刑事被告人となった後に

松下昇 『概念集・5 ~1991・7~』から、p25「裁判提訴への提起」の前半部分を掲載する。これは過渡的な掲載です。

裁判提訴への提起

 解雇処分を受けた場合に地位確認の仮処分申請や解雇取消の請求を裁判所の民事部へ書面でおこない、法廷で処分の不当性を明らかにする方法をさすことが多い。もちろん裁判提訴の一般的な概念としては、警察ないし検察へ何かの事件の被害者として告訴したり、何かの不正を知った公務員として告発することを通じて刑事裁判を成立させることも広い意味で(かつ、身にしみて影響を受けてきた私としては特に)裁判提訴の範疇に入るし、民事においても、弁護士会などの無科法律相談に持ち込まれるテーマは離婚や交通事故が多数を占めており、これらのテーマが大衆にとっての裁判提訴のイメージに密接に関わっていることは確認しておいた方がよい。

 このような確認の範囲からすると、冒頭でのべた解雇処分などにおける裁判提訴は先進的かつ自明の対応と視えかねないけれども、六○年代末以降の闘争過程においては必ずしもそのように把握されてきていない。共産党は別として、闘争参加者の基本的な姿勢は、活動の全領域において裁判所を含む国家権力の介入や、それへの依拠を拒否することであり、この姿勢は処分に対しても、流血を伴う党派闘争においても維持されてきた。私自身も七○年の懲戒免職処分に対して取消請求の裁判提訴をこれまでおこなってはいず、それは前述の姿勢の根拠への共闘からであるが、しかし、だからといって他の人の処分に対する裁判提訴を否定的には判断していない。判断の基準は次のようである。

①裁判提訴が闘争の問題点を闘争現場を越える広い場へ拡大し、その波動を闘争現場へ還流させうる時には意味がある。(ただし、現在の裁判制度や裁判官の良心を無批判的に信頼して勝訴を期待するのは論外であり、結果的に勝つためにもこれは鉄則である。)

②〈民事〉への裁判提訴は、できれば自分が〈刑事〉事件の被告人となった後で(A)、法律の専門家である弁護士に依拠せずに(B)おこなうのがよい。(A)は時間的な前後というよりは、存在の仕方の前後でいっている。なぜなら、現場ないし法廷でいつでも国家の秩序や法と闘う準備のあるレベルでこそ、裁判提訴によって(さえ)闘争の意味を深化~拡大させうるからであり、(B)は、大学闘争の世界史性は専門のジャンルの解体を前提としつつ法の体系と秩序に立ち向かうことを不可避とするからである。(ただし、この意味を部分的にせよ共有する弁護士との共闘の可能性は残しておく。)

③大学闘争とよぱれるものの特性の中でこの項目と関連するものを指摘すると、問題点をとらえる方法自体の情況性や自らの関わり方を問題点に繰り込まざるをえない構造に出会ってしまうことと、発端の問題点を追求する過程が新たな問題点を作り出していくことである。従って、発端のレベルで裁判提訴に意味があるかどうかを固定的に判断するのでなく、裁判提訴を媒介~逆用して何を作りだしていくかということを常に構想している必要がある。この場合、波及効果の範囲を事件の幅だけでなく、可能な限り広く深い領域との関連で構想し、成果を開示していくことが望ましい。(なお、環境破壊、原発、選挙権などに関する共同訴訟の可能性と限界については直接討論したい。)

漢字の数

当用漢字というものは、1946年内閣から告示された1850字をいう(らしい)。今小学校では約千字習う、残りは中学で覚えなさいということか。ところで外国ではどうかというと、と中国と台湾はほぼ同じで、小学校約2500字、中学校約1000字である。台湾の方が漢字重視というイメージがあるが数は同じくらい。韓国は小学校ではなし、中学で約900とのこと。*1

漢字(あるいは漢字とコンピュータ)については下記参照。

http://kanji.zinbun.kyoto-u.ac.jp/~yasuoka/kanjibukuro/japan.html

日中台で、元は同じ字だったはずなのに今は違ってしまった場合にユニコードでどうなるのか疑問でした。下記で少し分かった。ユニコードは「元同じ字だったかどうか」は考えていない。似たような字体がある場合に同じコードをふる場合と違うコードをふる場合がある、ということか。

http://kanji.zinbun.kyoto-u.ac.jp/~yasuoka/kanjibukuro/unicode.html

*1:9/9朝日新聞夕刊「漢字めぐり国際シンポ」より

(9)正しい理屈なのか(11/4追加)

# Cman 『何が何でも差別に結びつけようという意気込みを感じますが、そんなことを言っているのではありません。山形氏のもとの書評にもあったように、男女で遺伝的に適性や嗜好が異なるなら、職業分布などに差があるのはむしろ当然だということです。そんなに難しい理屈でしょうか?』

現状の権力分布やお金や職業分布において差別が存在する、という理解がフェミニズムの基礎だと思う。「職業分布などに差があるのはむしろ当然だ」という言説が反発を受けるのは当然だ。自然科学としての厳密性をクリアーした学説なのかどうか聞いているのだが?

