第二部 人間
人間:神あるいは自然の属性が、一定の仕方で表現される様態である スピノザ
デカルトの残した問題 107
1,観念と対象事物の一致が真 しかしデカルトにとっては主観的観念しかない
では真は どこに?
2,思考と延長は 共通点がない
精神と身体が一つになっている状態を考える ことができない 心脳問題
猫A身体 : 「猫A身体」の観念
並行論 同じものが 二つの形を もっている
(私が観念を持つ と考えると 私が猫Aを知らない場合、この等値はなりたたない)
延長属性のなかでは 因果連鎖・・・台風A
思考属性のなかでは 理由の連鎖・・・台風Aの観念 (われわれに分からなくても) 111
(このような発想のもとで、近代科学は進んできたのか)
2定理七 観念の秩序および連結は物の秩序および連結と同一である。 並行論
厳密に同等で並行しており、一方が他方に先立つということがない 創造説の否定 112
無限知性 思考属性の無限様態 すべての事物についての真なる考え
2定理三二 すべての観念は神に関係する限り真である。 真理空間
人間:人間精神は人間身体の観念あるいは認識にほかならない。:2定理19証明
2定義七 個物とは有限で定まった存在を有する物のことと解する。もし多数の個体(あるいは個物)がすべて同時に一結果の原因であるようなふうに一つの活動において協同するならば、私はその限りにおいてそのすべてを一つの個物と見なす。
人間精神は神の無限な知性の一部である。「人間精神がこのことあるいはかのことを知覚する」と言う時、それは、「神が人間精神の本質を構成する限りにおいて、神がこのあるいはかの観念をもつ」と言うのにほかならない。ここで読者は疑いもなく蹟(つまず)くであろう。:2定理一一系
下位レベルで物質諸部分が協同してある種の自律的パターンを局所に実現しているとき、その上に上位の個物ないし個体特性が併発している。 116
無数の階層
P→Q ものの真なる観念Qを理解・結論しているのは、近接原因のPである 118
思考の無限連鎖が自ら継起しながら思考している 116
無限知性は無限に多くの観念の連鎖からできており、そのどの部分をとっても前提→結論のようなつながり方をしている。
スピノザは考える主体を消去している、思考の無限連鎖が自ら継起しながら思考している 119
2 定理九 現実に存在する個物の観念は、神が無限である限りにおいてではなく神が現実に存在する他の個物の観念に変状(アフェクトゥス)した〔発現した〕と見られる限りにおいて神を原因とし、この観念もまた神が他の第三の観念に変状した限りにおいて神を原因とする、このようにして無限に進む。
いわば無限平面をびっしり這いまわる連鎖状の知性だけだ 121
ものBとの接触によって 身体Aに変状aが起こる
私の精神:身体Aの観念が自分の身体に生じている状態aを知る、非十全ながら 122
万有霊魂論
定理16〜47 コントラストがはっきりしている。
16〜19 人間精神は身体が受ける刺激
24〜31 は、非妥当 黒っぽい
32〜34 は、真である、白い
37〜40 「共通概念」が登場し、 真理に近づいていく
41〜47 「第一種の認識:虚偽〔誤謬〕に対して、反して第二種および第三種の認識は必然的に真」が確認され、真理に近づいていく
身体刺激を通じてわれわれが物体的事物をリアルに知覚する 2定理16系1 124
「外部の物体の妥当な認識ならびに人間身体を組織する部分の妥当な認識は、神が人間精神に変状したと見られる限りにおいては神の中になく、神が他の多くの観念に変状したと見られる限りにおいて神の中に在る。この認識は神が人間精神の本性を構成する限りにおいては神の中にない。ゆえにこの変状の観念は、単に人間精神に関連している限りは、いわば前提のない結論のようなものである。
言いかえればそれは混乱した観念である。 定理28証明 125
無限平面をびっしり這いまわる連鎖状の真理>真理しかないのになぜ誤謬が生じるか? 人間は局所だけ切り取っているから 126
表象(イマギナチオ):主観的認識モード
共通概念:
2定理三八 すべての物に共通であり、そして等しく部分の中にも全体の中にも在るものは、妥当にしか考えられることができない。
この帰結として、すべての人間に共通のいくつかの観念あるいは概念が存することになる。
われわれの身体と椅子は「座り」とでも言うべき中間項を共通なc として共有する 128
>だからといって神の思考になるのか? 共有、能動の度合いを少しずつ高めていく
感覚を通して知る、あるいは言葉から知る:第一種の認識。
共通概念から:第二種の認識(理性)
神のいくつかの属性の形相的本質の妥当な観念から事物の本質の妥当な認識へ進む:第三種の認識 定理40備考2 >5定理二五以降(最終部)で展開される
2定理四三 真の観念を有する者は、同時に、自分が真の観念を有することを知り、かつそのことの真理を疑うことができない。
われわれの知性には自分勝手に虚構できない真なる観念がいくつか与えられている。
知性はそのことを知っている、という前提があるのだそうだ。 72
現にいくつかの真理に到達しているわれわれの精神のようなものが、この世に存在するには、世界はどうなっていなければならないか、と問うのがスピノザ。
「生得的な道具としてわれわれの中に真の観念が存在しなければならない」知性改善論39節