ヘイトスピーチを考える西宮市民の会 共同代表 小西和治 石川豊 井上淳様
西文振発第204号 平成26年11月5日
西宮市長 今村岳司 (文化振興課扱い)
「検証・いわゆる従軍慰安婦展」(11月23~24日)のための「西宮市民会館」使用許可の取り消しを求める緊急申し入れ書について(回答)
このことについて、平成26年10月20日付申し入れ書が提出されましたので、下記のとおり回答します。
(回答) 一部の国、民族を排除する貢動があるのは極めて残念なことであり、人々に不安感や嫌悪感を与えるというだけでなく、差別意識を生じさせることにもつながりかねず、憂慮しております。
(回答) 西宮市民会館の貸会議室における一展示会の開催が、直ちにヘイトスピーチを生み出すものとなるとは考えにくいと思っております。
(回答) 本市として意見を申し上げる立楊にありません。
(回答) いわゆる「慰安婦」問題については、国において対応しているところであり、本市として意見を申し上げる立場にありません。
(回答) 西宮市民会館は、公の施設であり、正当な理由がない限り、これを利用することを拒んではならず、また、公の施設を利用することについて、不当な差別的取り扱いをしてはならないとされております。 また、「~検証~いわゆる従軍慰安婦展」は、会議室におけるパネル展示として、西宮市市民会館1階大会議室の使用申請が行われ、西宮市民ホール条例第4条に則って、施設使用の許可要件を満たしているため、指定管理者が施設の使用許可を行ったもので、当該許可の取消は考えておりません。
(回答) 申し入れ1から5に対する回答はこの文書のとおりです。また、貴会との話し合いの場を設定することは考えておりません。 以 上
以上市民的及び政治的権利に関する国際規約(B規約) 第二十条【戦争宣伝及び憎悪唱道の禁止】
2 差別、敵意又は暴力の扇動となる国民的、人種的又は宗教的憎悪の唱道は、法律で禁止する。 http://www.kobe-u.ac.jp/campuslife/edu/human-rights/international-covenant-B.html
人種差別撤廃条約第4条
あらゆる形態の人種差別の撤廃に関する国際条約 第4条 締約国は、一の人種の優越性若しくは一の皮膚の色若しくは種族的出身の人の集団の優越性の思想若しくは理論に基づくあらゆる宣伝及び団体又は人種的憎悪及び人種差別(形態のいかんを問わない。)を正当化し若しくは助長することを企てるあらゆる宣伝及び団体を非難し、また、このような差別のあらゆる扇動又は行為を根絶することを目的とする迅速かつ積極的な措置をとることを約束する。このため、締約国は、世界人権宣言に具現された原則及び次条に明示的に定める権利に十分な考慮を払って、特に次のことを行う。
(a)人種的優越又は憎悪に基づく思想のあらゆる流布、人種差別の扇動、いかなる人種若しくは皮膚の色若しくは種族的出身を異にする人の集団に対するものであるかを問わずすべての暴力行為又はその行為の扇動及び人種主義に基づく活動に対する資金援助を含むいかなる援助の提供も、法律で処罰すべき犯罪であることを宣言すること。
(b)人種差別を助長し及び扇動する団体及び組織的宣伝活動その他のすべての宣伝活動を違法であるとして禁止するものとし、このような団体又は活動への参加が法律で処罰すべき犯罪であることを認めること。
(c)国又は地方の公の当局又は機関が人種差別を助長し又は扇動することを認めないこと。
(1965年の第20回国連総会で採択、1969年発効。日本は1995年。)
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/jinshu/conv_j.html#1
第4条(a)及び(b)は、「人種的優越又は憎悪に基づくあらゆる思想の流布」、「人種差別の扇動」等につき、処罰立法措置をとることを義務づけるものです。
