Kojii.net ココログ別館 12/04

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Kojii.net ココログ別館: ちょっとぶちまけてみたくなった

12/04/2006

ちょっとぶちまけてみたくなった

主張している内容が「平和主義」っぽいものであったとしても、「闘争」とか「たたかい」とかいう言葉を前面に押し出して活動しているような人のことは、私は金輪際信用しません。

…って、書いてみたくなったのさー (苦笑)

追記 (2006/12/12)

「週刊オブイェクト」で、ここでのやりとりについて取り上げていただきました。

12/04/2006 in 今日のひとこと | Permalink

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 どうもです。ここのところ、色々とあった例の議論話なのですが、折角ですのでとりあえず関連の話題になったURLとかでもまとめておきましょうか。適当なので記載していないものとかがあったら済みません。   ・摂津堂テクスト(当ブログ) イラク問題のこの頃/マブダチとい… [Read More]

Tracked on Dec 18, 2006 12:06:36 AM

Comments

いつも思うことなのですが、何故彼らはひらがなで書くんでしょうか?

Posted by: flanker | Dec 4, 2006 10:08:21 PM

ひらがなで書いた方がソフトに見える、という理由じゃないでしょうか。口で発音すれば同じなのに (笑)

Posted by: 井上 | Dec 4, 2006 11:14:30 PM

 きれいな闘争、きれいなたたかい、とかいうやつですね!><

Posted by: せっつ | Dec 4, 2006 11:19:10 PM

はじめまして

>ちょっとぶちまけてみたくなった

とはいえ、それに素直に脊髄反射しても、誰もほめてくれないんですよねー。

おとなってたいへん。

Posted by: ウェハ | Dec 4, 2006 11:51:19 PM

ここはどこだろう。たたかっているひとだらけだ。でも、かれらはみんな「はなせばわかる」としゅちょうしながらたたかっている。

「はなせばわかる」としゅちょうするこういに「たたかい」というかんばんをかかげる、あたらしいじだいのはじまりだ。こんなむじゅんしたげんせつがつうようしてしまうのだから、オトナとしていきていくのはたいへんなことだ。これから、ニッポンはどうなるのだろうか。

…某日の「天声人語」風にお送りしてみましたw

Posted by: 井上 | Dec 5, 2006 12:16:43 AM

こんにちわ。

>>わざわざ、意見を異にする人の日記に乗り込んできて対立意見のコメントを書き込むのなら、相手を説得できるような材料を持ってくるのが筋ってものなんじゃないのかなあ、と。

ブッシュドクトリンが破綻したからラムズフェルドは首斬られた。イラク派兵は悪への荷担でしかない。日本は直ちに派兵撤回せよ。という論理は充分説得的ですよ。

Posted by: 野原燐 | Dec 9, 2006 11:31:19 AM

私がいつ、「アメリカのイラク政策が正しかった」なんて書きましたか ? 私がいっているのは、「アメリカは間違いをやらかしたが、それをあげつらっているだけでは解決にならない」ということです。そして、別エントリのコメ欄では「長老方式」が現実的ではないか、ということも書いている。

中東の石油に依存している日本としては、中東がこれ以上戦乱でガタガタする事態は避けなければならないし、そのために手を差し伸べられることがあるならするべきです。たとえ、元の原因 (OIF) に問題があったとしても。

しかしあなたは、「アメリカが撤退しただけですべて解決する」ということはない、という私の見解については同意しつつも、その一方で具体的な解決策はなにも提示しておらず、「対案を出せ攻撃」などとクダを巻いているだけではありませんか。とどのつまり、あなたの主張は「日本はイラクから手を引いて “いい子” でいろ」といっているだけであり、それを私は一国平和主義だといったのです。

他国で起きている争乱に一切関わらなければ、日本が平和っぽい状態でいるように見えるでしょう。いわゆる平和主義者はそれで満足するかもしれない。しかし、日本が他国と交易する中で経済を成り立たせており、他国の騒擾が日本経済にも影響することが多い以上、江戸時代みたいに鎖国して、一人だけ知らぬ顔の半兵衛を決め込むことはできないのです。

理想主義は大いに結構。ですが、物事が常に理想通りに進むものではないし、ベストとはいえない「ややマシな選択肢」をとらなければならないことも多い。状況が理想通りではないからといって放り投げてしまったり、理想論の中に引きこもってしまったりするだけでは、世界政治は成り立ちません。

Posted by: 井上 | Dec 9, 2006 11:53:10 AM

もうひとつ。

あなたが、私の主張に対して説得力がある反論をしていると考えておられるのであれば、御自身の日記にせっつさんのところのやりとりをコピペした際に私の発言をオミットしているのは、どういうわけです ?

Posted by: 井上 | Dec 9, 2006 1:52:31 PM

メモ。

安全保障理事会決議 1511 (2003)

2003 年 10 月 16 日の安全保障理事会第 4844 回会合で採択

http://www.unic.or.jp/new/pr03-116.htm

【質問】

自衛隊のイラク派兵はすべきだったのでしょうか ?

http://mltr.e-city.tv/faq01j.html#02153

Posted by: 井上 | Dec 9, 2006 8:20:47 PM

井上さん 

>>>「対案を出せ攻撃」などとクダを巻いているだけ

なんと。失礼ながらここまでトンチンカンな方だとはいうのは、私の理解の外でした。

イラク情勢について日本が「対案」を持っていって一体誰が取り上げてくれるのですか?まさに「対案を出せ」シンドロームに脳髄を犯されているのですね。

ある課題を解決しなければならないという共通了解が存在するとき、その課題を解決するために一定効果があると思えるAという対策に対し、対案Bを示さずにそれを否定するのは、賢いやり方ではないでしょう。しかしそれはAの主張者がその問題について権利と能力を持っている場合だけあてはまることです。その問題について権利と能力を持っていない場合、イラクにおける米国がまさにそれに当てはまります。

さてイラク問題について、最初に確認しておかなければならない問題は、誰の利益の為の誰の問題なのか? という点です。

イラク人の利益の為のイラク人の問題なのか? それとも、

アメリカ人の利益の為のアメリカ人の問題なのか?

前者でなければならないことは明白です。しかしアメリカは圧倒的な暴力でイラク国家を破壊してしまいました。したがって「イラク人の問題を解決すべき主体=イラク国家」が不在になってしまいました。ここでアメリカが何としてもしなければ成らなかったことは、“多少不満でもイラク人が自らの代表として認め” かつ親米的国家を成立させることです。二つの条件は背反することが多いので困難な課題でした。で2003年5月からの3年半この難問をアメリカが解決し得たのかというと答えは否です。2年前に比べても治安は悪化の一途を辿っておりイラク国内は悲惨そのものです。

国際問題は視点によって評価がまちまちになりがちなので、これほど「失敗」という評価が一致する事件はめずらしいですね。

アメリカ人の利益の為の国家を「イラク人の利益の為」とごまかすことにより成立させることを追求した米国の戦略が失敗したのです。したがって米国は敗北を自認しイラクから退却するべきでしょう。

それが米国の利害に反するなどというのは敗北者の寝言にすぎません。米国はもともとイラクを統治する権利など持っていなかったのであり、いわば泥棒が他人の嫁になろうとしていたにすぎないのですから。

で、日本の立場ですが、「これからどうするか?」もへちまもないのです。日本はいかなる意味でも当事者ではないのですから。いかなる正当性も獲得できなかった(アメリカにとってはそれだけで済んだがイラクは人民と国土をずたずたにされた)イラク占領への荷担を直ちに止めるだけのことです。

で、以上の主張は一国平和主義とも理想主義とも何の関係もありません。泥沼はすぐに抜け出さなければますます深くなり(60年前の日本のように)平和だった本土が焦土になることさえ起こるのです。これはリアリズムです。

Posted by: 野原燐 | Dec 9, 2006 9:58:11 PM

あなたが書いていることは、「自衛隊がイラクから引っ込むべきだ」という結論に都合がいいように、テキトーなストーリーを書いているに過ぎない。

>誰の利益の為の誰の問題なのか

全世界の問題です。当のイラク国民が「その気」にならなければならないのは事実であるにしても、イラク国民 *だけの* 問題でもない。

それは私が先に書いたように、昔のような鎖国時代と違って世界各国が経済的に互いに依存関係にあり、ある国で発生したイベントや事件が他国に波及して影響をもたらすからです。江戸時代とは訳が違います。

アメリカがイラクで失敗したのは事実。しかし、失敗したから出て行け ? 出ていった後に何が起こるかは知ったことじゃないとでも ? それはまた能天気な。そもそも、アメリカが撤退すればすべて片付くわけではない、という点に同意しておきながらそれをいいますか ?

