トム・ハンドールさんの長い死

2003/04/12 07:46に「Tom Hundallさんがイスラエル自衛隊に撃たれた。」として書いた

http://bbs9.otd.co.jp/908725/bbs_plain?base=188&range=1

Hundallさんですが、長い植物人間状態の後、1月13日とうとう亡くなられたそうです。「トムはイスラエル軍の銃撃から子供たちを助け出そうとしていた時に撃たれました。」

参考url(日本語)

  1. http://www.onweb.to/palestine/siryo/sophie17may03.html(トムのお姉さんのスピーチ)
  2. http://www.onweb.to/palestine/siryo/notagain.html(目撃したIMSメンバーの証言)

1)によれば、(5月の時点で)「IDF(イスラエル国防軍)は、トムが武装し、軍用の迷彩服を着ていて、兵士たちに向かって発砲したという報告を出しています。また、トムが銃撃戦に加わっていたという報告も出しています。」と言っているとのこと。明らかな嘘。

 ところで、2003年12月、トムを狙撃した兵士がイスラエル軍によって逮捕されていることが明らかになりました。おそらくトムの家族と友人たちの不屈の意志がイスラエル当局を追い込んだ効果なのでしょう。

戦争よりも悪いこと

下記の森岡氏の掲示板に今日書き込みました。以下の通り。

http://6113.teacup.com/lifestudies2/bbs

戦争よりも悪いこと 投稿者:野原燐  投稿日:11月25日(火)20時03分35秒

「田中宇の国際ニュース解説」によれば次のような事件があったようです。

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http://tanakanews.com/d1125iraq.htm

9月下旬、バグダッドから北に70キロほどいったイラク中部の町ドルアヤの近郊で、米軍のブルドーザーが果樹園の

木々をすべて根こそぎにする作業が行われた。付近は旧フセイン政権の支持者が多いスンニ派の地域で、米軍に対す

るゲリラ攻撃が頻発していた。米軍は、付近の村人たちを尋問したが、誰もゲリラの居場所を教えなかったため、その「懲罰」として、村人たちが所有するナツメヤシやオレンジ、レモンなどの果樹を、根こそぎ切り倒した。(関連記事)

伐採するなと泣いて頼み込む村人たちを振り切り、ブルドーザーを運転する米軍兵士は、なぜかジャズの音楽をボリューム一杯に流しながら伐採作業を続けた。ナツメヤシは樹齢70年のものもあり、村人たちが先祖代々育ててきた果樹園だった。伐採を止めようと、ブルドーザーの前に身を投げ出した女性の村人もいたが、米兵たちに排除された。

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田中氏が指摘するように、これはイスラエルによるパレスチナ人のオリーブ林の破壊に似ている。だが私の思うにはこの方がもっと悪い。イスラエルはパレスチナ人を予め狭い地域に閉じこめた上で彼らの生活手段を奪っており、パレスチナ人はイスラエル社会に依存して生きるか難民としてその地域から逃げるかを迫られる。(うまくいくかどうかはともかく)イスラエルのやり方には(少しは)合理的根拠がある。しかし、上記の米軍のナツメヤシ破壊はどうだろうか? 広大なイラク全土に住むイラク人たちに反米の怒りをかき立てる以外にどんな効果があるのだろうか。

野原燐

イラク直接選挙でいいのでは?

 酒井啓子さんの『イラク 戦争と占領』岩波新書新刊isbn4-00-430871-2を買った。普通の本屋の一番目立つところに沢山積んであった。良い本なので沢山売れるといいなと思います。さて、1/15日にも「イラクでは、スンニ派とシーア派は、ずーっと協調してやってきた。いまでもそうだ。」というイラク人女性の発言を紹介した。この本のp168にも「スンナ派もシーア派もない、イスラームはひとつ」というシーア派宗教行事でのスローガンが紹介されていた。1920年イラク建国前夜、イラク国内の諸勢力は一致団結してイギリスの直接占領を覆していく。そのきっかけになったのは、スンナ派とシーア派が合同で宗教行事を執り行ったことにある。すなわち宗派の別を越えることはナショナリズムの根幹にかかわる一番大事なことである。*1

 統治評議会発足直後シスターニー師は「憲法はイラク国民によって選ばれるべきであり、外国が定めるものではない」とのファトワーを出した*2

 最近(1月)のニュースでは、

(1)【バグダッド12日共同】イラクのイスラム教シーア派最高権威、アリ・シスタニ師は11日、連合国暫定当局(CPA)の主導で決まった間接選挙による暫定政権樹立に反対し、直接選挙を求める声明を発表した。

(2)【ワシントン=近藤豊和】イラクを統治する米英主導の連合軍暫定当局(CPA)のブレマー代表は十六日、ホワイトハウスでブッシュ米大統領と会談後に会見し、イラク暫定国民議会の選出問題で多数派のイスラム教シーア派が求める直接選挙は拒否する意向を表明した。

