恋愛、遊び等々、要するに<人間>を幸福にするものはすべて、そのままに保たれる。*3

 <動物化>についてははてなキーワードにあったはずと思って見るとしっかり、百行以上あった。ただ当然ながら、バタイユとはニュアンスは違う。「絶対的引き裂きのなかに自分自身を見出す*4」という契機抜きには人間は人間たり得ない、というのがバタイユの人間観。

「…動物の欲求は他者なしに満たされるが、人間の欲望は本質的に他者を必要とする。」と東氏はいってるらしいが、あらかじめ同質化されてる他者から承認されても、バタイユ的には否定を体験したことにはならない。

また、「人間は死を賭けることができるからこそ人間であり、戦争はそのための最高の試練であるが、」と浅田氏の本のなかにあるらしい。軍隊という制度において目的のために駆り立てられる人間も、死つまり「否定的なものを真っ向から凝視し、その傍らに留まり続けるとき」(ヘーゲル)という体験からははなはだ遠い。

「人間は死を賭けることができるからこそ人間であり、戦争はそのための最高の試練である」といったセリフは近い将来薄められて大量散布される危険性がある。バタイユの言うことは、神秘的でヒロイックすぎてついていけないと思う人もあろう。ヘーゲルやバタイユがどうあろうと、「戦争のために死を賭ける」というのは普遍的に馬鹿げたことだ。でもそう言いきれるのか。植民地解放戦争などの場合は「馬鹿げた」とは言えないかもしれない。日本人が、先の支那事変の悪を承認したくないという(ひそかな)思いを持ちながらやる戦争に1ミリの正しさもないのは自明だ。

 話が逸れた。現在の日本に対する「動物化」という診断は、わたしを含めた多くの人にとって切実に響く。わたしたちはすでに欲望からさえ見放されつつあるのだ。というか、欲望から自由になるのは良いことではないか。ひとは衣食住さえ満たされればよい。若い労働者の救済と男女平等のためには、労働時間半減ぐらいのワークシェアリングが必要だ。より少なく働きより少なく食べより少なく遊ぶ。人間は自己の深淵を見つめる時間を限りなく持てるようになる。医療費も半減すれば死も身近になる。

*1:p220バタイユ『純然たる幸福』isbn:4409030388

*2:p224同上

*3:p221同上

*4:cfp21『精神現象学』長谷川訳

『新潟』ノート3

 金時鐘の長編詩『新潟』の真ん中部分を読む試みです。

 3章  http://www.eonet.ne.jp/~noharra/ikesu2.htm

「風は海の深い溜息から洩れる。」「朝は冷静に老漁夫の視界へ現実を押しひろげてくる。」前章の少年に変わり老漁夫に焦点が当たる。「済州海峡はすでにひとつの生簀(いけす)でありその生簀のなかの生簀に父が沈み少年がただよい祖父がうずくまっている。」少年が海へ下りたとは入水したということだったのか。それとも、「爆発」「横ったおしの船腹」「少年の冷たい死」という言葉がこの章の終わりぐらいにあるから、(船底にひそんで)海を渡ろうとしたが(1章の浮島丸のように)時限爆弾で爆破されて死に至ったのか。2章の主題だった海に沈んだ屍体たちはこの章ではもはや屍体でさえなく、無数の魚たちの小さな口によって食いちぎられる餌となっている。「もはや老眼はありあまる人肉の餌づけに慣れた魚と人との区別をもたない。」それでも漁師は魚を捕る。「海の密教が山と野を伝いしきられた暮らしを奥ふかく結んで彼らのみだらな食卓へ日夜屍体に肥えた殺意を盛り上げる。」太古から定められた食物連鎖という掟は循環し、貧しかった食卓は急に豊かになる。「四十年のくびきを解いたという彼らの手に早くも南朝鮮は食用兎(ベルジアン)の胴体でしかないのだ。」食べることは食べられることだ、みたいな錯乱した感覚に導かれ、「朝鮮半島=食用兎」という喩が現れる。「ただひとつの国がなま身のまま等分される日。」1948.5.10南朝鮮単独選挙。「人はこぞって死の白票を投じた。町で谷で死者は五月をトマトのように熟れただれた。」投票場で白票を投じたのだろうか。済州島の2州でだけ選挙が無効になりそれが苛酷な鎮圧作戦の原因になる。*1トマトのようにどこにも血が流れ死者が発生し、ただれた。「血はうつ伏せて地脈へそそぎ休火山のハンラをゆりうごかして沖天を焦がした。」「鉄の柩へ垂直にささった五十尋の触手をたぎる景観のなかで老漁夫がたぐり上げる。触感だけに生きた漁師の掌に解放にせかれ沈んだ盲目の日は軽石ほどの手ごたえもない。もぬけの自由だ!」解放への性急な思いは死へ、そして死はもはや軽石ほどの手ごたえもない。「仕組まれた解放が機関の騒音にきざまれる時限爆弾の秒針ではかられていたときやみくもにふくれあがった風船のなかで自己の祖国は爆発を遂げた。」「横ったおしの船腹をひっかき無知の柩に緩慢なひびきをおしこんだいかり石が今しずかに祖父の手元へ手繰り込まれる。」

 