はっきりいいましょう。現時点で国際社会が「これはイラク人の利益の問題ですから、自分でどうにかしてください」といっていきなり放り出せば、第二のアフガニスタンができて、それこそ平和な世界がテロでグダグダになるでしょうね。それを防ぐには、尻拭いといわれようが何をしようが、国際社会が力を合わせて、現状をいくらかでもマシにするための手を打たなければならない。これこそが本物のリアリズムです。

それとも、アメリカには撤退してもらって、代わりにロシア・中国・イランあたりにどうにかしてもらえとでも ? いやしかし、「イラク人の問題だ」と断言しているのに、それはないでしょうね。

なにもイラクやアフガニスタンに限らない。介入が失敗に終わり、国際社会が見捨てた後のソマリアがどんなことになったか、知らないわけではないでしょう。同じことをイラクでも繰り返せと ?

あるいは、国際社会の介入を当事者が拒んでいるスーダンのダルフールが震源地になって、隣国のチャドや中央アフリカにまで火の粉が降りかかっている例もある。それも「当事者の問題だから、権利がないやつは手を出さずに放置しろ」と ?

ついでだから、日本がイラクに関わると焦土になる過程について、筋道立てて説明していただきたい。焦土になると断言しているのだから、どうしてそうなるか、論拠があってのことでしょう。太平洋戦争で日本の主要都市を焦土にするには 16 万トンの焼夷弾を必要としましたけれど、それだけの攻撃力がどこからどう沸いて出てくるか訊いてみたいですね。

Posted by: 井上 | Dec 9, 2006 11:28:57 PM

ああそれから。

>日本が「対案」を持っていって一体誰が取り上げてくれるのですか?

「泥沼から抜け出したい」といって、一人とっとと逃げ出すような国のいうことなら、それこそ誰も取り上げてくれないでしょうなあ。国際社会で発言力があるのは、自分で実際にアクションを起こしている国だけです。

日本以上にイラクやアフガニスタンと縁がなさそうな東欧諸国から、わざわざ MNF-I や ISAF に部隊を派遣している国があるのはなぜか。そうすることで国際社会におけるプレゼンスを高めて、発言力を高めて、下世話ないい方をすれば「貸し」を作るためです。

>脳髄を犯されて

× : 犯されて

○ : 冒されて

Posted by: 井上 | Dec 9, 2006 11:35:59 PM

もうひとつ。

>権利と能力を持っていない場合、イラクにおける米国が

>まさにそれに当てはまります。

と書いておきながら、

>米国は敗北を自認しイラクから退却するべきでしょう

とはこれいかに。つまり、権力と能力を持っている奴に出て行けと。そしたら誰が事態を収拾するんですか。それとも、「やっぱり、アメリカが出ていけば全部解決します」とでもしますか ?

Posted by: 井上 | Dec 10, 2006 12:20:22 AM

読解力にはそこそこ自信がありましたがそれにしても難解な文章と言うか…

できる限り解釈してみたのですが(いちいち頭が勝手にツッコミを図るので大変でしたが)、どうもアメリカは既に占領統治に失敗しており、失敗したからイラクに対してすべての権利を失っている。よって出て行けと仰っているのではないでしょうか。

でもこう解釈するとテロさえ鎮圧できるならアメリカがどんなえげつない占領統治してもOKということになってしまうし…

それにしてもどれだけ読んでも問題の解決を思考されているようには読めないのですが。

Posted by: flanker | Dec 10, 2006 12:56:17 PM

 いや、井上さんちょっとオーバードライブ気味ではないかと。

>権利と能力を持っていない場合、イラクにおける米国が

>まさにそれに当てはまります。

 つまり、ここ「だけ」素直に読めば、米国は問題に対応する権利と能力を持っていないと、彼的には主張して居るんじゃないかと、だから井上さんの非難はそこだけは当てはまらないです、ちょっと暴走気味。

 だからと言って野原氏が人の事をトンチンカン呼ばわりできるほどわかりやすい文章を書いてるようには思えません。

 アメリカはイラクの現状にコミットする権利と能力を持っていないと野原氏は主張(ハイ、ここ読み取り間違えてたらごめんなさいね)しますが、現状、イラクの治安に幾ばくなりと影響力を持つのはアメリカでしょう、能力的にはあるわけで、そのあたりに目を瞑っていらっしゃるのでしょうか、アメリカはすべてを放り出して出て行け、そうすれば自然に収まる、そう主張していらっしゃるとしか思えません、世の中、そんなシンプルかつ気楽に片付けばいいのでしょうが、それで問題が解決するのでしょうか。

 で、そう言う問いかけを「対案を出せ攻撃」だの「議論の本質から逃げている」何だの言う(世間一般では非難と言いますが)のは勝手ですが、人はそれを無責任な人だと見る場合があるでしょう。

 また、世の中、あなたと同じ事を判断基準にしている訳じゃないんですね、あなたの知らない事何かがその基準になっている可能性は高いですし、あなたがこれは正しいと思っている事をこちらは別の筋から得ている情報で同じような判断は下さないかも知れない、そこが理解出来ない限り、多分、同じ庭にいる事は出来ないんじゃないかな。

 

Posted by: ooi | Dec 10, 2006 3:31:32 PM

 僭越ながら、一言。

 野原燐氏の説明によりますと、アメリカは自ら望んでイラクにずっと兵を留めているかのようです。しかし、アメリカとしてはむしろ、イラクなどさっさと放り出してしまいたい、というのが本心ではないでしょうか?イラクが忠義高い親米国家になる見込みも薄いし、米軍の駐留費用はかさむし、米軍兵士の死者は増える一方だし、国内世論は道義的な観点からもイラク駐留を非難し始めている。要するに、ベトナム戦争と同じ状況です。「名誉ある撤退」が可能なら、それに越したことはありません。

 問題なのは、イラクにはベトナムで言うところの北ベトナム政府にあたるアクターが存在しない、ということです。イラクに新たな政府が育つ前にアメリカが出て行ってしまったら、イラクを責任を持って統治しようというアクターがいなくなってしまう。テロ組織は、残念ながら国家の統治能力までは持ち合わせていない。独裁者を倒したはいいが、新たに「破綻国家」を作ってしまっては元も子もない。

 そこで困ったアメリカとしては、早急にイラク政府とイラク軍を育て、イラク全土の統治と治安維持を任せようとしているわけです。「とりあえず任せた。後はよろしく」ということにしてしまえば、その後イラクで混乱が起きようと、それは「イラク政府のせい」と言い訳ができますからね。

 アメリカに「さっさとイラクから出て行け」といえば、確かに出て行くでしょう。しかし、今すぐにアメリカがイラクから出て行くことは、アメリカが無責任にもイラクを放置していくことになります。それは、果たして道義的に許されることでしょうか。かえって、アメリカの無責任を助長することにはなりませんか。

