2009-09-10
■ 〈油コブシが離陸する〉
かすかにきしむ音を立てる霧につつまれはじめた油コブシ。海賊船の船先。
子宮の重量と共に増えている諸関係。何ものかのへの届出用紙。
日付の順序を狂わせても
(六甲 4章)
海賊船という言葉につまずいてうまく読めなかった。海賊船〜トレジャー・アイランド〜ディズニーランド的空間という連想から無理にでも離脱しなければならない。
油コブシが古代信仰の〈 〉であることは当然として、〈油コブシが離陸する〉というイメージがある時松下を捉えたのだ。どこへ? 別の宇宙というしかないがそちらの方が真の宇宙かもしれない。位相差を体験すると現実が、「〈私〉たちは、さまざまのピラミッドの稜線の上をすべっているのであるから、それらを手ごたえあるものとして触れようとする瞬間から、さまざまのピラミッドの数に応じた多くの分身へ引き裂かれずにはいない。」
まるで巨岩のように膨れた臨月の妊婦。それは一つの宇宙の誕生であるのに日常的光景でもある。出生を何ものへ届出していくのか?それを届け出るべき先は国家などというものであるはずもない。
「孤立した何ものかの呻きを噴出した六・一五虐殺の時間」と「生れでる何ものかを圧殺する六・一八葬送行進の空間」との間の「日付の順序を狂わせ」ること、それが目的。
日常生活において、〈ピラミッド〉〈位相差〉という視力が発揮されてしまうこと、それは不都合なことが多いがそればかりではない。そのような体験の裏返しが、〈 〉闘争を導いた。