老人は堂々と年金を受け取り遊ぼう!

・ある人Aは日本政府が、老人に対して年金など百兆円もの支出をしているのがけしからん!老人に対する支出は抑制しろ、みたいなことを言った。
・また、老人に金が支出されているがために、中高年が働いても報われない。老人によって中高年が搾取されているのだ、という人もいた。

・ある人Bは、いきなり私(69歳)を老害と呼んだ。そして「65歳すぎれば年金だけでのんきに生きてけるのが当然だ」という私の感覚に対して、そういう常識を持っていることが許せないと考え、主張し続けた。

・わたしはまだ20年以上生きて勉強し、遊び続けたい。したがってこのような老人差別をなくしていかなければいけないと考える。
・ある人Bは、いきなり私に「働け!(年金を頼るな)」と言った。これに私は腹を立てた。
https://twitter.com/nyohhiroki/status/1538511444265734144 nyohhiroki氏 「働けるのに働かず、社会保障の受給を優先する。/年齢を理由にするならそれは老害だよね。/儒教を勉強する前に働けよ。」

この人に、働けとか言われる必要はない。そもそもこの人は自分で自分に「働け」と強く命令しているのか?それはただの愚か者ではないか。人間は遊んだり、怠けたりしながら、しかたないから生きるため(収入のために)に働くものだろう。それが正しいと言うつもりもないが、「働け」だけが正しいというのは経営者あるいは上司あるいは先生だけの思想である。たまたまこの人がそういう思想しか知らないのは可愛そうなだけである。

・ただし、Aさんの提示した図表の百兆円もの支出は確かに多いことは多い。
こちらにあるが、2021年 福祉その他:30兆、医療:40兆、年金:60兆弱、計130兆円となっている。
https://www.mhlw.go.jp/content/000826257.pdf
参考: https://twitter.com/watarinigou/status/1538345307997892609
・これをどう考えるか?私は医者に行くのが嫌いだ。しかし世の中の老人はそうでもなく、暇なので(あるいは不安を抑えるため)医者にかかるのが好きな人も多い。ただそれは各個人の問題なのですぐには抑えられない。
・私には義母と義父が居て数年前になくなったが、彼らの最後は対照的だった。義母はたまたまあまり良くない病院に入院してしまい、寝たきりになってしまい、経管栄養補給でそのままベッドから出られず3年ほどしてから亡くなった。義父は入院もしたが、すぐにでてきて、ある介護施設に入所していねいに介護してもらっていたが2年経たずになくなった。義母の方が明らかに質の低い医療・介護しか受けられていなかった。にもかかわらず、というよりそれゆえに義父より長生きした。強制的に栄養補給されベッドの上で生きていくことは刺激もすくなく、その代わり危険もなく命を永らえることだけはできる。
・老人の入院者:75歳以上で、約70万。
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/kanja/17/dl/01.pdf
ただし、このうち生命の危険があるは7.1%、残りは「生命の危険は少ないが入院治療を要する」などである。「受け入れ条件が整えば退院可能」が14%ある。
・・日本人の平均寿命は80-87歳、健康寿命は72-74歳とされる。
日本の平均入院日数は約33日で欧米より3倍ほど長い。
https://zuuonline.com/archives/207608
・特に、日本の精神医療病床数、入院期間とも先進国で突出して多い。
このたび、厚生労働省の有識者検討会が精神医療の報告書をまとめた。
「日本の精神医療は偏見や過去の隔離収容政策の影響で、国際的な遅れや人権侵害が指摘されて久しい。病床数、入院期間とも先進国で突出し、身体拘束や施錠部屋での隔離は各1万人を超える。
主因の一つが、医療保護入院である。精神保健指定医1人が必要と判断し、家族らのうち誰かが同意すれば強制的に患者を入院させられる。精神科の入院患者約27万人の半数近くを占めている。
諸外国では、施設ではなく地域で暮らしながら治療するのが主流になっている。強制入院が広く行われている日本の現状は異常で、廃止に向けた検討は欠かせない。」とされている。
誰のための長期入院か。患者のためではない。膨大に存在している精神病院を維持運営していく、病院経営をまもるためだ、という側面が強い。
https://twitter.com/noharra/status/1538434674187714566

・日本には優れた医療制度がある、その制度にのっとり患者(対象者)のためのサービスはできるだけ手を抜いて、長期入院(収容)させればまるもうけ、ということになる。これは医療だけでなく老人福祉・介護などのために制度を作った場合も同じである。さらに、「業界」が成立すれば厚労省や他の業界との癒着的関係も成立していく。
医療:40兆、福祉その他:30兆、と書かれているなかにはそのような、質が良いとはいえない金儲け主義によるものも含まれている。そしてそういう勢力は「生かさず殺さず」身体をベッドの上に寝かし続けておくことによって、日々お金が自動的に入ってくるのである。

・百兆円もの支出、つまり老人が一方的に利益を得ているのがけしからん、とある人Aは老人攻撃を煽っている。しかし、百兆円もの支出のうち大きな部分は業者が利益を得ているのであり、その質を高めることによってその支出を削減していくことはできるはずだ。
やみくもな老人攻撃は役に立たない。
・さて、それにしても体力、気力が弱っていくなかあと20年も生きていくのは大変である。一番大事な問題は社会的孤立であろう。特に男性の場合、妻がなくなれば地域に友人もおらずひとりぼっちになってしまうことが少なくない。
・Bさんは私に「働け!(年金を頼るな)」と言ったわけだが、その根拠は人は自立した存在であるべきだという思想がある。身体の健康の面でも、経済的な自立という面でも。Bさんはまじめなので自分で働いて生きるという思想を譲ることができない、そこで年金という制度が理解できないのだ。

・わたしだけでなく人口の2,3割が長い長い老年期を生きなければならなくなったのに、思想的にその用意ができていない。
たぶん、わたしたちはもっと気軽に助け合って、買い物の手伝いをしたり、電灯が切れたら付けてあげたり、一緒に食事したり、子供にかえって一緒に遊んだりすることができるようにならなければならない。なにしろまだ死ぬまで、20年も30年もあるのだ。恥ずかしいが今から変わっていきたい。

最初のきっかけになったのはこのツイート:おきなわの渡さん(Aさん)。
・貴方にとっては80歳の老人と20歳の若者の命の価値が同じなんですか。 https://twitter.com/watarinigou/status/1537277524543414272