4章

4章は読みにくい。3章の終わりに「船底」*2「区切られた」「柩」という言葉があり、4章の始めには「鉄窓」「ヘルメット」「エアポケット」といった言葉がある。ここから受け取れるのは潜水艦のようなものに閉じこめられたイメージだ。(済州島事件の後)日本へ密航してきた人たちのことを“潜水艦組”と言ったそうだが、そうした(長く秘されてきた)体験がここの背後にはある。*3「朝を見た。」*4「大気の飛沫を」「自己の生成がようやく肺魚のうきぶくろとなってふくらむのを知った。」*5潜水艦の閉鎖から開放されていくイメージだ。日本への密航が解放であったわけではない。ただ熟れたトマトのように屍体が折り重なる空間から脱出することは喜びだった。「飢餓を自在に青みどろの海面へ振り切り」「くも糸に吊された蛹さながら蘇生を賭けた執念が身もだえる。」*6「暮らしにへたった指に水かきをつけ息をつめとおした日日の習癖を鰓に変えて彼はただ変幻自在な遊泳を夢見るのだ。」「海そのものの領有こそ俺の願いだ!」*7開放感は全能感に移っていく。「縦横無尽なイルカの流動感こそいい!」「エネルギッシュなアシカの欲望だ!」「いやセイウチだ!選り放題の女どもを囲い気の向くままに稼ぎ産み遊び民族も種族もへったくれもない。」「おお神さまこの世はなんとすばらしいんでしょうか。」次ぎに転換が起こる。「それが丸ごとかっさらえるのです。もう数ではなく固まりのままが喰えるのです。戦争とはいっても海のずっと向こうのこと。胃袋を通ったものが何に化けようと勝手です。腹の足しにもならずじまいの鋳型を追われた蛇口ですら削り取られて爆弾になったんだ!」*8過剰な全能感は不安や(屍体の島済州島に父母や仲間を置き去りにし逃げてきたという)罪責感を隠していた。そこで1年後朝鮮戦争に出会うや、「蛇口」や「ネジ」が爆弾に成ることにより日本経済が復興するという戦後日本の原罪を、誰よりも深く背負うことになる。*9(こういうのも郵便局的誤配というのかな。)「はっぱがかかるぞお--深くつらぬく光と闇をくゆらせて重い藻にからまっているのは横むいたままの落ち込んだ家路だ。」帰国直前に爆沈された<浮島丸>がまた回帰する。「骨の先端ではじけている盲目の燐光よ。あばくことでしか出会えぬわれらの邂逅とはいったいどのような容貌の血縁にひずんだ申し子なのか?」*10「海の厚みのなかをこり固まった沈黙がきき耳をたてる。」「うっ積した塵を噴き上げ覗きこんだ奴の首をもかっさらった骨の疾走が囲いを抜ける!」沈黙の持続があり時が満ちる一挙に爆発が起こる。「海の臓腑に呑まれた潜水夫の目に朝は遠のいた夜のほてりのように赤い。」潜水夫が見るのはなきがらだ。「澱んだ網膜にぶらさがってくるのは生と死のおりなす一つのなきがらだ。えぐられた胸郭の奥をまさぐり当てた自己の形相が口をあいたまま散乱している。」なきがらは逆光に高高と巻き上げられる。「逆戻るはしけを待っているのは宙吊りの正体のない家路だ。」とここで、第二部「海鳴りのなかを」は終わる。

 以上、“故郷へ”というベクトルとその挫折を、松代大本営、浮島丸事件、済州島人民蜂起後の虐殺などなど朝鮮半島と日本の歴史の曲がり角の動乱を横糸に織り上げた叙事詩だといえるでしょう。これだけのエネルギーがなお挫折以外に出口を持たないことには言葉がない。これだけ構成の整った大叙事詩を書き上げながら、(左翼詩人なのに)故郷への思いというものを形而上学的高みへの単線的ベクトルへと疎外することなく、わがからだの卑近さ挫折の近くに保ち続けたことは大変なことだと思う。

*1http://www.dce.osaka-sandai.ac.jp/~funtak/papers/introduction.htmによれば 「しかし同年五月一〇日に実施された、南朝鮮単独政府樹立のための代議員選挙が、済州島の二選挙区では民衆の抵抗によって、投票率が五〇パーセントに満たず無効となると、米軍政は国防警備隊(のちの韓国軍)を本格的に動員し、苛酷な鎮圧作戦に乗り出した。」とある。ちなみに『原野の詩』p420の自註では投票日が5月9日となっているが間違いなのだろう。

*2:p405『原野の詩』

*3:時鐘が日本に密航してきたのは、1949年6月。参照p287『なぜ書き続けてきたか なぜ沈黙してきたか』isbn4-582-45426-7 1991年刊行の『原野の詩』は60頁に及ぶ詳細な年譜が添付されている(野口豊子作成)が肝心の密航については固く口を閉ざしている。1年後の6月朝鮮戦争始まる。

*4:p407

*5:p408同書。 ここで52年後にようやく語られた、実際の密航体験の一断面を引用しておこう。「 その密航船には、ぼくら入る余地がないくらい人が乗ってたから、たかだか半畳ぐらいのところにね、五、六人入っている。魚を入れる、蓋什きの升目の仕切りが二つある古びた小さな漁船だった。たぶん四、五トンくらいやったろうね。とにかく立錐の余地なく人が詰ってるのよ、だから僕ら後からの五人は入るところがなくて、煙突にバンドで胴をくくって波かぶって……、お金も払ってない手前、闇船のおやじは、つっけんどんや。みな甲板の上に体くくって、入るところがないねん!……それで五人乗ったうち、一人は波かぶって流されてもうた。五島列島の灯リが見えてほっとしたときに、だぁーと波かぶったら、四人連れのうちの一人はいなかった。……まっ暗闇で助けようがない。つらかったけどそれでもこれで日本の警察に捕まっても処刑はないと、惨殺されることはないと。 」p121『なぜ沈黙してきたか』

*6:p408

*7:p410

*8:p413  

*9:ネジと朝鮮戦争については当日記3月31日参照

*10:p419の註には、浮島丸事件の犠牲者遺骨285体が、目黒区の祐天寺に遺失物のように保管されている、とある。そうしたことをイメージしているのか?