秘密

 「秘密の使命ですって?何の使命ですか」と私は低い声で尋ねた。「何と無礼で手に負えぬ奴だ。少しも分かってないな。どんな使命か言ったら、秘密でなくなる」 こう言うと、ドゥリートは扉の下から姿を消した。 *1

ところで近代小説というものは、秘密についてだけ語り続けた。なぜだろう。秘密だけが価値であり価値だけが交換できるからだろうか。 

*1:p163『ラカンドン密林のドン・ドゥリート』isbn:4773801050