 アメリカのイラク侵攻に関する責任を追及するならば、むしろアメリカには、イラクのために尽くさせるべきであると、私は考えます。

Posted by: NISSHA | Dec 11, 2006 12:42:05 AM

>米国は問題に対応する権利と能力を持っていないと、

>彼的には主張して居るんじゃないかと

ところがですねえ。野原氏御本人の日記には、

>>でそのためにはどうすれば良いか。2年前に書いたように、

>>イラク人ライードさんの判断によれば、答えは簡単だ。

>>>事態の解決は,ブッシュ政権とイラク人に任せてください。

(http://d.hatena.ne.jp/noharra/20061209#p1)

とあるんですよ。その発言が正しいと思ったから引用したんでしょうに、その一方で「アメリカは失敗したんだから撤退しろ」とやったら大矛盾です。

Posted by: 井上 | Dec 11, 2006 9:02:09 AM

 ああ、やっぱそこまで辿って突っ込んだんですか、多分自分の書き込み中の整合性ぐらいしか取ってねえだろうと思ったのが先のツッコミだったんですが(ナニゲに酷いこと書いてるな、自分。)

 まー、たぶん

>>でそのためにはどうすれば良いか。2年前に書いたように、

>>イラク人ライードさんの判断によれば、答えは簡単だ。

>>>事態の解決は,ブッシュ政権とイラク人に任せてください。

(http://d.hatena.ne.jp/noharra/20061209#p1)

 のウチ、「イラク人がイラク人に任せろと言った」とまあ、ブッシュ政権の下りをオミットして脳内変換しているんじゃないかと思量。>人の思考を勝手に推測するのはよくないですね?

 ま、あの人の中では整合性は取れているのかも知れませんよ、「反米・反権力」というポリシーにさえ沿えば、と言う但し書きが付きますが・・・まさかその中の矛盾は「記述のブレ」とか言って片づけられるのかッ!

 すいません、すべりますた。

>余談。

 先の発言の内、だから、以降の後半部分をカットしてコピーしてたら私、笑いますけどね、全く持ってお里が知れると。

Posted by: ooi | Dec 11, 2006 9:57:40 AM

お気になさらないでください。私がいちいちソースをちゃんと書かなかったのもいけないので。

野原氏、トラバを頂戴した「孤高」さんにも戦線を広げてしまいました (しかも誤爆してるし)。攻勢終末点を無視してドンドン戦線を広げていくさまは、まるで 60 年前の日本を想起させます。御自身の日記が炎上して「焼け○○」になっちゃっても知りませんよ ?

Posted by: 井上 | Dec 11, 2006 11:26:45 AM

× : 60 年前

○ : 太平洋戦争当時

Posted by: 井上 | Dec 11, 2006 12:32:38 PM

応答がいつも遅れるわりに、語調が高飛車ですみません。

お返事が、日曜日以降になります。すみません。

Posted by: 野原燐 | Dec 14, 2006 7:18:05 AM

「アメリカがイラクに関わる資格はない」「自衛隊を撤収しろ」と繰り返すだけなら、私がすでに書いたことの繰り返しになって無限ループするだけだから、意味ないですよ ? そこのところをしっかり御理解いただいた上でどうぞ。

Posted by: 井上 | Dec 16, 2006 7:00:32 PM

「アメリカがイラクに関わる権利がある」という主張をまだいただいておりません。よろしくお願いします。

井上さん

>脳髄を犯されて

× : 犯されて

○ : 冒されて

指摘いただきありがとう。

さて。

>誰の利益の為の誰の問題なのか

全世界の問題です。

全世界などという主体は存在しません。あなたは何が言いたいのですか?

>>イラク国民だけの問題でもない。

周辺国も困っていますね。

>>はっきりいいましょう。現時点で国際社会が「これはイラク人の利益の問題ですから、自分でどうにかしてください」といっていきなり放り出せば、

「国際社会」とは何ですか? 文脈では、米国とその同調者のことですね。はっきりしてください。

>>それこそ平和な世界がテロでグダグダになるでしょうね。

すでに一定程度そうなっています。「米国がイラクから撤退しなかった」からです。

>>なにもイラクやアフガニスタンに限らない。介入が失敗に終わり、国際社会が見捨てた後のソマリアがどんなことになったか、知らないわけではないでしょう。同じことをイラクでも繰り返せと ?

「同じことをイラクでも繰り返せ」とわたしは主張してないですよ。

「同じことをイラクでも繰り返すな(あるいは)繰り返せ」と叫ぶ権利をわたしは誰から与えられているのか。与えられてない。あなたもそうです。

「その問題について権利と能力を持っていない場合、イラクにおける米国がまさにそれに当てはまります。(野原)」

米軍(及び米国の組織)はいかなる権利を持ってイラクに存在し続けているのですか?

米軍(及び米国の組織)の存在は、いままで*1イラクの治安をより悪化させる事しかできなかった。であるのに、今後の1年間について逆のことをあなたは期待している。その根拠も示さずに。

なぜそんなことができるのか。

それはあなたの脳髄の中で「国際社会」「全世界」というものがアプリオリな善に位置づけられ、イラクという地域は決して主体になりえず、「国際社会」「全世界」が配慮してやるべき客体として位置づけられているからです。

さて、イラクで米国が何が出来るか/できないかについて、私が語る必要があるとは思いません。わたしたちがしなければならないことは、自衛隊によるイラクの米軍支援が

「イラクにおいて行われている国民生活の安定と向上、民主的な手段による統治組織の設立等に向けたイラクの国民による自主的な努力を支援し、及び促進しようとする」に該当するのかどうかである。

イラクでの米軍が失敗しようがしまいが、自衛隊の支援対象は「国民生活の安定と向上、民主的な手段による統治組織の設立等に向けたイラクの国民による自主的な努力」であり、米軍ではない。

あなたのしなければならないことは、まず、観念的な世界平和論を振り回すのではなく、条文からの逸脱という疑問に答えることである。

>日本が「対案」を持っていって一体誰が取り上げてくれるのですか?

の答えは、誰も取り上げてくれない。でよろしいね。

Posted by: 野原燐 | Dec 18, 2006 9:51:34 AM

やれやれ、相変わらずですね。グダグダと御託を並べているけれども、要するに「自衛隊のイラク派遣が気に入らないから引き上げろ」という以上のものではない。主体がどうとか、国際社会の定義だとか、言葉尻に難癖をつけることしかできていない。

あなたは自衛隊ならびに MNF-I の撤収しか叫ばないけれども、それで問題を解決できると考えているのかどうか、私はそれを問い続けている。ところが、それに対するあなたの回答は「語る必要はない」という *逃避* でしかない。そう書くしかないんですよ。あなたは「MNF-I と自衛隊を引き上げろ」という以上のことは何も考えていないのですから。

私の問に答えられるだけの識見も情報も持ち合わせておらず、MNF-I や自衛隊派遣に批判的な言説を集めることにばかり汲々としているのでは、真正面から議論できないから「書く必要がない」と切り捨てるしかないでしょうね。

根拠云々についてはとりあえず、国連安保理決議 1511 を 100 万回読み直してからどうぞ。この決議では、経緯はともかくとして CPA の立場を確認した上で、国連加盟国 (私がいうところの国際社会と同義と考えてよろしい) に対して、イラク再建のための支援を行うよう求めている。

イラクが主体的に自国を統治できるようにするには、単に「おまえが主体だから自力でやれ」と放り出すのではなく、さしのべられる手を持っている人が手をさしのべなければならない。治安維持部隊の育成に関して直接の関与ができない国でも、後方支援などの形でそれを支えることはできる。空自のイラク派遣はそれです。

それに、以前にも書いたように、世界のどこかで問題が発生した際に平和維持部隊などを出す国があるのは、国際社会に対する発言力やプレゼンスの確保、そして「貸し」を作るためという事情がある。それは日本についても同様にあてはまる。それに対してあなたは何も反論しない。できないでしょうからね。

