概念集というのはB4版数十頁(30頁前後)のパンフレットである。
たとえば一番最初の項目である「概念(序文の位相で)」であれば、テキストファイルで約4キロバイト弱。2頁で2千字、1頁千字弱ということかな。1頁四百字詰め原稿用紙換算で約2枚。掛ける37頁だから、ちょっとした短編ということになるが、B4版なのでカサ高い。余白と字が大きいからだが、松下の文体は非常に凝縮されていてしかも飛躍が多いので、余白が多くないととても読めない、という気もする。
概念集などの配布形態 については次の3種類が考えられる。
1)印刷(パソコン~ワープロ~ガリ印刷含む)された物
2)画像ファイル版
3)テキストファイル版
バイト数を数えると、1頁で3)は約4kbだったわけだが、2)は約90kbくらいになる。1)はたった1枚の紙とはいえ実際の物なので情報量には換算できない。あえて言えば無限倍か。この数値はコピーのしやすさに反比例すると考えることができる。紙片であってもコンビニに行けば10円でコピーできる。1枚なら大したことはないが37枚なら370円とそこそこの値段になる。それもコピー機を利用できる環境があった場合のことで、なければ1字づつ手で写さないといけない。それに対し電子ファイルは原理的に一瞬のうちにすべてが正確にコピーでき、メールを使えば海外にまで転送可能となる。コピーの容易さに抵抗するベクトルを〈重さ〉と考えると紙は電子ファイルの数百倍以上の〈重さ〉となる。
なぜ概念集の配布の話を始めたかというと、概念集の新しい注文があったときに、わたしがいちいち作業するのは怠け者の野原において苦痛である、そこでそれを省力化する方法を考えたところ、上記の電子ファイルをそのまま送付すれば簡単だと思いついたわけであります。しかしながら甘い話には罠があるかもしれないと警戒する気持ちが一方で湧いてきます。
α:画像データの取り込み
β:画像データの印刷(B4かA4か?)
要裏表印刷
(この二つを合わせた物がコピー機によるコピー)
心配点:
1) 相手がβ、γの過程をたどる保証がない。
自分の好きな物だけしか印刷しない場合、松下がパンフ全体に込めた意志が伝わらない。
2) 相手が再配布するのが非常に容易になる。
3) 概念集シリーズの画像化が先行すると、刊行リストのなかで、概念集だけがクローズアップされてしまう。身体や祈り~違法性を置き去りにした概念だけのインテリ好みの松下像の捏造に繋がる。
4) Windowsパソコンでブロードバンド接続している人、つまり現在のネット社会に(過剰?)適応している人を対象にした提案である。MacやLinuxユーザーに対してはどうするのか?
とりあえず思いついただけでもたくさんの懸念があるわけです。そこでこのような便利さ~〈軽さ〉の対極にあるもの、として「時の楔 < >語…に関する資料集」を取り出してみた、と言うわけです。