以上のように「直接選挙を求める」イラク人勢力とそれを承認しない占領当局という構図があります。前者の主張は「しごく真っ当な民主主義手続き」の要求だ、と酒井氏は評する。イスラムでも日本でも西欧でも民主主義とは何かについてイメージが違うわけではないのだ。ところがアメリカは違う。「アメリカは戦後のイスラーム勢力の台頭を見た瞬間に、即座の「民主化」がもたらす「イラクのイスラーム政権化」の危険を察知し、「イラク国民の政治参加」のオプションを閉ざしてしまったのである。」*3イラクに民主主義をもたらしにやってきたはずのアメリカが、である。結局の所、(サイードが強調したように)アメリカはイスラムに対し無知で偏見を持ち、その結果「すべてのイスラーム的なものの台頭に対して過度に敏感な反応をして」、事態を「文明の衝突」化してしまう。

 もう一点この本では詳しく書かれているわけではないが、重要だと思うのは、「市場経済化」至上主義を強く推進しようとしている点だ。「生活インフラの回復すらままならない現状で、アメリカが唯一熱心に行っているのはイラク国営企業の解体と民営化である。」*4理念に凝り固まった頭は失敗を認めることができない。

*1:cf同書p185

*2:同書p204

*3:同書p207 地方における草の根民主主義によって選出された知事をアメリカが排除したことについては、p137

*4:同書p227

外務省職員の死から

え、わたしは<悼むな>派です。叩かれるのは嫌だが、旗幟は鮮明にしておこう。昨日書いたあるところに書いた文章と7月にある掲示板に書いた記事とを貼ります。

酒井啓子

下記に酒井啓子氏の文章があった。

http://www.be.asahi.com/20040110/W12/0022.html

カイロにあるアメリカン大学に勤務していた普通の女性が、アメリカがイスラエルの不正に荷担し続けたため、アメリカという看板を背負ってしまったただそれだけのために、どれだけ日々の困難を味あわなければならなかったか、を書いてます。

http://d.hatena.ne.jp/kitou/20040111 に紹介されていた。

アナキスト?の意見 投稿者:野原燐 投稿日:2003/11/30(Sun) 22:31 No.44

 突然失礼します。問答有用掲示板の「イラク日本人大使官員の犠牲は私の身代わり」発言にRESしようとしましたが、わたしのブラウザソフトが悪いのか書き込めませんでした。ここに書き込ませていただきます。「哀悼の気持」を口にすべきではないとわたしは思う。

|突然結論になりますが、MMさんやSSさんのように日本人であることを拒否した人が、|日本の将来について何を言っても説得力は無いのでは…、ということでした。

 わたしはべつに日本人であることを拒否しているつもりはない。ただし、日本という視点から物事を考えるべきだ、という発想には拒否感を持っています。わたしは権利が無いとは思っていないが(税金払っているからね)、「日本の将来について何かを言」う場合、それでも結局は“きみたちの国だからきみたちの好きにすればいいが”という気持ちを持ってないこともない。

              野原燐

>>亡くなられたお二人の方に、心からお哀悼の気持を持っております。

わたし(野原)の気持ちをここに書くつもりはない。思想の問題としては、パレスチナや北朝鮮の死者(可視のまた不可視の)より今回の二人の日本の公務員をより大きく悼まなければならない理由は存在しない。

ビラぐらい受け取れよ

 今日夕方雨はなんとか上がったもののそれでもかなり寒かった。大阪駅でビラを撒いてきました。ビラの裏側は「STOP THE APARTHEITD WALL!!」と壁の写真があり、「Gates are for animals, not for people.」とある。表は「イスラエルはパレスチナ占領地からの即時撤退を!」とある。<パレスチナ平和を考える会>のビラです。わたしがよくビラとか撒いていたのは20年以上前で、その時は時と場所にもよるが渡した人の8割近くが受け取ってくれたようにも思う。今日ビックリしたのは受け取ってくれる人がほとんど居ないことだ。20人か15人に一人くらいしか受け取らない。半分以上の人は会釈してくれるので礼儀正しい方なのだが・・・ ビラは受け取るものだと私の中ではそれが当たり前だと思っていたので、大袈裟に言えばショックでした。民主主義の基礎は言論の自由だとか言っても、だれもそんなことは信じていないのか。建前としてであっても民主主義を支持している以上、ビラくらい受け取るべきだ、と私は思う。

 イスラエル-アメリカ-日本の情勢がどこにあり、そのなかに「イスラエル政府は占領地から即時撤退せよ!」という(極端なと言われてしまうだろう)スローガンを提出することが適切なのかどうか、という疑問はありうるだろう。わたしはこのスローガンで良いと思うが。

「国民は君を悼まない」(7/28)

KKさま 横RES失礼します。

| 私の提案は、派遣予定自衛官の全てが、派遣を拒否すべきだというものではなく、各人がその意義について自分自身で考え判断して、そ

| の上で従軍しないことを選択する人があってもこれを認めるべきだという主張です。

| つまりイラク従軍は自衛隊内での志願制とすべきという提案です。

公務員は一部に対する奉仕者で有ってはならず、全体に対する奉仕者でなければならない。ですから今回の自衛隊派兵が国益に反すると考える(あるいは<自衛>という大義に反すると考える)自衛官は直接の上司の命令より、自己と国民全体との直接的関係を優先すべきです。そう思うので上記のKKさんの意見に賛成させていただきます。