MNF-I の政策失敗で治安を悪化させる結果になったことと、法的な権利の有無をリンケージさせているのは屁理屈もいいところです。それは、「日本で犯罪が増えて治安が悪化しているから、日本の警察に犯罪を取り締まる資格はない」といっているのと同じです。現状がいかにダメダメだろうが、イラクが自前の治安維持能力を持たなければ、最終的な解決は実現しない。あなたも「イラク人の手で解決」といっているではありませんか。そこに至るまでの道筋については、だいぶ見方が違うようですがね。

私は「イラク自身の治安部隊の育成が必要だ」と言い続けている。組織だけ作れば治安維持ができるわけではなくて、しかるべきノウハウを持った誰かが、しかるべき訓練を施さなければ治安維持組織はできない。現状、それができるのは MNF-I しかないからこそ、MNF-I の手でイラク治安部隊の育成を進めて、しかる後に手を引くのが最善だということです。

それとも、他の誰かがやってくれますか ? やってくれると主張するなら、それが誰かを明示していただきたい。あるいは、MNF-I がイラクから即時撤収した時点でイラク治安部隊がマトモに機能すると主張するなら、その根拠について。きっと「その必要はない、とにかく出て行け、根拠がない」と書くしかないでしょうがね。

そして、もしもイラクが自前の治安部隊確保に失敗すれば、無政府状態と化す可能性が出てくる。かつてのアフガニスタンのように、テロ組織は往々にしてそういう場所を聖域にするものであり、それこそが私が書いた「平和な世界がテロでグダグダに」ということ。あなたは MNF-I の存在そのものが世界にテロを生んでいるかのような言説を垂れ流しているけれども、実際問題、イラク以外の場所で MNF-I の存在と確実にリンクして発生したテロ事件がどれぐらいありましたか ?

イラク以外でも、それぞれの国家が自力でテロ対策を講じられるようにということで、たとえば TSCTI みたいな構想が進められている。そんなニュースは御存じないでしょうけれど。

>の答えは、誰も取り上げてくれない。でよろしいね。

私は「(あなたが主張するように) とっとと逃げ出すような国のいうことなら、誰も聞かないだろう」と書きましたが、何か ? カナダの先生並みに読解力が怪しいですね。

あと、こちらにも目を通しておいた方がよろしいかと思いますよ。コメントすることまでは求めませんが。

http://d.hatena.ne.jp/settu/20061217

Posted by: 井上 | Dec 18, 2006 10:37:26 AM

ああそれから。

自分が気に入らない行為を支持する人のことを「ばか」呼ばわりするような御仁は、多数の支持は得られないと思いますよ。老婆心ながら。

Posted by: 井上 | Dec 18, 2006 10:42:32 AM

おおっと、大事な話をひとつ忘れていた。

「自衛隊がイラクから撤収しないと日本が焦土になる」のはなぜですか。私はずいぶんと考えたけれど分かりませんでした。ここはひとつ、言い出しっぺにきちんと説明していただきたく。

Posted by: 井上 | Dec 18, 2006 10:51:26 AM

>Posted by: 野原燐 | Dec 18, 2006 9:51:34 AM

野原さん、『リアリズム』とやらについて何らかの釈明を求めます。

http://obiekt.seesaa.net/article/29501363.html

野原さんの言うリアリズムとは、現実を無視しています。

Posted by: JSF | Dec 18, 2006 6:55:14 PM

http://d.hatena.ne.jp/noharra/20061129#p2

>イラク人は誰も陸自の復興支援に感謝していない。

>「大多数の住民が陸自の復興支援に感謝している」

>というのはソースのない、産経新聞がそうであって

>欲しいと望んでいる虚像にすぎない。

野原さん、ちょっとその認識は問題外です。・・・それではソースを差し上げますね。

■陸自のサマワ駐留、住民の7割が評価 現地世論調査

http://www2.asahi.com/special/iraq/TKY200608300426.html

ソース元は朝日新聞です。

Posted by: JSF | Dec 18, 2006 7:07:17 PM

それじゃ私も。

(12/2)イラク外相、日本に協力継続を要請

http://www.nikkei.co.jp/sp1/nt57/20061202AT2M0103702122006.html

ソースは *産経じゃなくて* 日経です。

そもそも、繰り返しになりますけれど。

・12/9 付の御自身の日記では、イラク人の「事態の解決は,ブッシュ政権とイラク人に任せてください」という発言を引用 (ウェブ魚拓は確保済み)

・さらに、せっつさんのところでは「『アメリカが撤退すればすべては解決する』のかどうか ? という問いに対する答えは『否』であらざるをえない」と発言

その一方で、「根拠がないからアメリカは出て行け」という時点で支離滅裂ですよ ?

Posted by: 井上 | Dec 18, 2006 7:42:17 PM

一点だけ。

・さらに、せっつさんのところでは「『アメリカが撤退すればすべては解決する』のかどうか ? という問いに対する答えは『否』であらざるをえない」と発言

その一方で、「根拠がないからアメリカは出て行け」という時点で支離滅裂ですよ ?(井上)

やれやれ。これが支離滅裂とはどういう頭脳だろう!

『アメリカが撤退すればすべては解決する』のかどうか ? という問いに対する答えは『否』。

あたりまえでしょう。アメリカが撤退したってすでに死んだ人が帰ってくるわけじゃなしすべてが解決することなどあるわけがない。

井上さんの場合も『アメリカが撤退しなければすべては解決する』のかどうか ? という問いに対する答えは『否』。じゃないの?

議論をするなら論理的にお願いします。

Posted by: 野原燐 | Dec 18, 2006 8:31:00 PM

待ってくれ、治安を悪化させているのはテロリストではないのか?

Posted by: 遊び人(ネタ係 | Dec 18, 2006 8:37:06 PM

あなたは現に、「ブッシュ政権とイラク人に任せてください」という発言を御自身の日記に引用している。この発言に反対だという意味で引用しているようには見えませんが ?

あなたがこの発言に反対だというのであれば、件のイラク人は日本まで来て余計な発言をしやがって、とあなたが考えていることになりますが、それで正しいですか ?

後者についていえば、「撤退による解決 = 否」であれば、解決のためには撤退はまかりならぬ、ちゃんとケツを拭けということになる。仮にすべて解決できないのだとしても、部分的にでも解決できるのなら、いた方がいいということになる。

ところがあなたは、アメリカがイラクに関与する根拠がないと主張する。アメリカが撤退しても解決しないけれども、アメリカはイラクにいてはならないといっているのですよ ? どこが論理的ですか。

それから、焦土の件はどうなんですか。説明できずに逃げますか ?

Posted by: 井上 | Dec 18, 2006 8:42:36 PM

>遊び人 さん

少なくとも私は、テロリストが自由に活動できる環境を作ってしまう方が、よほど「悪への加担」だと思うのですけれどねぇ。テロリストに、自由に活動できる聖域なんぞ与えてはならんのです。

もっとも、野原氏にかかると「MNF-I がいるからテロリストを呼び込んだんだ、MNF-I の存在が災厄を呼んでいる」とかなんとか主張しそうですが。でも、アメリカがいないのにテロリストが陣取ってしまっている国は幾つもありますよ。

とりあえず野原氏は、Jane’s Defence Weekly と Jane’s Intelligence Review を、過去 10 年分ぐらい読んだ方がいいんじゃないかと。

Posted by: 井上 | Dec 18, 2006 9:12:02 PM

ちょっと支援射撃をば。

>『アメリカが撤退すればすべては解決する』のかどうか ?

>『アメリカが撤退しなければすべては解決する』のかどうか ?