これらは、様々な場面における様々な態様の行為を含む非常に広い概念ですので、そのすべてを刑罰法規をもって規制することについては、憲法の保障する集会、結社、表現の自由等を不当に制約することにならないか、文明評論、政治評論等の正当な言論を不当に萎縮させることにならないか、また、これらの概念を刑罰法規の構成要件として用いることについては、刑罰の対象となる行為とそうでないものとの境界がはっきりせず、罪刑法定主義に反することにならないかなどについて極めて慎重に検討する必要があります。我が国では、現行法上、名誉毀損や侮辱等具体的な法益侵害又はその侵害の危険性のある行為は、処罰の対象になっていますが、この条約第4条の定める処罰立法義務を不足なく履行することは以上の諸点等に照らし、憲法上の問題を生じるおそれがあります。このため、我が国としては憲法と抵触しない限度において、第4条の義務を履行する旨留保を付することにしたものです。
なお、この規定に関しては、1996年6月現在、日本のほか、米国及びスイスが留保を付しており、英国、フランス等が解釈宣言を行っています。 (外務省)
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/jinshu/top.html
国連自由権規約委員会 7月24日(「ヘイトスピーチ」関係)
ヘイトスピーチ及び人種差別
12.委員会は,韓国人,中国人,部落民といったマイノリティ集団のメンバーに対する憎悪や差別を煽り立てている人種差別的言動の広がり,そして,こうした行為に刑法及び民法上の十分な保護措置がとられていないことについて,懸念を表明する。委員会は,当局の許可を受けている過激派デモの数の多さや,外国人生徒を含むマイノリティに対し行われる嫌がらせや暴力,そして「Japanese only」などの張り紙が民間施設に公然と掲示されていることについても懸念を表明する。 締約国は,差別,敵意,暴力を煽り立てる人種的優位性や憎悪を唱道する全てのプロパガンダを禁止すべきである。また,こうしたプロパガンダを広めようとするデモを禁止すべきである。締約国はまた,人種差別に対する啓発活動に十分な資源を割り振り,裁判官,検察官,警察官が憎悪や人種差別的な動機に基づく犯罪を発見するよう研修を行うようにすべく,更なる努力を払うべきである。締約国はまた,人種差別的な攻撃を防止し,容疑者らを徹底的に捜査・訴追し,有罪の場合には適切な処罰がなされるよう必要な全ての措置を取るべきである。
国連自由権規約委員会 7月24日(「慰安婦」関係)
「慰安婦」に対する性奴隷慣行
14.委員会は,締約国が「慰安婦」は戦時中日本軍により「強制連行」されなかったとする一方で,軍や軍のために行動した者による強制や脅迫を通じ,多くの場合,本人の意思に反して慰安所における女性の「募集,移送,管理」はなされたとする締約国の矛盾した立場を懸念する。委員会は,被害者の意思に反して実行されたこうした行為は,それらの行為が締約国の直接的な法的責任を伴う人権侵害と見なすに十分であると考える。委員会は,元「慰安婦」が,公人や締約国の曖昧な立場により促された者による非難を含め,名誉を貶められることにより,再び被害者となることについても懸念する。委員会は,日本の裁判所への被害者による補償のための全ての申立てが棄却されたとの情報や,加害者に対する犯罪捜査や訴追を求める全ての告発が時効を理由に却下されたとの情報を考慮する。委員会は,こうした状況は,過去の人権侵害の被害者として,被害者が活用し得る効果的救済措置が欠如していることを示すばかりでなく,被害者の人権侵害が継続していることをも示すと考える。
(第2条,第7条及び第8条)締約国は,次のことを確保するために迅速で効果的な立法府及び行政府による措置をとるべきである。
(a)戦時中日本軍により行われた性奴隷制もしくは他の人権侵害に対する全ての申立てが,効果的,独立的かつ公平に調査され,加害者を訴追し,有罪であれば処罰すること
(b)司法へのアクセス及び被害者やその家族への十分な補償
(c)入手可能な全ての証拠の開示
(d)本問題についての教科書での十分な言及を含めた生徒及び一般公衆への教育
(e)公的な謝罪表明及び締約国の責任の公認
(f)被害者を中傷しあるいは当該案件を否定するあらゆる企てへの反論