わたしが数日前から思っていたのは、死にたくない自衛官は退職するべきだということでした。はっきり反対する国民は半分以下ですが、派兵に大義があると考えている国民は1割以下じゃないかな。そんなとこ行って死んでも犬死です。

「行く以上は国民の理解が欲しい」なんて甘ったれたことを言うんじゃない!!もし死んだら自己責任であり「国民は君を悼まない」ことを、予めはっきり言っておかなければならないと思う。

                   野原燐

Re:「国民は君を悼まない」ー少なくとも悼む者はいる(7/29)

|野原さん、はじめまして

TTさん はじめまして  「悼む者はいる」のは真実。

「悼ない者がいる」のも真実です。しかるにあなたは、悼まないものを「心の貧しさ」と非難する。あらためてお聞きしますが、「悼まないものは心がの貧しい」、と主張されますか?

|何が国益かどうかは後にならなければ判りません。

判らないといいたいのなら後になっても判りません。

|今回の法案、派兵には反対ですが個々の自衛官に好き勝手にしろとは言いません。

「好き勝手にしろ」とは言っていません。市民の重大な権利侵害に対しては、命令だけでなく「自己判断」という基準もクリアーした場合にだけ行えと言っているのです。

|シビリアンコントロールも何もありゃしない。

シビリアンコントロールというものはわが「大東亜戦争」の無責任な拡大に歯止めを掛けるべきだった、という反省において強調されます。わたしの主張は少なくともこの「歯止め」と整合的です。

| 自衛隊員の友人や身内に自衛官がいる友人もいますが、今回のことだけでなく自衛官はそのつど仕事に挑むときやはり覚悟をしています。そうした覚悟を無駄とみる心の貧しさには悲しいものがあります。

反対でも命令なら行くのですか? ふーん・・・

                野原燐

現在のイラクへの出兵問題について

1)アメリカのイラク出兵に大義が在ったかどうか?という論点はしばらく置く。

これは(70年ほど前の)日本の満州進出(侵略)が悪だったということを全面的には前提にしない、ということとパラレルである。(野原は悪だったと認めている、と言っても良いのだがあえて言わないでおく。)

2)現在強調すべきは、次の点である。

  1. 米軍はナツメヤシの破壊を行っている。
  2. 住宅地を空爆するという作戦を行っている。

http://www12.mainichi.co.jp/news/search-news/892243/83C838983N-120-124.html

米軍が「アイアン・ハンマー」(鉄つい)と呼ぶ新たな掃討作戦は、11月になって始まった。航空戦力の使用には、低空飛行しながら集中砲火を浴びせるAC130、戦車の装甲も貫く機関砲などを搭載したA10攻撃機、最大1トンにもなる大型爆弾、精密誘導ミサイルなどが含まれる。また、抵抗勢力が潜む家屋を確認すると、本人らを殺害・拘束するほか、住人家族を追い出したうえで建物を破壊している。ポスト紙が自宅を失った人物の怒りの声を伝えながら「イスラエル軍と似ている」と指摘するのは、こうした強引な手法だ。

  3.今回の戦争で劣化ウラン弾を使用した。

http://www12.mainichi.co.jp/news/search-news/892243/83C838983N814097f289bb83E83898393-0-8.html

http://www12.mainichi.co.jp/news/search-news/892243/83C838983N814097f289bb83E83898393-0-7.html

3)以上の三点により現在の米軍の粗暴な態度がイラク人の反感を買っていることは明らかである。日本政府はこの三点についてUSA当局に強く申し入れ納得のいく回答がない限り出兵すべきでない。

12/6の毎日新聞の酒井啓子さんの記事でも、スンニトライアングルに対する米軍の攻撃がイラク人の反占領感情を高めている。掃討作戦の過程で行われる米軍のイラク人に対する粗暴かつ強引な捜査、拘禁が反発を生む。生活基盤が回復しないことへの不満。などを挙げて、米軍の同種と見なされる以上、自衛隊はイラク人の反発の対象になり現地の治安を悪化させる効果さえ生む。と論じている。さらに、社会不安の原因である失業問題克服のためには雇用を創出しなければならないが、アメリカは民主化の名の下に経済自由化を急ぎ逆に失業を増大させている。と書いている。ただ自衛隊派遣しないだけでは事態の改善は望めない。積極的に米軍の統治政策の失敗を正すべきだ、と。酒井さんはサイードなどとは自ら一線を画す慎重な学者です。その彼女がここまで断言するほど米軍による統治はひどいということなのだろう。自分の身勝手な価値観を押しつけることを普遍性であるかのように勘違いする事に慣れ「歓迎されるはずだった」という思いを棄てきれないまま占領を始めてしまった。かって中国大陸における日本軍もそうだったのだろうか。「テロ」という言葉を使うことを躊躇しない人たちは、かって日本軍に対する攻撃はすべて「匪賊」によって行われていたのだということを思い出してほしい。