答えは両方とも『否』でしょうけれども、このような極論の提示は論理的ではないと思いますよ。白か黒かで語れることはオセロくらいなものです。

ご本人も『あたりまえか』と仰っていますので、建設的ではないとはお判りなんでしょうけれども(つまり皮肉なんでしょうね)。

野原氏へ、ごくごく抽象的な質問ですが、今すぐ米軍が撤退してイラクの内戦状態を放置することと、駐留を続けることで米軍主導の準安定状態を維持させることと、どちらがイラクの人々の物的、人的損耗が少ないと思いますか?

井上氏が丁寧に軍事ニュース欄でイラク事情をまとめてくださっていますので、ご参考にご覧ください。

ああ、JDW、JIRも読んで頂けると尚いいですね^^

また、イラク戦争を引き起こしたのは米国であり、混乱を招いたのも米国であるとして、当事者たる米国にはイラク関与への『権利』ではなくて『責任』があるとは思いませんか?

あぁ、少し大胆になってしまいました。申し訳ありません(笑)>井上氏

Posted by: トンデモ騎士 | Dec 18, 2006 9:19:54 PM

どうも話が通じませんね。

>>>『アメリカが撤退すればすべては解決する』のかどうか ? という問いに対する答えは『否』。

という命題を井上氏は、あたりまえだとは思わず、撤退についての何らかの思想の表明と受け取った。どういう頭脳だろう!さて

続き(1)

>>>全世界の問題です。(井上)

○○  全世界などという主体は存在しません。あなたは何が言いたいのですか?(野原)

>>言葉尻に難癖をつけることしかできていない。(井上)

真面目に議論してください。

「全世界の問題です。」という断言がどういう意味なのかあなたは説明する義務があります。

(2)

>>ところが、それに対するあなたの回答は「語る必要はない」という *逃避* でしかない。そ

それが「逃避」に見えるのは、全世界なんていうばかげた主体の存在するあなたの脳髄の中に過ぎない。

(3)

>>「日本で犯罪が増えて治安が悪化しているから、日本の警察に犯罪を取り締まる資格はない」といっているのと同じです。

統治主体は不変だという前提の上での判断ですね。撤退という選択肢は井上氏の脳髄の中にはないのですね?

(4)

>>私は「イラク自身の治安部隊の育成が必要だ」と言い続けている。

なぜいままで成功しなかったのかも検証は一切せずにね。

(5)

>>の答えは、誰も取り上げてくれない。でよろしいね。

井上さんの応答は答えになっていないですよ。

わたしはあなたの議論が成立する前提がどういうものなのかについてだけ、議論したいのです。

Posted by: 野原燐 | Dec 18, 2006 9:51:05 PM

全世界 (the whole world という意味ですけど) 云々については、画面を上の方にスクロールすればちゃんと書いてありますが、あなたの Web ブラウザ画面にはスクロールバーがついていませんか ?

イラク治安部隊の育成がうまくいっていないのなら、その原因を調べて対策をとるのが正しい対応策。「イラク自身の治安部隊育成が必要」という私の主張については否定的なようですけれど、それなら、イラクの治安を他の誰かに任せろというのですか ? 具体的には誰に ? 何もしないのが解決だとかいわないでしょうな ?

最後に (5) については、答えになっていないという答えが答えになっていないですよ。私の見解は明快であり、「自分だけとっととイラク問題から逃げ出すような国のいうことは誰も聞かない」。いいかえれば、この件にコミットすることで日本のプレゼンスや発言力が増すということ。世界政治の力学ってのは、そういうものです。

なんて書くと、今度は「世界政治とは云々」とやられそうですけれどね。

そもそも一連のやりとりは、「アメリカがイラクでやらかしたしくじりをどう解決するか」という件に言及した「摂津堂」のエントリから始まっている。だから、このことこそが議論の前提なのに、「どう解決するか」については言及しないで「アメリカの駐留根拠」だの「悪への荷担」だのといった台詞を壊れたレコードのように繰り返し、さらには「自衛隊を撤収しないと日本が焦土になる」なんて珍説を唱えているあなたこそ、議論が成立する前提を破壊しています。 over。

Posted by: 井上 | Dec 18, 2006 10:12:12 PM

1>>>『アメリカが撤退すればすべては解決する』のかどうか ? という問いに対する答えは『否』。

???その前に「自衛隊は米国の後方支援を辞めるべきだ」ってやってなかった?

2>>ところが、それに対するあなたの回答は「語る必要はない」という *逃避* でしかない。

俺は超能力者じゃないので語らなかったことに対しては推量までしかできません。

3>>(略)

日本の警察がどこに撤退するのか。米軍がイラクからただで撤退させて貰えるのか。そこの所をよろしく。

4>>私は「イラク自身の治安部隊の育成が必要だ」と言い続けている。

こら何年も育成を続けなきゃどうにもならんよな。ガンスリの福祉公社じゃあるまいし、イラクの治安部隊が街で見かけたテロリストを片っ端から殺して回るってわけにはいくまいよ。(そして街のテロリストを殺して回って治安が良くなるって言えるのかはビミョー)

5>>の答えは、誰も取り上げてくれない。でよろしいね。

ヒズボラとイスラエルが争う直前辺りに小泉首相(当時)が「平和と繁栄の回廊」構想を出してた気がするが、誰も取り上げないなんて事があったのか?(確かに俺もうるおぼえだ)

場当たり的なやりとりで遊びたいんだったら、相手選ばなきゃ遊べないにょ。

Posted by: 遊び人(ネタ係 | Dec 18, 2006 10:32:08 PM

素早い訂正ありがとうございます、野原さん。

http://d.hatena.ne.jp/noharra/20061129#p3

付きましては貴方の仰る『リアリズム』についてこちらで語って欲しいのですが。

http://obiekt.seesaa.net/article/29501363.html

>日本本土を焦土と化す為には核攻撃くらいしか手段がありません。

>今の時代だと通常兵器ではまず不可能です。

Posted by: JSF | Dec 18, 2006 10:40:23 PM

んー、野原さんの言いたいことはこういうことじゃないですかね?どうも筋道立てて説明してくださらないので、彼の意見に対する僕の理解。「米軍が撤退してもイラク国内の宗派対立は収まらぬ、内戦状態になるのも確かだろう、しかし米軍が駐留を続けた場合も内戦状態であるのに違いはない。イラク人による治安維持組織の育成も事実上失敗に終わっており、ようするに何をしても手遅れだ」「米軍に自分のケツを拭かせる為に駐留させたとしても、それによって得られる治安維持機能や治安維持組織の育成機能よりも米軍の駐留によって生産される不正と災厄のほうがデカいんだ」と。で、「そういうイラクに自衛隊を送り込んでもイラク人の役には立たん、歴史に汚点を残さんうちにはよ撤退させぃ」ということかと。かなり推測で補いましたが、これでよろしいですか、野原さん?

あと摂津堂さんのところで最初に書かれていた「不正と災厄」について具体的に説明お願いします。よく分からなかったもので。米軍が撤退したらイラクは分裂さえ起こしそうなものですが、それに伴う混乱を考えたらそれを超える「不正と災厄」とは一体なんでしょうかね?あぁ分かった!野原さんが恐れているのは米軍がイラクを平定することだ!でもってあめりかがじしんをとりもどしてあめりかていこくしゅぎとやらにはしって、せかいじゅうにしんりゃくせんそうをしかけはじめるんだ!それでぼうえきまさつでめをつけられたにほんがしょうどになるんだよ!やった!ようやくろじっくがつながったよ!

