α、β、γというのは、この湾曲した世界における何ものかを区分しようとする力(ピラミッドをつくっていく力といってもよい)が、〈六甲〉におとしている影のような境界線ではないだろうか。もし、そうであるとすれば、いや、必ず、そうであるようにさせなければならないのだが… …切迫した時間から、安らかなまどろみの空間へ、という変移は、激しければ激しいほどよいのだ。また、このかたちとα・ β・γ系のかたちを比較できる領域が、広ければ広いほどよいのだ。
〈六甲〉から、すべての不安の占拠がはじまる。いまは、一点でのみ時間の構造と接しているにすぎない空間としての〈六甲〉から。
不安をこの世界に深化拡大することによって告発し、占拠する、関係としての原告団をつくろう。
はるかな時間・空間から、〈六甲〉へのささやきがやってくる。これから占拠される不安たちのささやきが。
−− 『概念集・2』 〜1989・9〜 p29 より。