ナパーム弾と毒ガス

9日付のクドクス・プレスが報じた。

 米軍戦闘機は8日夜、通常市民に多数の犠牲を出すクラスター爆弾に加えて、国際的に使用が禁じられているナパーム弾をファッルージャの各地域に投下したと本紙の通信員が伝えた

http://d.hatena.ne.jp/takapapa/20041110#p3 はてなダイアリー – 【ねこまたぎ通信】

9日10:04GMT(グリニッチ標準時)掲載のクドゥス・プレス通信が伝えた。

 イラク抵抗勢力筋は「占領軍は化学兵器と毒ガスを広範囲にファッルージャ防衛の抵抗戦士に向けて使用した。町の北部地区には数十の死体が見える」と語った。(同上)

延長反対が75%

おとなり日記から引用させてもらいます。

http://d.hatena.ne.jp/waku2/20041129 はてなダイアリー – わくわくの日々

■ 自衛隊派遣市民投票(第2回)/ゆり

本日の荻窪駅頭、「市民投票」の結果をご報告します。

3時半ごろ~4時半ごろまでの約1時間で、投票結果は

延長賛成 16  延長反対 74  わからない 8 合計98 でした。

ご挨拶

 (おくればせながら)新年のご挨拶を申し上げます。

カウンタも5ヶ月で16,000を越え、初めてからは3万前後という計算になります。更新のない日も平均して一日百人来てもらっているわけでスゴイ。分かりにくい文章で恐縮です。もしご質問、ご批判などあれば、遠慮なく下記までメールください。

恣意的な「法の不在」

女性国際戦犯法廷を真正面から擁護する論者がいない、と書きましたが、

id:mojimojiさんは、「シンパシーを感じる」と明言し、いろいろ文章をかいておられます。わたしは彼の主張に同意するものですので、簡単に紹介させてもらいます。

一般傍聴を認めていない件

 全面的な一般傍聴を認めるのがベストなんだろうけど、当時、従軍慰安婦の論点で政府を批判する集会は暴力的な右翼シンパが出没してた頃で、

http://d.hatena.ne.jp/mojimoji/20050121#p2

一般傍聴がないことの弊害がどのように避けうるかといえば、それは裁判の内容を事細かに公開することによって、かなりの程度なしうるだろう。これについては、(略)『女性国際戦犯法廷の全記録』、『女性国際戦犯法廷の全記録〈2〉』を見ればいい。

弁護側代理人がいない

 これについては、「呼んだけど来なかった」に尽きる。

従軍慰安婦問題については、オランダ人に対する事例を除き、法的責任を一切問われておらず、その調査さえ日本政府はしない(それどころか、妨害さえしていると取られても仕方のない状況さえある)。問題にされているのは、恣意的な「法の不在」なのであり、そのような行為がまかり通っている以上、法を僭称しているのはむしろ政府の側であるという理屈は十分説得力を持っている。

それに対する反論、おおや氏の。

http://alicia.zive.net/weblog/t-ohya/000148.html

(しかし私は「正義は(主に法的な)手続きを通じて構築される・示されるものである」として独立した正義の存在を認めない立場であるから、そもそも前提を共有していない)方の意見。

「正義も各個人の同意に基いて構成されるしかないし、」日本国家が同意しなければ正義は一切成立しないと。

ロシアとキューバの体制など

2/14のN・Bさん発言。

N・B 『 どうも、私が対比したのはロシアとキューバの体制です。チェチェン戦争はロシアの現体制(93年体制)の犯罪のあくまでひとつです。星野さんがそうしているという論拠は、10月9日の日記の2段落目です、それと映画の紹介はやはりはっきりと違います(どちらも犯罪をしているとしてもということです)。

それから『そんなものはない』『聞こえない』というのはあくまで比喩です、そういわなくても実際には同じ意味のことを主張してしまっているということです。

>ある部分がどういう部分なのか

 具体例としてアレナス=従軍慰安婦という図式を出したのですが余計混乱させてしまったみたいです。

 なんかまた補足ばかりです,すいません。

>非常に遠い言葉を使ってしか、

 この遠さが発言している人と聞く『私』の間の遠さと重なるのが『声』なのかなと思います。逆に遠いからこそひっかりになってしまうとも思います。』

応答が遅れているうちに、ますます論点が遠のいてしまったみたいです、私にとって。すみません。

一度仕切り直して、また質問ご批判などあれば書いてください。

慰安婦問題はもうちょっと書かなければとは思っているのですが・・・まだちょっとまとまりません。

「チェチェン戦争はロシアの現体制(93年体制)の犯罪のあくまでひとつです。」ということなのでしょうね。ロシアは隣国でもあり批判すべきは批判していかなければいけませんね。

>プロパガンダって言葉の使い方はべつに間違ってないんじゃないかな。

(2/20追加)