失礼、最後の最後で取り乱しました。確信犯的に。

Posted by: 出雲 | Dec 18, 2006 11:19:41 PM

そもそも、私は当初に、*野原氏個人に対して*「イラク問題の解決についてどう考えるか」と問うていたのに、それを野原氏が途中から「*日本が* イラク問題について発言しても誰も聞いてくれない」という話にすり変えちゃったんですよねぇ。一応、念のために指摘しときますけど。

Posted by: 井上 | Dec 18, 2006 11:47:21 PM

あ、間違ってました。摂津堂さんのところで

(1A)アメリカ軍の駐留なしのイラクはより多くの不正と災厄にみまわれることになろう。

を明確に否定されていますね。勘違いすみません

Posted by: 出雲 | Dec 19, 2006 7:17:20 AM

とはいえ、野原氏が「アメリカ引っ込め」「自衛隊派遣反対」と叫ぶことで「俺って正義の味方 !」と自己満足しているだけなのは、ほぼ間違いのないところでしょう。これまでのやりとりからして、御自身がこの件の解決について、何か具体的な考えがおありというわけではなさそうですし (出し惜しみするようなもんじゃなし、あれば聞かせてもらえているはず)。

で、私がそれに噛みついたもんですから「井上憎し」とばかりに突っ込めそうなポイントを探しては場当たり式に噛みついて、勝ったつもりになっているのではないかと (だから、毎回のように発言のポイントがコロコロ変わる)。他人の意見にケチを付けるだけでは、ガキの喧嘩と同じです。

で、どうして自衛隊の派遣を続けると日本が焦土になるんでしょうか。わかりません ! ><

Posted by: 井上 | Dec 19, 2006 9:53:15 AM

>で、どうして自衛隊の派遣を続けると日本が焦土になるんでしょうか。わかりません ! ><

 少なくとも野原氏のBlogは炎上しますかね?(ヲ

 それはともかく、「表現方法に明らかな問題がある」とストレートに摂津堂他で指摘されたのに、それに対する回答をスルーしてひたすら自分の意見を主張するのはどうかと思いました。>野原氏(なるほど、それでコメント欄を焦土と化す作戦だなッ!

 

Posted by: ooi | Dec 19, 2006 1:09:22 PM

すでに、御本人自ら「野原燐炎上中 ?」と書いておられます。

http://d.hatena.ne.jp/noharra/20061218/

Posted by: 井上 | Dec 19, 2006 2:20:16 PM

改めて、野原さんの言いたいことを推測。だって野原さん意見を順序だてて纏めて下さらないから。

まずは今後のイラク情勢:「米軍が撤退してもイラク国内の宗派対立は収まらぬ、内戦状態も継続するだろう、しかし米軍が駐留を続けた場合事態は更に悪化の一途を辿るが、米軍が撤退すれば「全てが解決される」ことはなくても、事態は好転少なくとも現状維持はされるだろう」

これは摂津堂さんの所で

>>(1A)アメリカ軍の駐留なしのイラクはより多くの不正と災厄にみまわれることになろう。

という意見を否定されていること、及び、撤退による全解決を否定されていることから。

米軍が育成を進めるイラク人による治安維持組織については「悪化の一途を辿る情勢を見る限り、イラク人による治安維持組織も治安回復に有効な手段ではない。」で、野原さんはイラク人治安維持組織は役立たずで、米軍は役立たずの上に「不正と害悪」をイラクにもたらす、とバッサリ切り捨てた上で治安回復の為に役立つ代案を提示しないことから推測するに、イラクはもう「何をしても手遅れだ」という認識なのかも。だから米軍が出ていって「害悪」をこれ以上垂れ流さなくなれば、イラクは主体的に復興を遂げられると。(ホンマかい?)

で、自衛隊については「イラクに害悪をもたらす存在である米軍をサポートさせる為に自衛隊を送り込んでもイラク人の役には立たないのだから早く撤退させろ」ということかと。手直しを加えてみましたが、これでよろしいですか、野原さん?

あと摂津堂さんのところで最初に書かれていた「不正と災厄」について具体的に説明を重ねてお願いします。ここを明らかにしておかないと、そもそも議論が成り立ちませんから。

私が思うに、米軍はイラクに「不正と害悪」をもたらす存在かどうか、そしてその「不正と害悪」とやらが米軍駐留のメリット(治安維持機能、治安維持組織育成機能)に勝つのかどうかを明らかにする必要があると思うのですが、どうでしょう?

Posted by: 出雲 | Dec 19, 2006 4:49:32 PM

申し訳ございません、訂正します。野原さんの主張を纏めた上のエントリにおいて「イラク人による治安維持組織も治安回復に有効な手段ではない。」と野原さんは判断していると書きましたが、私の事実誤認でした。確かに見た気がするのですが、ソースとして掲げられるページが無い以上、私の勘違いだったのだと思います。

恐らく、

>>米軍(及び米国の組織)の存在は、いままで*2イラクの治安をより悪化させる事しかできなかった。

の「米国の組織」のくだりを読み違えたものと思います。

野原さんの主張を歪曲して他人に伝播させる結果となってしまったことを改めてお詫び申し上げます。

Posted by: 出雲 | Dec 20, 2006 2:35:36 PM

*1:過去1年間、その前の1年間、その前の前の1年間

*2:過去1年間、その前の1年間、その前の前の1年間

noharra 『中道右派さんの主張の一部に

http://d.hatena.ne.jp/noharra/20070321#p6 で応えました。

☆白馬事件の総括方法 について

>>>行為時の正当な権限がない以上、個人犯罪。

エリート軍人が白昼堂々慰安所を開設した行為が、個人犯罪であるはずもない。組織による犯罪である。

>>>Q1:現在の米兵レイプを批判するより先に、

中道右派さんは現在の米兵レイプを批判し、グアンタナモ基地での人権侵害、イラク占領軍の暴虐などを糾弾する立場に立つということですね。大変結構!

>>>事実誤認あり。私は、一部批判のコメントを貴ブログにて数回している。

>>>安倍首相の説明の下手さは説明したはず。

「説明の下手さ」の問題ではないだろう。あなたたちの論理立場に立っても致命的なミスである。

>>>Q2:野原氏は、近代法の諸原則を理解していないのですか?

近代法の諸原則がわたしの議論とどういう関係にあるのかよく読んで応えてくださいよ。

>>>Q3:正確に、売春婦派と呼んではいかがか?性奴隷派の野原さん。

>>>Q4:私は、外国人の妻にはそんなに家事しなくていいよと言われるが

無意味なQを立てるな。

>>>Q5:白人や他のアジア人の外圧を借りるのは、大アジア主義にシンパシーを寄せる私を含む日本人の多くを脱亜論と自主防衛派に向かわせる危険性があることをご存知か?

「大アジア主義にシンパシーを寄せる私」大変結構。で、

 この論理から言えば、どちらかを差別しなければならないとすれば、むしろ中国・朝鮮人ではなくオランダ人、アメリカ人であったはずです。しかし日本人がやったことは反対でした。自国民である日本人だけでなく、国際法違反という声を恐れてオランダ人に対しても一定の遠慮は見せました。しかし「アジア人」に対しては蹂躙しほうだいといった状態でした。

http://d.hatena.ne.jp/noharra/20070309#p5

に対する反論は?

>>>WWⅡ以後でも、民族差別が違法でない国は多かったし、

民族差別を肯定して、慰安婦問題の有責性をかわそうとする「中道右派」氏の「大アジア主義」とは!?

>>>>*5:米国のイラク占領もレイシズムであり弁護できないが、

中道右派氏はマブダチ(奴隷)派じゃなく、イラク占領反対派ですよね?

>>>アク禁しました?

野原はこのブログでアクセス禁止したことは一度もない。

自分の目の前にあるパソコンとネットについても、思い通りにいかないと原因を他人に押しつける「中道右派」氏=“成熟の欠如”に対して、60年以上前のことの真実がどのへんにあるのかというデリケートな議論への寄与を求めるのは無理、なのでしょうね。』(2007/03/21 11:13)

* noharra 『「証拠を出せ」主義者の破綻!

