『ダッカへ帰る日--故郷を見失ったベンガル人』という新刊本が図書館にあった。しげしげ見たのは、「ダッカ」「ベンガル人」という言葉がよく分からなかったからです。知らない言葉に惹かれる性癖がある。それで駒村吉重氏著のこの本isbn4-08-781300-2 を読んだのだが、なかなか良い本でした。日本で不法残留していたバングラデシュ人の兄弟が、職場とのトラブルや裁判に巻き込まれたりしつつ母国に帰るまでを書いている。「母国に帰る」といっても、金時鐘さんのようなものすごい思いこみは皆無だ。彼らはすでに日本で10年以上過ごしてきた。なるほどそれは、いつ強制送還されるか分からない不安定な生活であり、またそもそも金のための出稼ぎにすぎなくもあっただろう。だか12年だけ日本で暮らした彼は言うえええ「おれはいまなにか考えるとき、半分日本人の考え方なの。どうしてもそうなる。だから、家の人にどんなに自分の気持ちや考えを話しても分かってもらえない。でも、日本人のあなたならわかるでしょう」と。
工場労働などと違い、わたしたち都会の消費者のすぐ隣、外食産業で彼らが沢山働いている(いた)ということは知らなかったので驚いた。それと当たり前の事ながら、不法残留の疑いは感じながらなぜ経営者が彼らを雇うのかというと彼らの方が日本人よりよく働くからだ、ということ。決して外国人だからより安い賃金で使いつぶせるから、といった理由ではないということだった。