松下昇~〈 〉闘争資料

2009-02-11

(書簡)問いかけ〜審問〜対話

応答とは、最初のことばを、したがって最後の言葉を断念することである。

(ヴァルデンフェルス)

 ある本の一節*1から文脈抜きにこの言葉を引用しておく。どこか不思議なだがわたしにはとても大切なことを言っていると思われる断言だ。

 わたしはわたしである、という自同律にこの社会は根拠をおいている。しかし考えるとわたしなんて社会的には無に限りなく近いのでありつまり、わたしではなく「自同律」の方がこの社会に必要なわけだ。永遠なるイデアの世界の虚妄性、有害性については書かない。にもかかわらずつねに「わたしはわたしであり」、このひどく軽い断言はわたしたちの認識の外にある。

*1:p203「対話の哲学」村岡晋一 isbn:9784062584265