>>>>>>>

未成年の証拠(補充)

http://homepage3.nifty.com/m_and_y/genron/hatsugen/ianfu-mitchina.htm

ミッチナの慰安所業者と「慰安婦」を米軍が取り調べた報告書

更に、この調書に記録された「慰安婦」たちの年齢から、徴募時点ではその半数以上が未成年だったことが判明しています。

本当につまらない。引用の仕方として0点。

引用内容はおそらくサイト下記の書籍の内容をまとめた孫引きのもの。

仕方なく、嫌々ミッチナレポートの要約部分を原文で全文読むが見当たらない。

見落としかもしれないが、字が小さすぎて2度目を断念。

真実存在するなら、おそらく本体にあるのであろう。本体のどこにあるかまで探す義務はこちらには無い。』 (2007/03/16 17:52)

http://d.hatena.ne.jp/noharra/20070314#c1174035137

<<<<<<<<<

引用の仕方として0点かどうなかなど論点ではない。

ミッチナレポートは君たちの好きな「客観的に存在する証拠」である。あなたと(一部の無知な読者のために)それが「客観的に存在する証拠」であることを立証する必要はこちらにない。「客観的に存在する証拠」を堂々と無視して論を立てることのできる〈俺様裁判官〉=〈脳内裁判官〉の面目躍如!!』 (2007/03/21 11:42)

* noharra 『つまらないものでは必ずしもないか。

未成年の証拠(補充の2)

吉見『従軍慰安婦』p42

同    p89,90(日本人)

同    p93,96,101,104,110,123,124 とりあえず。』(2007/03/21 20:12)

中道右派 『5回も投稿して書き込めなかったので、3月15日のエントリに投稿しました。

アクセス禁止は一時的だったのかな?

それとも、書き込み字数制限があるのかな?

何もそういう類の表示がされずに書き込めなかったので、単純なアクセス禁止だと思うけど。』

トラックバック – http://d.hatena.ne.jp/noharra/20070310

* 米下院で証言した慰安婦達のおはなし

* http://d.hatena.ne.jp/nomore21/20070320

* http://d.hatena.ne.jp/nomore21/20070319

* http://d.hatena.ne.jp/nomore21/20070321

* http://d.hatena.ne.jp/nomore21/20070406

順位の成立条件

徒競争は、童子も売柴人もなし得るところであるはずであり、公卿大夫より天子の尊きにいたるまで平等に同一に為しえるのであらねばならぬ。*1

えー、今日は近くの河原で小学校のマラソン大会がありました。マラソンといっても何十キロも走るわけではなく、1年生から6年生が1キロから2キロを走るものです。でもわたしのように運動全般が苦手なものとっては、2キロ(片道1キロ)といってもけっこうな距離です。最初は一団となって走っていますが後半ではもう先頭からビリまで大変な差が開きます。気が散ってまっすぐ走れない子や足にハンディキャップのある子などもいて、最後の2,3人がゴールするのには、それまでの子の倍以上の時間がかかっているようにも見えました。時間もあったので、競争とは何か、といったことをぼんやり考えました。まず何故マラソンなんか参加せなあかんのや、わしゃ嫌じゃ、という反応があります。野原などはまずこのタイプですね。でも小学生たちは内心の思いはともかく、参加に疑いはもってにないように見えました。より強く成ることが善であるかどうかはともかく成長期にゴロゴロしてばかりだとよくないのでたまにマラソンするのは良いだろうと思う。見物にだけ来ていた父母などもついでに、少しは走ってみればよいだろう。「人の天性はさまざまであろう。」というその差異をまざまざと見ることができた。しかし(1)第一の差異は、非参加者と参加者の間にある。非参加者には参加してみれば能力があるものもある。能力があるはずだのに参加しないので本当にそうなのかどうか分からないものもある。小学校にきてない(予め排除されている)ものもいる。この差異は観察できない。(2)第二の差異は、ハンディキャップのある者(1割以下)とそれ以外の間にある。(3)以上二つを除いた上で、可視的に明瞭な差異の序列が現れる。ここでも先頭とビリの間には約2倍程度の速度差がある。練習を繰りかえせばこの差は縮まっていくはずだ。

より早く走ることはまあ良いことである。順位をつけることもいけないことではない。だが期末試験の順位公開はどうか。これはやめた方がよい、という人は多い。良い成績を取ることが善だという価値観が世の中で支配的なのでそれをますます強化するのは控えるべきだ、という主張なら納得できる。

昔は、売柴人と、公卿大夫との間には大きな差があり、同じスタートラインに立ち競争することはなかった。出自によって差別されず同じスタートラインに立つことができるようになってきたのはよいことだ。とそんなことは当たり前か。今王陽明論を読んでいるのだが、「聖人学んで至るべし」誰でも学ぶことによって聖人になることができる、という思想を強く押し進めた点で、王陽明は東洋における反差別思想を前進させたと評価できるらしい。

*1:p72島田虔次『中国における近代思惟の挫折』平凡社東洋文庫。isbn4-582-80716X ただし「格物」とあったのを「徒競争」に入れ替えた。

「近代の超克」

「近代の超克」とは、昭和17年7月(日米開戦の半年後)に文学者・哲学者などで行われた座談会である。それに先立ち、S16.11.26(日米開戦の直前)、いわゆる京都学派の4人の学者*1が集まって「知的な饒舌をもってしゃべりまくった」のが、「世界史的立場と日本」である。

「東洋は近代というものをもたない。ところが日本が近代をもったということが、東亜に新しい時代を喚び起こす、それが非常に世界史的なことだ」(鈴木)*2

 彼らは現状をこう認識する。「日本はアジアにおいて唯一例外的にヨーロッパ近代の受容に成功し(略)西洋先進国に伍しうる強国となった」。日本が近代化したなら、それは普遍的な立場に近づいたということで結構なことじゃないか、戦後的にはこう考える。近代は自明の前提となりそこで思考は終わり、近代は問い返されない。 彼らの座談会に特徴的なことはヨーロッパという言葉が頻出することだ。自明の前提であるがゆえに対象化不可能である「ヨーロッパあるいは近代的なもの」を、目の前に見据え語りきろうとしている。といえばサイードの遙かな先輩とではないかと言えば、決してそうではないと決まった訳ではない。

 世界史とは「ヨーロッパの膨張」によって世界が一つになったことを指す。すると、次ぎに来るべき「世界史の転換点」を展望するためには、「ヨーロッパ的なもの」とは別の文化原理が必要になるはずだが彼らの議論はその点では弱い。*3(彼らの議論自体に当たっていないから断言できないが。)「アジアにおける日本の近代国家化の事実は世界史的意義を有する重大な事件であると評しなければならぬ。(高山岩男)*4」とそればかりが強調される。教師に与えられた価値観によってのみ「優等生」であるものがそのプライドによって教師に反抗しても敗北は必至である。・・・つまるところ、東アジアと太平洋地域を席巻したあの大戦はそう総括されるべきものだ。と言うことになる。というか、戦後日本の右翼というものの根本にもこのパラドックスがある。小泉首相において大きく開花している。

 対抗原理としては次の二つがあげられる。(1)総力戦において、市民的、資本主義的秩序そういう構造をもった国家が崩潰する。近代の世界観が崩潰する。*5(2)共栄圏を建設するとか世界に新しい秩序を建てるとかいうこと。 これが本当かどうかは、当時続いていた<支那事変>によって良くも悪くも検証される。そのことは彼らにもよく分かっていた。

(西谷)今までの支那に対する行動が、外観的には或る程度やはり帝国主義的に誤り見られる外形で動いていた。政策的にもそういう風に見られる形をとっていたかも知れないが……

(鈴木)つまり不透明さがあったんですね。

(西谷)一種の不透明があったと思う。*6

事実は帝国主義であった。つまり共栄圏の実質は存在しない。「そう認めたくない」という気持ちだけが良く現れているこの対話からはそれがよく分かる。

*1:高坂正顕、西谷啓二、高山岩男、鈴木成高

*2:p189子安宣邦『日本近代思想批判』isbn4-00-600110-Xより孫引き

*3:「レトリック以外のどこで「近代」が超えられているのか。(子安)同書p198」

*4:p190 同書

*5:同書p194

*6:p195 同書より

『新潟』ノート2

 詩集『新潟』を読むはずが全然進んでいません。でも3月25日に3行だけで処理した詩行たちに、いまではもっと親しめるようになった、とは言えます。

 第2部「海鳴りのなかを」は、「河口に土砂に埋まった丸木船がある。」*1という挫折を確認するところから始まる。故郷へ海を渡ることを強く思いながら、それはついにかなわないものとしてあるのだ。「海をまたいだ船だけがぼくの思想の証ではない。またぎきれずに難破した船もある。」*2「ぼくが沈んだ幻の八月を明かそう。」*3 ここで、<挫折>は“更に深く穴ぐらを掘らねばならない”そういった営為だと言われる。 ところが比喩だったはずの<穴ぐら>は、「ひしめきあいせめぎあったトンネルの奥で盲いた蟻でしかなくなった同胞が出口のない自己の迷路をそれでも掘っていた。」*4と日本の戦争中の実際の穴ぐら掘りに転換する。ここには註がないが、(約七千人が動員されたという)松代大本営の掘削のことをイメージして良いだろう。「山ひだを斜めに穿ち蛇行する意志がつき崩すショベルの先に八月は突然と光ったのだ。」*5「なんの前触れもなく」輝かしい解放が突然やってきた。その輝かしい八月の光の裏には、原爆の光も焼き付いているだろう。「人が流れとなりはやる心が遠い家郷目ざして渚を埋めた。」*6故郷への熱い大きなベクトルが描かれる。だが「袋小路の舞鶴湾を這いずりすっかり陽炎にひずんだ浮島丸が未明。夜のかげろうとなって燃えつきたのだ。」*7日本の敗戦の直前二五〇万人近くいた朝鮮人のうち半数以上が帰国した。だが浮島丸事件のように帰国の意思が無惨にも中断させられた人々もいた。<ぼく>は彼らと同じように海の底でうずくまったままだ。*8

 2章。「常に故郷が海の向こうにあるものにとってもはや海は願いでしかなくなる。」*9 ところが次ぎに転換がある。「待ち侘びて渚に彫像となった少年のものうい記憶へ終日波がくずれる。」*10海辺で佇んでいる少年は済州島に居るようなのだ。<海の底でうずくまったまま>という比喩が再度現実化される。「測りようのない底へにうずくまる父の所在へ海と溶けあった夜がしずかに梯子を下ろす。」*11「黄ばんだ網膜に古いネガとなって生きている父。数珠つなぎにしばられた白衣の群があぎとを開いたままの上陸用船艇へ間断なく呑まれてゆく。帯のないバジを両手で合わせもち動くコンベアーにでも乗せられたような父が背のびし振り返りそのつどつんのめりつ船艇へ消える。」*12おそらく押さえつけるような沈黙の中で、白衣の群は少しづつ船艇に呑まれてゆく。そして沖へ運ばれる。「日が暮れ日がたち錘の切れた水死人が胴体をゆわえられたまま群をなして浜に打ち上げられる。」*13「この期間虐殺された済州島民の数は73,000人を越える」といわれる被害者たちだ。「潮は満ち退き砂でない浜の砂利が夜をついてごうごうと鳴る。」*14「亡霊のざわめきにもふやけた父を少年は信じない。二度と引きずりようのない父の所在へ少年はしずかに夜の階段を海へ下りる。」*15蜂起とか内戦とかテロリズムとかいくらどぎつい言葉を連ねても足りないほどの動乱。作者は実際その渦中に在った。だが体験したことは書けない、と金時鐘は言う(かもしれない)。金石範が書けるのは体験してないからだ、とは言っていた。金時鐘が書くのはすべてが終わった後の屍体、海の底から浮かびあがり夏のせいで相貌さえ定かでないほど速やかに腐乱してゆく屍体たちだ。だが阿鼻叫喚はない。すべては無言のうちにすすむ。ところで<梯子>(あるいは階段)とは何か?海深く沈められたのは屍体だけではなく、対象化しきれずにその血の滲む肌を無理矢理幾重にも梱包し意識の奥深くに抑圧した時鐘自身の記憶たちである。魔法の階段を通らなければそこにはたどり着けない。

*1:p372『原野の詩』

*2:p375同書

*3:p376同書

*4:p379

*5:p380

*6:p380

*7:p382

*8:p383

*9:p383

*10:p385

*11:p386

*12:p388

*13:p390

*14:p391

*15:p393

バクダッドの良寛

4/17の毎日新聞朝刊によれば、パウエル国務長官は人質になっていた3人について「日本は誇りに思うべきだ」と語ったそうだ。「危険地帯に入るリスクを理解しなければならないが、そのリスクを誰も引き受けなくなれば、世界は前に進まなくなってしまう。彼らが危険を冒して人質になっても、責めて良いわけではない。」と。 Ventureを誉めたたえるアメリカ人らしい発言だ。最悪なのは冬柴と福田などなどだ。

人質も自衛隊も出ていった点では同じで、反対派はいずれも「帰ってこい」「出ていくな」と叫んでいる点で一致している。これは日本以外では異常に見えるのかもしれない。

さて、高遠菜穂子さんなどの行動は、(憲法前文にある)平和実現のための「崇高な理想と目的」をもってなしたものとも理解しうる。しかし、 現地の人々からも見捨てられたストリートチルドレンと遊ぶのを純粋に楽しんでいた、浮き世離れした人というイメージで高遠さんを捉えたい、野原は。バクダッドの良寛さん、ですね。自分の楽しみのための行為だ、ということと世界平和のための崇高な行為だ、と言うことは背反するわけではない。むしろ前者でなければ後者は達成できないのではないか。自衛隊の復興支援は不幸支援になっている(だじゃれはタイプミスのため)。復興支援のためにもヴォランティアの方が小さな予算でよほど大きな効果を上げうると指摘されているが、このことと関係があるのかもしれない。役人のやることは美辞麗句で事実を誤魔化す方向にどうしても流れていくから。

(追記 4/20)

パウエル発言については、http://d.hatena.ne.jp/pavlusha/20040417#p4 には、“「国に帰ってきたらベイビーキラーだのなんだのと陰口を叩かれ、駐車場係の職すら貰えなかった」っていう、Viet-vet(ベトナム帰還兵)のルサンチマン”が言及されていて興味深かった。

素直に考えれば、パウエルは国連主導でのイラク国内の安定を望んでいる。国連自体というよりも、治安悪化でやむなくイラクを去った国連NGOやボランティアグループが大挙して戻ってきてくれないとどうしようもない、と思っているのだろう。日本人もおおむねそう思っているのではないのかねー?

近代とは何か

東洋の近代は、ヨーロッパの強制の結果である。

近代:生産様式、社会制度、それに伴う人間の意識

:封建的なものから自己を解放する過程に、その封建的なものから区別された自己を自己として、歴史において眺めた自己認識   p10

<歴史>そのものが可能になるのはヨーロッパにおいてである

歴史は、空虚な時間の形式ではない。自己を自己たらしめる、そのためその困難と戦う、無限の瞬間がなければ、自己は失われ、歴史も失われるだろう。

不断の自己更新の緊張によってかれは辛うじて自己を保持している

「疑う我を疑いえない」という近代精神の根本の命題のひとつが、そのような状態におかれた(自己をおいている)人間の心理に根ざしていることは否定できまい。

竹内好「中国の近代と日本の近代」の最初の3頁からメモ。*1

*1:『日本とアジア』 ISBN: 4480081046 ちくま文庫。この本を本屋で探しているのですが未入手です。1966年発行の親本を図書館で借りて読んでいます。